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烏丸の「くるくる回転図書館 駅前店」

 
今後、新しい私評は、
  烏丸の「くるくる回転図書館 公園通り分館」
にてアップすることにしました。

ひまじんネットには大変お世話になりましたし、
楽しませていただきました。
その機能も昨今のブログに劣るとは思わないのですが、
残念なことに新しい書き込みがなされると、
古い書き込みのURLが少しずつずれていってしまいます。
最近も、せっかく見知らぬ方がコミック評にリンクを張っていただいたのに、
しばらくしてそれがずれてしまうということが起こってしまいました。

こちらはこのまま置いておきます。
よろしかったら新しいブログでまたお会いしましょう。
 

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2001-01-08 本の中の名画たち
2001-01-06 こジャレたかけあいとペーソス 『マローン殺し マローン弁護士の事件簿I』 クレイグ・ライス,山田順子 訳 / 創元推理文庫
2001-01-04 21世紀の書評初め,少々ネクラなこの1冊 『39【刑法第三十九条】』 永井泰宇 / 角川文庫
2000-12-31 自己と非自己,寛容(トレランス)と非寛容(イントレランス) 『免疫学個人授業』 多田富雄,南伸坊 / 新潮文庫
2000-12-28 本の中の強い女,弱い女 その十四 『花図鑑』 清原なつの / 集英社
2000-12-26 『英米短編ミステリー名人選集5 革服の男』 エドワード・D・ホック / 光文社文庫
2000-12-25 [雑談] おもちゃのカンヅメ「未来缶」もゲット
2000-12-25 [雑談] おもちゃのカンヅメ「過去缶」ゲット
2000-12-24 [雑談] カラスマルのブルーな日曜日
2000-12-22 『サイエンス・サイトーク ウソの科学 騙しの技術』 日垣 隆・中谷 陽二・千石 正一・守 一雄 / 新潮OH!文庫


2001-01-08 本の中の名画たち


【メランコリアへの旅】

 1960年代の後半,イギリスのテレビドラマに「スーツケースの男」(ITC作品。リチャード・ブラッドフォード主演)というのがあった。のちに「銀髪の狼」とタイトルを変えたが(逆だったかもしれない),CIAの諜報員が裏切り者の烙印を押され,仲間から追われつつその容疑をはらさんとイギリスに渡り,スパイの7つ道具を収めたスーツケースを片手に賞金稼ぎの私立探偵を営むというもの。言ってしまえば「逃亡者」や「FBI」などの傍流であり,暗い話が多くて,大きな話題にはならなかったようだ。しかし,ブラスサウンドが躍動するテーマ曲ともども,烏丸の記憶に強く残っているのが,贋作事件を描いたその中の1挿話である。(今から考えれば非常に奇妙なことだが)その事件の贋作画家はボッティチェルリの「ヴィーナスの誕生」のヴィーナスの顔のあたりだけの贋作をキャンバスにしたため,主人公の銀髪の狼マッギールはその事件の解決に奔走する。結局,主人公の活躍もあって真作はしかるべく持ち主の手に,贋作が贋作画家の手元に残った……ように見えて,実は贋作画家の手元に残ったキャンバスのほうが本物で,そのキャンバスの前で贋作画家が「永遠を得たり」とばかりにうっとりと頬を緩めるシーンで番組は終わる。
 なにぶん30年以上昔,一度見ただけのテレビドラマゆえ,ストーリーも設定もなにもかも心もとないのだが,その回の最後のシーンだけは妙に心に焼き付いている。それはまた,私にとって,この世には冬休みの宿題の,金賞銀賞の折り紙貼られた作品とは別の絵画世界というものがあり,そしてそれに大の大人が何もかも打ち捨てて陶然とする場合があることを知った,最初の機会の1つでもあった。

 その作品がボッティチェルリであったのは我ながら上出来だ。その後も私がドイツ表現主義,シュルレアリスム絵画と並んで最も愛好するのはそのフィレンツェの画家のどこか焦点の合わないメランコリックな目であり,その思いは長年くすぶってのちにその目に遭うためにのちにフィレンツェ,ウフィツィ美術館に直接尋ねることにもなるのだから。

 というわけで,次回からしばらく,何度かに分けて,本の中の名画についてつらつら綴ってみたい。
 絵画作品について語るのか,本について語るのかは,その折々の気分に任せよう。また,数千,数万円するような画集,美術全集には極力触れず,文庫や新書,せいぜい千円程度で入手できる書物に限定して取り上げてみたい。言葉だけで絵画作品に触れることの難しさはもとより覚悟の上だが,まあ,いつものように,気の向くまま,ときどきほかの本もはさんで,のんびりやってみることにしよう。

先頭 表紙

……いかんいかん,ほかの本に並列浮気ばかりしていて,なかなか進まない。 / 烏丸 ( 2001-01-12 16:25 )
しかし,ウフィツィの展示の無造作さといったら……ガラスも介さず,よからぬ者がナイフを振りかざしたら,どうなるのでしょう。彫刻なんか,通路にごんごん置いてあるし。 / 烏丸 ( 2001-01-09 13:55 )
数年前、ウフィツィでこのビーナスを見た時、体が動かなくなりました…。教科書の図版を見ても全然ピンと来なかったのだけど、オリジナルの美しさといったら。絵全体に、奇妙に明るいグレーの霞がかっていて。そしてこの、何事かを諦めたようなかなしいような、でもやっぱり微笑んでいるかのような、曖昧な表情。 / このシリーズも期待大です ( 2001-01-09 10:38 )

2001-01-06 こジャレたかけあいとペーソス 『マローン殺し マローン弁護士の事件簿I』 クレイグ・ライス,山田順子 訳 / 創元推理文庫


【マローンにとって人生はすばらしいものなのだ】

「ひまじんラジオがお届けする午後のくるくるカラスマルアワー,本日は……実はまたしてもミステリの短編集なんですね」
「担当者が創元から短編集が出たと聞くとすきっぷすきっぷで買ってきてしまうタイプですから,それはもうしかたございませんかしらねえ」
「もう若くはないのですから,周囲に迷惑だけはかけないよう心がけてほしいものです。さて,それはともかく,本日ご紹介いただくクレイグ・ライスという作家は……」
「はい,1908年シカゴ生まれの女流作家で,広報係・新聞記者・ラジオ脚本家・プロデューサーなどの職業を経て,女性ならではの都会的センス,軽妙なユーモアあふれる長編の数々で知られておりますね」
「ヒット作,酔いどれ弁護士マローン物の第1作『時計は三時に止まる』が1939年,亡くなったのが1957年ですから,テレビの黄金時代のほんの少し前」
「そうですね,テレビでヒットした探偵物,弁護士物,その基本となるイメージをこしらえた作家という位置付けでしょうか」
「なるほど,わかります。資料によりますと主人公マローンは,背の低い,少しはげかかった小太りの弁護士,ネクタイはいつも耳の下,ときどき誰かに殴られたアザがあり,靴紐はほどけている。お酒とポーカーが大好きで,ブロンド美人が大好きで,ポケットにはいつも5ドルあるかないか。でも弁護の腕は最高で,法廷で負けたことがない……」
「お調子者,楽天的,でもいざとなると頼りになる……わたくし,映画『ゴーストバスターズ』のビル・マーレーを少しイメージしてしまいましたのよ」
「よくわかります。気が強くてしたたかなシガニー・ウィーバーがトラブルに巻き込まれ,最初は彼をうとましく思っても,最後には見事に事件を解決してくれるわけですね」
「それでマローンが彼女たちの愛を手に入れられるかといえば,なかなかそうはいきませんの」
「とても懐かしい,しかし魅力的なアメリカテレビドラマ,そのような感じです」
「この『マローン殺し』は作者の死後にまとめられた短編集で,そんなマローンの魅力がつまった,とても楽しい1冊。親しいバーテンダーやぼやいてばかりいる警官,ギャング,ブロンドの美女と,脇役たちもとっても素敵です」
「ところで,アメリカのミステリを読んで,彼我の違いに不思議に思うのは,あちらの探偵や弁護士が,昼日中からいつも飲んでいることなんですが」
「アルコールへの耐性が違うのでしょうか,マローンも四六時中飲んでおりますね。好みはジンかライウィスキーをダブルで,ビールをチェイサーに。来客があれば飲む,事件が起こると飲む,片付いたら飲む。『不運なブラッドリー』という短編の冒頭に,マローンが酒場でグラスを手にしながら『マイ・ワイルド・アイリッシュ・ローズ』という歌を歌うシーンはことに素敵です。彼は,低く歌いながら,店内のほかの客がそれに唱和するのを待つ……そんな習慣があるようですわね」
「ほかに,この『マローン殺し』で印象に残った作品といいますと」
「そうですわねえ,お気に入りの連続ドラマと同じでどのお話も素敵なんですが,『邪悪の涙』という作品の哀切さ,これがもう。マローンの親しい人妻が殺されるのですけれど,マローンが,殺された女性にも,犯人にも,それはそれは穏やかで優しいのですね。人の本当の優しさはつらいときにわかる,とでもいうのかしら」
「しかし,本当の優しさがわかったときはtoo late,そのような感じでしょうか……本日はありがとうございました」
「またお呼びください……それで,今日のギャラのことですけど」

先頭 表紙

精神的平安が得られる・・・らしい。昔の殿様が物狂いになるとやってたでしょ?あれの模倣らしいですよ。頭への血流を抑え色力で癒すというインチキ臭い話ですが。 / okka ( 2001-01-13 10:19 )
okkaさま,何に効果があるのでありましょうか。酔わないとか? / 紫のネクタイは持ってない 烏丸 ( 2001-01-09 02:26 )
しかし、あれは本当に効果があるそうですよ。とくに紫色のネクタイは。 / okka ( 2001-01-08 15:26 )
あぁ〜、なるほど! そういう意味だったのですね! うーん、情景が目に浮かぶようなご説明、ありがとうございました。余談ですが、男の人のそういう動作って時々見てみたいと言いますか、ちょっといい感じ。 / 美奈子 ( 2001-01-08 01:14 )
美奈子さま,こちらこそ今年もよろしくお願いいたします。さて,耳の下のネクタイですが,これは翻訳のままの引用なのですが,ネクタイしめて酒を飲むときの気分を思い出して想像するに,「ええい,うざったい」とばかり,右か左,どちらかの肩にはね上げている(肩にかけている)のではないかと思います。ネクタイってのは,ピンでとめずにぶら下げていると,グラスにつきそうなんですよ。気持ち,わかる……。 / 烏丸 ( 2001-01-07 21:11 )
白人の方々のアルコール分解能力は私たちとはかなり違うようです。シドニーでもビジネス街のあちこちにバーがあり、その中では午前11時頃から嬉しそうにビールを楽しんでいる人が大勢います。申し遅れましたが、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 / 美奈子 ( 2001-01-07 17:22 )
やはりいにしえより、対話篇はわかりやすくてよいですねぇ。店内の人々が唱和するというご説明で、つい歌声喫茶を思い浮かべてしまいました(笑)。ところで素朴な疑問ですが、ネクタイはいつも耳の下にするものなのでは……??(すごいオオボケな質問だったらすみません。) / 美奈子 ( 2001-01-07 17:18 )

2001-01-04 21世紀の書評初め,少々ネクラなこの1冊 『39【刑法第三十九条】』 永井泰宇 / 角川文庫


【刑法第三十九条】

  1心神喪失者の行為はこれを罰しない。
  2心神耗弱者の行為は,その刑を減軽する。

 21世紀になったからといって,読書の趣味が変わるわけでもない。年明け早々,暗い本である。が,暗い中にもねごねごした手応えがあり,なかなか悪くなかった。

 先日の『免疫学個人授業』と『体にいい寄生虫 ダイエットから花粉症まで』に出てきた「IgE抗体」のように,比較的短いスパンに読んだ複数の本に共通の言葉やイメージを発見するのは楽しいものである。もちろん本の選び方には読み手の嗜好が影響するし,昭和の歴史を振り返る本とスポーツ本の両方に力道山や長嶋茂雄の名前が出てきても当然にすぎて別に面白くもなんともないのだが。
 永井泰宇『39【刑法第三十九条】』では,主人公が殺人事件の被告の精神鑑定人であることを知って,少し楽しくなった。その仕事の困難さについて,最近,『サイエンス・サイトーク ウソの科学 騙しの技術』で読んだところだったからである。

 事件は東京・豊島区の雑司が谷,鬼子母神にほど近いアパートで起こる。妊娠7か月の妊婦とその夫が切り裂かれて殺されていたのだ。警察はいくつかの手掛かりから劇団員・柴田真樹を逮捕。しかし,公判で奇妙な態度を見せる柴田について,国選弁護人は司法精神鑑定を請求する。
 物語は,柴田を解離性同一性障害(いわゆる多重人格障害,つまり刑事責任能力はない)とする精神医学者・藤代と,柴田の態度を詐病(病気のふり)でないかと疑うその教え子・小川香深,そしてそれぞれの立場に立つ刑事,検事,弁護士らをからめて展開していく。
 名前に負けない暗い過去を持つ主人公の香深はいうにおよばず,藤代教授,柴田を逮捕した名越刑事,草間検事,長村弁護士ら,脇役陣の存在感がなかなかけぶった感じでよい。安易に類型におしはめず,本音のわからないまま描いているところが,人間としての翳りにつながっているようにも思われる。

 ネタバレを避けるとこれ以上何を書いてもまずいのだが,小説として冷静に考えれば,綺麗な落としどころは1つしかない。作者は,うっかりすると凡庸に陥りかねないその結末を,自らの刑法第三十九条や精神鑑定,解離性同一性障害についての資料集め,学習行為を,そのままパラレルに作品中に持ち込んでいる……それが見事な展開として生きてくる。
 つまり,この作品の面白さは,虚構としてのストーリーのみならず,その虚構を構築する作者の行為の面白さでもあるのである(と,なんだか前衛作品を紹介するような書き方になってしまっているが,作品そのものは十全たるエンターテイメントである)。

 そのエンターテイメント性に加え,刑法第三十九条の是非という極めて重い問題が背景に横たわっているのは事実だが,法の精神は体系の把握なしに語っても仕方ない。とりあえず本作,あるいは本作の続編をテレビ化したドラマによって刑法第三十九条なるものがあることを啓蒙できればそれでよしとすべきだろう。

 そういえば,このような作品は以前なら「社会派推理小説」と呼ばれたものだった。烏丸は,松本清張ら社会派が全盛のころには「推理小説は本格でなくては」とうそぶき,島田荘司,綾辻行人ら以降,新本格派がわらわら出てくると「人間や社会が描かれてないと」とぶつくさ言っているわけで,我ながら身勝手極まりない。ま,そのあたり,本読みなんて,わかっちゃいるけどやめられない,あそれ……。
(最後だけ,ちょっとお屠蘇気分)

先頭 表紙

けろりんさま,今年もよろしくお願い申し上げます。そうですか,森田芳光監督で映画化ですか。原作は,映画,ドラマ化がハナから頭にあったのか,小説としてはかなり煮詰めが甘い感じがします。資料や例などをじっくり書き込んでノンフィクションな手応えを強調すれば,もっとこゆい作品になったのに……でも,それでは手軽に取り上げてもらえないということなんでしょうね。文庫も「あらあら」というくらい薄いので,時間の邪魔にならないという点ではお奨めであります。 / 烏丸 ( 2001-01-05 23:48 )
谷崎なんぞ,現在ならかなりホラー,耽美,ミステリ寄りな作風だと思うのですけどね。どうも,『細雪』でおきれいなイメージに確定してしまいましたが,十分怪しいヤツですのに。というわけで,ぽたさま,本年もよろしくお願いいたします。 / 烏丸 ( 2001-01-05 23:44 )
原作本は読んでませんが、昨年森田芳光監督・鈴木京香主演で映画化されたものは観ました。前半(観ていると)かなり苦しいですが、地味ながら佳作でおすすめです。ドラマはどうなるんでしょう?今年もよろしく。 / けろりん ( 2001-01-05 23:13 )
松本清張が三島由紀夫と谷崎潤一郎を死ぬまで怨んでいたという週刊新潮の記事は面白かったですな〜。しかし谷崎潤一郎も、清張をそこまで毛嫌いしなくともいいじゃんかよう、と思いますがね〜。あ、そうそう、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしく。 / こすもぽたりん ( 2001-01-05 10:20 )

2000-12-31 自己と非自己,寛容(トレランス)と非寛容(イントレランス) 『免疫学個人授業』 多田富雄,南伸坊 / 新潮文庫


【免疫と免税は同じ語源から】

 『生物学個人授業』に続く個人授業シリーズ第2弾。
 個人授業と言ってもフィンガー5ではないし,もちろんルノー・ベルレーでもない。元「ガロ」の編集長で現イラストレーター,エッセイストの南伸坊が生徒役で生物学,医学などの先生に受講し,理解したことを自分なりにまとめるというものである(雑誌「SINRA」に掲載)。
 今回の講師は東大医学部名誉教授,東京理科大生命科学研究所所長で免疫学の権威,多田富雄先生である。

 「免疫」とは「疫を免れる」と書くことから,一般には「病気を免れる体の仕組み」とされることが多い。「はしかに一度かかると,一生はしかにはかからない」といった経験的な知識,それを応用したジェンナーの種痘(牛の天然痘にかかると天然痘にかからない。雄牛のことをラテン語でvaccaということからvaccine(ワクチン)という言葉ができた),さらには細菌の発見に伴なうパスツールの狂犬病ワクチンの開発……そういった医学の系譜である。
 文字数の都合で詳細は端折るが,次いで起こった歴史的発見の1つがほんの数十年前の
「蛋白質レベルでの免疫研究,最後の成果〈IgEの発見〉」
そしてもう1つが
「細胞レベルの免疫研究,最初の成果〈T細胞の発見〉」
なのだそうで,ここから免疫学は長足の進歩を遂げる(おぉ,IgEといえば『体にいい寄生虫 ダイエットから花粉症まで』に登場した抗体ではないか)。

 ところで人間の臓器の1つに「胸腺」というものがある。これは心臓の表面を覆うような黄色っぽい組織で,子供のころは大きいが(といっても30グラム程度)成長するとだんだん小さくなり,老化するとほとんどなくなってしまう。その存在は2000年前から知られていたが,40年ほど前,ようやくこれが免疫を司る非常に重要な臓器であることが判明する。ここで作られるTリンパ球という細胞の表面に,自分か自分でないかを区別するレセプターが作られ,この何千万種というレセプターが,あらゆる非自己(抗原)と反応する機能をもたらし,免疫という防御システムに参加するのである。
 つまり,免疫の本質は「自分と他者を区別する仕組み」であり,単に病気を治すだけでなく,アトピーやスギ花粉症の原因にもなる。輸血や臓器移植の障害でもあるし,やっかいな自己免疫病の数々の原因ともなっているわけだ。

 しかし,自分以外のものが入ってきても,免疫系が反応を起こさないこともある。この免疫系の「寛容」の,1つの条件は生まれた瞬間または生まれる前の経験。1つは異物が極端に微量か逆に大量である場合。そして1つが,異物が口から入った場合なのだという。
 この3つ目が不思議だ。たとえば牛乳を2リットル飲むと牛の蛋白質が血液中を流れるが,それでも抗体は作られず,ショックも起こらないのだという。なぜそうなるのか,理由は解明されていない。また,同じ口から入って,アレルギーを起こす食材とはどう違うのか?

 免疫系の巧緻かつ複雑なシステムは,実に不思議で魅力的だ。自己という生物としての「個」の概念そのものを再認識する契機とでもいおうか。そして,免疫系が解明され始めたこの時代に,エイズという免疫システムそのものを破壊する病気が他者との関係から伝播するのもなにかまた暗示的だ。

 本書は受講者・南伸坊のフィルタを通す分,わかりやすいが入門書としても重要な観点の抜けや誤解が皆無でない可能性がある。多田先生の『免疫の意味論』(青土社)はやはり必読だろうか。

先頭 表紙

TAKEさま,今年もよろしくお願いいたします。さて今年はどんな本を読むことになるのやら。楽しみなような,怖いような。 / 烏丸 ( 2001-01-06 01:00 )
烏丸さまも良いお年を! / TAKE ( 2000-12-31 19:49 )
この1年は烏丸にとっていろいろな意味で免疫系との闘いでした。はてさて来年はいかなる1年になりますやら。風邪をひいたら,直すのは薬ではなく免疫系。皆さまも風邪などひかず,よいお年を。そしてよい21世紀を! / 烏丸 ( 2000-12-31 03:17 )

2000-12-28 本の中の強い女,弱い女 その十四 『花図鑑』 清原なつの / 集英社


【ずっと前に キツリフネ その 花の名前 いっぱい咲いてた場所で 私は知らない人に】

 あらゆる少女マンガの中で,清原なつのを読むのは極めつけの贅沢のような,そんな気がする。
 もちろん,清原なつの的な時間をもたなくとも,人は生きてはいける。同じ時間旅行や美少年のおかまが描かれても,萩尾望都のように切り立った断崖の上から世界を見渡す気分になることもないし,大島弓子のようにこの世界のどこかにいるもう一人の自分と痛みを分かち合ったりもしない。
 ただ,その日いちにちを遠心分離機にかけてみると,その上澄みに,かすかな,しかしとても切ない香りが付加されているだけ。

 『花図鑑』全5巻は「ぶ〜け」に1990〜1994年にかけて掲載された短編をまとめたもので,とくに共通のテーマ,登場人物があるわけではない。しいていえば1巻のカバーに書かれた作者の「そういえば,花というのは,植物のアソコです。……いろんな季節に,世界中で花が,何も考えていないフリをして咲き続けています。はずかしい。」,このあたりがキーワードか。内省的な青い性,などと書いてしまうとかえって濁ってしまいそうだ。

 たとえば,こんなお話。
 春,大学のクラスの自己紹介の日,山科まりこは「入学記念に同棲を始めた」とクラスメイトをどよめかせ,志田栄治は「おかまです」とさらにどひゃめかせる。まりこの同棲相手は高校時代の教師佐久間。そこに栄治が「カレが乱暴でバイト料も全部奪われてしまう,ここにおいてほしい」と現れる。奇妙な三角生活が始まり,やがて現れた栄治のカレは「栄治の言うことはウソ,彼はノーマル。それでもよいから栄治に戻ってほしい」と訴える。それを知った栄治は無理やりおかまになり(ロストヴァージン),翌日,美しく女装して大学に現れる。栄治の真意は……。

 それとも,こんなお話。
 いばらの迷路,数々の罠をくぐり抜けた先に王子が見るのは,眠り続ける美しい2人の姫。口づけしても目覚めない2人の姫に,王子は朝まで……。次の王子も。次の王子も。次の王子も。目覚めて,3D映像で魔女ののろいの本当の意味を知った2人は,自分たちをもてあそんだ百人の王子を殺しに出かける。そして後1人というところで……。

 あるいは,こんなお話。
 仲のよい3人,かれんが選ぶつもりだったのは馨か,それとも高志か。しかし見晴らしのよい高い場所で答えを出すはずのかれんは崖から落ち,脳挫傷で,寝たきり,言葉も戻らないだろうと診断される。作家志望の高志はかれんと結婚の約束をしていたと言い出し,周囲の反対を押しきって結婚する。「まるでゆっくりと心中するみたいじゃないか こんなのはやり切れない」と心を乱したままその家を訪ねる馨。まぶたでイエス,ノーの意思表示はできても,かれんの真意はわからない。そして,冬のはじめにかれんが「高志」と言葉を発したという葉書に涙する馨。

 ……露骨な性描写があるわけではない。添付画像の表紙は清原なつのとは思えない描き込みで,実際は白っぽい乾いた絵柄。桔梗の花のように,とてもきれいで明晰な乙女たち。

 清原なつのは,単行本が発売されるたび,必ず手に入れる。自画像を美人に描いて違和感のない数少ない作家の一人。穏やかな家できれいに育った女性が良い家族に恵まれてマンガ家になった,自分をよく知っているから決して背伸びはしない,そんな手応え。当たりかはずれかはわからない。
 もっと高く評価されても,と思う時期はとうに過ぎ,ときどきでよいから本を出してくれれば,もう,それで十分。

先頭 表紙

ケロロ軍曹の「第666野戦重砲マンガ小隊」作戦終了を偲んで。 / カララ少佐 ( 2000-12-28 15:39 )

2000-12-26 『英米短編ミステリー名人選集5 革服の男』 エドワード・D・ホック / 光文社文庫


【いいえ,何も思いつかないわ】

 昨今の欧米では珍しい本格ミステリ短編集『サム・ホーソーンの事件簿I』がなかなか面白かったので,ホックをもう少し読んでみることにした。本棚を調べると実は以前にも1,2冊読んでいるようなのだが,記憶は見事山のあなたの空遠くに霧散している。
 というわけで,光文社文庫『革服の男』を注文して読んでみた。ホックは先にも書いた通り短編プロパーで,しかもシリーズキャラクターものが多いようなのだが,本書はその引き出しの多さをまざまざと感じさせる作品集になっている。

 たとえば2000歳に近いコプト教徒のオカルト探偵サイモン・アーク,価値のないものしか盗まない怪盗ニック・ヴェルヴェット,田舎医者サム・ホーソーン,100編を越える作品で活躍のジュールズ・レオポルド警部,イギリス諜報部暗号解読専門家ジェフリー・ランド,西部探偵ベン・スノウ,ジプシー探偵ミハイ・ヴラド,長編『大鴉殺人事件』で登場したミステリ作家バーニイ・ハメット,「おしゃれ探偵」をモデルにしたインターポールのセバスチャン・ブルーとローラ・シャルム,古今の探偵をパクったパロディ探偵サー・ギデオン・パロ,百貨店バイヤーのスーザン・ホルト,といった具合。
 実は,今紹介したのは『革服の男』に登場する者たちだけであって,木村仁良の解説で紹介されるホックのシリーズキャラクターは優にこの倍はある。

 するとどういうことが起こるかというと,本書収録作だけ見ても,たとえば熱気球から搭乗者が墜落する謎を追う「熱気球殺人事件」,旅客船での宝石盗難と殺人を描く「五つの棺事件」,州知事選の立候補者が人狼を射殺したという「人狼を撃った男」,フリーマントルふうエスピオナージ「七人の露帝」,ミステリー作家とファンの集いを舞台にした「バウチャーコン殺人事件」,ルーマニアに定住するジプシーがモスクワの競馬に参加して事件に巻き込まれる「ジプシーの勝ち目」,スー族の呪われたテント小屋を扱う「呪われたティピー」,これらにもちろん金や愛憎のからんだオーソドックスな事件を加えて,もうこの作家の頭の中はどうなっているのだろう,という全12編の活況である。

 思うに長編ミステリは,長いがゆえに人間性についての矛盾が露見することが少なくない。トリックを重ねる連続殺人事件など,頑張れば頑張るほどゆがんでくるのである。そんなに頭がよい犯人ならもっとほかの方法で目的が達成できるだろうし,いくら密室やアリバイを構築しても,容疑者への世間の目は冷たい。
 それに比べれば,短編は不自然に見えそうな点をはぶき,中心のアイデアに全力投球すればよい。また,ポー,ドイルなど,ミステリの始祖が短編だったことも忘れてはならない。

 もちろん短編のほうが楽などというつもりはない。
 アイデアは常に斬新で魅力的でなければならないし,長編のようにキャラクターの魅力やユーモア,おどろおどろしい雰囲気で引っ張るわけにもいかない。また,作品数を増やすには広範な発想と勉強も必要だろう。さらに,映画化などによる副収入も多くはないに違いない。
 だからこそ,短編プロパーたるホックの姿勢は高く評価したい。しかも,1つ1つの作品は重厚で,「刑事の妻」のように言葉少なだがトリックより人生の苦味を重視する作品もある。

 日本でも,佐野洋が数年前ミステリ短編1000作執筆という快挙を成し遂げたにもかかわらずあまり高い評価を得たように思えなかった。本格派の若手は,長編ばかりでなく,もっと磨き上げた短編にも挑戦してほしいと思うのだが……。

先頭 表紙

(6)ゲゾラはイカの怪獣で,イカは冷血動物だから……って,変温動物の血は冷たいわけじゃないぞ(この映画,怪獣のネーミングがゲゾラ・ガニメ・カメーバというくらい手抜きの山)。(7)「こんなものは叩けば直るんだ」。(8)荷物と一緒に積んだら,ロケット打ち上げ時のGでガチャピンの着ぐるみがぺちゃんこになって使えなかったから。 / 烏丸 ( 2000-12-28 13:05 )
それはともかく,特撮カルトクイズの回答を書いていませんでした。(1)ゴジラを絶賛したのは三島由紀夫。(2)食べちゃいけないのはキノコ。火を通してもダメだったんでしょうか。(3)「ドリンキン」。インファント島って英語圏? (4)左からイチロー,ジロー,サブロー。(5)黒柳徹子。 / 烏丸 ( 2000-12-28 13:05 )
あややさま,この『皮服の男』はホック傑作短編集のオモムキですから,やたら登場人物がいっぱいです。ですので,毎晩1作ずつ,寝る前に読むのがおすすめ。 / 烏丸 ( 2000-12-28 12:52 )
登場人物が多いと、もうそれだけでアタマが混乱してしまう私です。くっぅぅ。ツインピークスでもつらかった。 / あやや ( 2000-12-27 23:48 )

2000-12-25 [雑談] おもちゃのカンヅメ「未来缶」もゲット


【最高で金,最低でも銀】

 続いては,「未来缶(正式名称:未来から落ちてきたカンヅメ)」。

 とある小さな農場で,一人の農民が未確認飛行物体と遭遇した。3か月後,記憶を失った彼が再び姿を現したとき,その手には1つの光るカンヅメがあった。それこそ,彼が2099年を訪れたときのカンヅメだったのだ!

 ……というわけで,缶のデザインは,過去缶よりこちらのほうがcool。なにしろ銀色の左右のフタはどちらも開けることが可能なのである。

 缶のすぐ左は,「キョロちゃん宇宙へ行く」,プラスチックのチューブの中で,なんとキョロちゃんが浮いている! スーパージェッターでもおなじみの反重力装置だ。
 その下,「メタリックカードケース」,あなただけのナンバー入り。未来人はこの銀色のケースで名刺のやり取りをしている。もちろん,タコ足火星人だって,名刺を差し出すときは右手,受け取るときは両手だ。
 その手前,銀のボールに肌色の足が生えているのが「物体X」。左右に10回くらいねじって平らなところに置くと,うねうねと動き出す。未来人はついに永久運動機関を実現したのか!
 カードケースの右,青いのが「不思議な球体」。ボールを滑らせても,転がしても,中の青い模様はそのままだ! しかも渦巻き模様は常に北の方向を指しているぞ。ということはその反対は南ということか。さすがは未来科学!
 その右が「宇宙の積み木」。添付画像ではわかりにくいが,黒い台の上で,星型,月型の薄い金属片でいろいろな形が作れる。未来の幼年教育の教材なのだろう。独創的な空間感覚で21世紀のアートは君のものだ。
 最後,右手前は「ミラクルシート」。宇宙生物を描いたシートを手のひらに乗せてしばらくすると,わにゃわにゃと動き出す。おおっ,21世紀のバイオテクノロジーは,お好み焼きの上のカツオぶしを無機物で再現することに成功したのかっ!

 しかし,皆さん,ここで見たことは決して外に漏らしてはならない。未来のグッズが公になってしまうと,歴史が狂ってしまうのである。

先頭 表紙

よちみさま,あややさま,笑っていただけて本望でございます。でも,目の調子がイマイチだと,なんだかぽけーっとした感じで,「過去缶」のほうなんかぜんぜんノリが悪い……。 / 烏丸 ( 2000-12-26 16:32 )
おもちゃそのものよりも烏丸さまのコメントのほうが面白い。 / あやや ( 2000-12-25 23:52 )
おかし〜(涙) お好み焼きの上のかつおぶし無機物版見たい〜! / よちみ ( 2000-12-25 20:40 )

2000-12-25 [雑談] おもちゃのカンヅメ「過去缶」ゲット


【クエッ クエッ クエッ チョコボーオールー】

 「おもちゃのカンヅメ」とは言うまでもなく森永製菓の「チョコボール」の景品で,長寿プレゼントの1つとして有名である(もう一方の長寿プレゼント,ライオンのブルーダイヤ「金・銀・パールプレゼント」は1998年に復活したが,今も昔も当選した人の話を聞いたことがない……)。
 「チョコボール」の箱の取り出し口のところに,金のエンゼルがあれば1枚,銀のエンゼルなら5枚を送ればこの「おもちゃのカンズメ」がもらえるのだが,その内容は「男の子向け」と「女の子向け」,「中高生向け」と「小学生向け」と,缶のデザイン,内容ともに,あれこれ変遷してきた。
 今回,最新の「未来缶」と「過去缶」をそれぞれ手に入れたので,内容を簡単にご紹介しよう。
 まず,「過去缶(正式名称:過去から発掘されたカンヅメ)」から。

 缶のデザインは四角缶タイプで,マヤ文明ふうのキョロちゃんが描かれている。
 添付画像,缶の左下は「革風巾着袋」,ナンバー入り。旧石器時代には貴重な石器をこれに入れて持ち歩いた。早朝には袋から出して発掘現場に埋めたりもしたらしい。
 その右は「動く恐竜」,動かすと恐竜の首が上下する。見事な人形ストップモーション! ただし,ラクウェル・ウェルチは付いていない。
 手前左は「万華鏡」。レンズを覗くとプリズムの働きで風景がきれいに分割されて見える。トルテカの王ケツァルコアトルが呪術に用いたと言われている。
 その右が「砂時計」,こちら側だとキョロちゃんの足跡,反対側だとキョロちゃんの目の形に砂が落ちる。ちょっと不思議な感じ。ただし,砂が全部落ちないので,時計としては使えない。トルテカの王ケツァルコアトルが目覚ましに用いたと言われている。
 その右,「勾玉」。のぞき窓から中をのぞくときれいな絵が見える。トルテカの王……くどい。
 その右,「ステープラー(台座付)」,普通のホッチキスの針(No.10)が使える。ところで,あなたはホッチキスの針は,針? 芯? タマ?

 というわけで,「未来缶」に続く。

先頭 表紙

烏丸は「MAXの製品に『針』と書いてあるから『針』だわな」と思っていたら,『タマ』派の人に「おばか,それは『針』と書いて『タマ』と読むンだよ」と言われて撃沈。うるうる。 / 烏丸 ( 2000-12-26 16:34 )
僕は当初は「針」派、しかし最初に入ったデザイン会社で「タマ」派に改宗させられちゃいました。 / TAKE ( 2000-12-26 12:55 )
私も「針」です。おもちゃの缶詰というえば田中星児。「いいもの入ってるオモチャの缶詰オモチャの缶詰があったるぅ〜♪(セリフ)なーにーがー入ってるっかな?「いいもの!」「おもちゃ!」「おっしえなぁ〜い」←この「おっしえなぁ〜い」が、子供心に意地の悪いヤツだなぁと思いました。 / あやや ( 2000-12-25 23:50 )
え! 針だと思ってたよ。それにしても、これがウワサのオモチャの缶詰! カンド〜。 / よちみ ( 2000-12-25 20:39 )
私は「タマ」です・・・ホッチキスってマシンガンと関連があるらしいので。 / 2ダブ ( 2000-12-25 19:04 )

2000-12-24 [雑談] カラスマルのブルーな日曜日

 
 本が読めない。目の調子が悪いのだ。いや,目の調子そのものはそんなに悪いわけではないのだが,目薬が瞳孔を開くタイプのもので,それをさすとピントが合わず,文字も絵もちゃんと見えなくなってしまうのだ。眼帯でもして,無事なほうの目だけで読む手もあるが,そちらまで悪くなったらやっかいなのでそういうわけにもいかないのだ。
 さりとて外に出かけるには,この快晴,陽光がまぶしくてたまらない。目医者の行き帰り用にサングラスは持っているのだが,サングラスかけてママチャリで闊歩するのはご近所さまの視線が痛いのである。思えば○年前,この地に引っ越してきたときは烏丸もまったく無名の匿名A氏に過ぎなかったのだが,月日というものは残酷なもので,幼稚園の母親たちの間にも烏丸の顔は知れ渡り,いまや本屋でいかがわしい本の前に立っているだけで「○○くんのパパがアレを見ていた」とご近所に知れてしまうのである。K市とその周辺では,フランス書院文庫などもちろんのこと,朝日ソノラマのネムキ本すら買えない私であった。
 それなら年の瀬の大掃除なり,年賀状書きなりすればよいではないか,と頭では理解しているのだが,あいにく20世紀はまだ一週間はある。締め切りの前に仕事を片付ける生き物が烏丸の辞書に載っていたことがかつてあっただろうか,いや,ない。というわけで,片付けや年賀状など21世紀になって生まれ変わった烏丸に任せればよいのである。
 と,ぶつぶつ言いながらカレンダーを見れば,そうか,今日はクリスマスイヴか。

 しかし,振り向いても家人の姿はない。そうか,昨日,実家に帰ってしまったのだった。
 ブルー。

先頭 表紙

皆様,ご心配おかけしてもうしわけありません。目はそれほどひどい状態ではありませんのでどうぞご心配なく。どっちかというと,家人がいなくて,「ジャムが……どこだ?」「紅茶は……これはアメリカひじき」(←作るんじゃない)と,生活のほうの手間がかかってわたわたしております。 / 烏丸 ( 2000-12-25 18:44 )
↓代返?? / こすもぽたりん ( 2000-12-25 16:28 )
それはだいへん。お大事に! / あやや ( 2000-12-25 08:04 )
烏丸様、お目の具合、いかがですか?液晶display なら割と楽です・・・ご近所の目というのは本当、厳しいですね。こちらが気付かなくてもあっちはしっかり見てて・・・みたいな事。私も近所の大手スーパーマーケットに入っている書店ではなるべく怪しい本は見ない・買わないように、と心がけてはいるのですがどうしても長居してしまって・・・ / 結局買った本数知れず。 ( 2000-12-25 01:13 )
自分の場合でもパソコンで仕事して、パソコンで息抜きして…と目の休まる時が少ない気がします。モニタ&ブラウン管禁止の日を作ろうと思うのですが、なかなか厳しいですよね。 / お大事に@TAKE ( 2000-12-24 23:59 )
烏丸さま、お大事に! / ロダン ( 2000-12-24 22:47 )
おや烏丸さま、麗しの奥様がご一緒じゃないなんて珍しい。目の悪い時にディスプレイを眺めていらっしゃるなんてもってのほか。今年のクリスマスは私も一人なんです。よろしかったらご一緒しませんか。一押しの作家の話などいたしましょうよ。……って、ひまじんでお誘いしてはやっぱり目に悪いですね(苦笑)。 / 失礼いたしました ( 2000-12-24 20:26 )
我が家は大掃除でございました。8月の引越しから今まで片付けをさぼっていたので、仕方なく。いやまあ、買っただけで読んでない本が出てくるわ出てくるわ。昨晩は、『勇気凛々ルリの色』、『同 四十肩と恋愛』、『中国てなもんや商社』など、くるくる図書館シリーズを読んでおりました。 / こすもぽたりん ( 2000-12-24 17:12 )
家人が烏丸様を残して実家に帰られたとは、それはお寂しい。なおかつ、大好きなご本も目の調子が悪くては思うままに読むのも無理ですか。お大事に。やばい本の立ち読みはご近所でなく都心の改装ビルでどうぞ。 / たら子母 ( 2000-12-24 16:59 )
いあやぁ〜ん、目の調子が悪いなんてお気の毒です。。。イライラしちゃうし、神経が疲れますものね。。。おまけに一人ぼっちだなんて、寂しすぎる気もするのですが、烏丸様の事だから、ノンビリとお身体を休めていれば何方かからのお誘いが有るのでワ!?ご無理為さらないように、目を休めてあげて下さいね。。。 / 少々気弱@peach ( 2000-12-24 15:28 )

2000-12-22 『サイエンス・サイトーク ウソの科学 騙しの技術』 日垣 隆・中谷 陽二・千石 正一・守 一雄 / 新潮OH!文庫


【信じる者は騙される】

「ひまじんラジオがお届けする午後のくるくるカラスマルアワー,本日ご紹介する本はまたしても新潮OH!文庫」
「ことさら宣伝するつもりはないのですが,妙にウマが合うといいますか。また選んでしまいました」
「新潮社から上げ底の菓子折りが届く,ということはありませんか」
「山吹色のお菓子は無理でしょうが,もしお歳暮にミカンなりが届いたなら受け取るのはやぶさかではありません」
「新潮社の皆さま,ミカンの送り先は渋柿区銀杏,ひまじんラジオ,午後のくるくるカラスマルアワーまで」

「さて本日取り上げる『ウソの科学 騙しの技術』ですが,これは『愛は科学で解けるのか』に続くサイエンス・サイトークの2巻め。サイエンス・サイトークというのは作家・ジャーナリストの日垣隆さんが第一線の科学者の方々をお招きし,テーマを設定して学生の前でディスカッション,それをTBSラジオとインターネット上のサイトと文庫の3つの形でメディアミックスして発信するものです」
「文庫版ではラジオでは時間の制約で放送できなかった内容まで書き下ろしされるそうです」
「今回のゲストは,構造主義生物学者・池田清彦先生,精神病理学者・中谷陽二先生,動物学者・千石正一先生,教育学者・守一雄先生の4方。それぞれ常識の中のウソ,科学的なふりをした騙しについて語っておられます」

「最初の池田先生が仰ったのは,科学はただの仮説であり,科学の名の元に語られた事象でも検証,再考が大切,ということでよろしいのでしょうか」
「そうですね,ダーウィンの進化についての仮定が出てきて生物についての考え方がひっくり返り,メンデルの遺伝法則の研究でそれまでの進化論が否定される。次にはダーウィンとメンデルの両方をくっつけようという話になる。科学はいわば頭の中の約束事であって,仮説なのです。たとえば1つとして同じH2Oはないのに,水は全部同じだとして話を進める」
「『地球の温暖化は人為的な温室効果の結果』『カマキリのメスは交尾のあとオスを食う』などは一見科学的でも,実は証明されていない。後者は実際はほとんどないようですし,環境ホルモンや電磁波が人間に与える悪影響もそうですね」
「宗教と科学は『信じる』という点で似ているわけです」

「それと関連して守先生の『信じる者は足すくわれる?』という話が問題になってくるわけですが」
「そう,たとえば予言や占いを信じさせるテクニック,信じてしまうレトリックとでもいいますか」
「なぜ人は飛行機に乗るとき『落ちないように』と祈るのか」
「それは,たとえばサイコロで『5が出ますように』と祈る,よい結果が出るとそのことだけが強く印象に残る」
「『家を建てた途端に転勤』,よく聞く話ですが,そういう因果関係があるわけではなく,家を建てられる年齢だと転勤のショックが大きく,記憶に残りやすい。持ち家も家族もない若者の転勤は記憶に残らないわけですね」
「誰かが自分と同じ誕生日である確立は365分の1,という思い込みから,集団の中で『誕生日が同じ=運命の出逢い』と感じることがある。実は集団が23人を越すと,その中に同じ誕生日のペアが存在する確立は5割を越すのです」
「夢も希望もないような気がしますが」
「夢や希望を抱きすぎると詐欺,予言,占いにつけこまれる,ということです」
「占い程度ならまだしも,詐欺,入信となると問題ですね」
「その通りです」
「ここでいったんコマーシャル」

(音楽)Himajin all the people ...
(ナレーション)ログイン一発! ひまじんはネットのホームラン王です!

先頭 表紙

それでは,okkaさまの,リクエスト。ゴーゴーゴーエーンドゴーズオン! / 糸井烏丸 ( 2000-12-25 18:47 )
このノリ最高!シリーズ化希望。できれば往年の深夜放送の感じで・・・。 / okka ( 2000-12-24 15:02 )

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