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烏丸の「くるくる回転図書館 駅前店」

 
今後、新しい私評は、
  烏丸の「くるくる回転図書館 公園通り分館」
にてアップすることにしました。

ひまじんネットには大変お世話になりましたし、
楽しませていただきました。
その機能も昨今のブログに劣るとは思わないのですが、
残念なことに新しい書き込みがなされると、
古い書き込みのURLが少しずつずれていってしまいます。
最近も、せっかく見知らぬ方がコミック評にリンクを張っていただいたのに、
しばらくしてそれがずれてしまうということが起こってしまいました。

こちらはこのまま置いておきます。
よろしかったら新しいブログでまたお会いしましょう。
 

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2000-12-26 『英米短編ミステリー名人選集5 革服の男』 エドワード・D・ホック / 光文社文庫
2000-12-25 [雑談] おもちゃのカンヅメ「未来缶」もゲット
2000-12-25 [雑談] おもちゃのカンヅメ「過去缶」ゲット
2000-12-24 [雑談] カラスマルのブルーな日曜日
2000-12-22 『サイエンス・サイトーク ウソの科学 騙しの技術』 日垣 隆・中谷 陽二・千石 正一・守 一雄 / 新潮OH!文庫
2000-12-22 本の中の強い女,弱い女 その十三 『はやぶさ新八御用帳(八) 春怨根津権現』 平岩弓枝 / 講談社文庫
2000-12-21 ガメラの炎が2本になったのは火薬をケチるため 『史上最強のオタク座談会2 回収』 岡田斗司夫・田中公平・山本 弘 / 音楽専科社
2000-12-19 [雑談] オススメの検索エンジンはどこ?
2000-12-19 あとは白紙 『消えたマンガ家』 大泉実成 / 新潮OH!文庫
2000-12-18 どちら側の山田正紀 『女囮捜査官』シリーズ試論 最終回


2000-12-26 『英米短編ミステリー名人選集5 革服の男』 エドワード・D・ホック / 光文社文庫


【いいえ,何も思いつかないわ】

 昨今の欧米では珍しい本格ミステリ短編集『サム・ホーソーンの事件簿I』がなかなか面白かったので,ホックをもう少し読んでみることにした。本棚を調べると実は以前にも1,2冊読んでいるようなのだが,記憶は見事山のあなたの空遠くに霧散している。
 というわけで,光文社文庫『革服の男』を注文して読んでみた。ホックは先にも書いた通り短編プロパーで,しかもシリーズキャラクターものが多いようなのだが,本書はその引き出しの多さをまざまざと感じさせる作品集になっている。

 たとえば2000歳に近いコプト教徒のオカルト探偵サイモン・アーク,価値のないものしか盗まない怪盗ニック・ヴェルヴェット,田舎医者サム・ホーソーン,100編を越える作品で活躍のジュールズ・レオポルド警部,イギリス諜報部暗号解読専門家ジェフリー・ランド,西部探偵ベン・スノウ,ジプシー探偵ミハイ・ヴラド,長編『大鴉殺人事件』で登場したミステリ作家バーニイ・ハメット,「おしゃれ探偵」をモデルにしたインターポールのセバスチャン・ブルーとローラ・シャルム,古今の探偵をパクったパロディ探偵サー・ギデオン・パロ,百貨店バイヤーのスーザン・ホルト,といった具合。
 実は,今紹介したのは『革服の男』に登場する者たちだけであって,木村仁良の解説で紹介されるホックのシリーズキャラクターは優にこの倍はある。

 するとどういうことが起こるかというと,本書収録作だけ見ても,たとえば熱気球から搭乗者が墜落する謎を追う「熱気球殺人事件」,旅客船での宝石盗難と殺人を描く「五つの棺事件」,州知事選の立候補者が人狼を射殺したという「人狼を撃った男」,フリーマントルふうエスピオナージ「七人の露帝」,ミステリー作家とファンの集いを舞台にした「バウチャーコン殺人事件」,ルーマニアに定住するジプシーがモスクワの競馬に参加して事件に巻き込まれる「ジプシーの勝ち目」,スー族の呪われたテント小屋を扱う「呪われたティピー」,これらにもちろん金や愛憎のからんだオーソドックスな事件を加えて,もうこの作家の頭の中はどうなっているのだろう,という全12編の活況である。

 思うに長編ミステリは,長いがゆえに人間性についての矛盾が露見することが少なくない。トリックを重ねる連続殺人事件など,頑張れば頑張るほどゆがんでくるのである。そんなに頭がよい犯人ならもっとほかの方法で目的が達成できるだろうし,いくら密室やアリバイを構築しても,容疑者への世間の目は冷たい。
 それに比べれば,短編は不自然に見えそうな点をはぶき,中心のアイデアに全力投球すればよい。また,ポー,ドイルなど,ミステリの始祖が短編だったことも忘れてはならない。

 もちろん短編のほうが楽などというつもりはない。
 アイデアは常に斬新で魅力的でなければならないし,長編のようにキャラクターの魅力やユーモア,おどろおどろしい雰囲気で引っ張るわけにもいかない。また,作品数を増やすには広範な発想と勉強も必要だろう。さらに,映画化などによる副収入も多くはないに違いない。
 だからこそ,短編プロパーたるホックの姿勢は高く評価したい。しかも,1つ1つの作品は重厚で,「刑事の妻」のように言葉少なだがトリックより人生の苦味を重視する作品もある。

 日本でも,佐野洋が数年前ミステリ短編1000作執筆という快挙を成し遂げたにもかかわらずあまり高い評価を得たように思えなかった。本格派の若手は,長編ばかりでなく,もっと磨き上げた短編にも挑戦してほしいと思うのだが……。

先頭 表紙

(6)ゲゾラはイカの怪獣で,イカは冷血動物だから……って,変温動物の血は冷たいわけじゃないぞ(この映画,怪獣のネーミングがゲゾラ・ガニメ・カメーバというくらい手抜きの山)。(7)「こんなものは叩けば直るんだ」。(8)荷物と一緒に積んだら,ロケット打ち上げ時のGでガチャピンの着ぐるみがぺちゃんこになって使えなかったから。 / 烏丸 ( 2000-12-28 13:05 )
それはともかく,特撮カルトクイズの回答を書いていませんでした。(1)ゴジラを絶賛したのは三島由紀夫。(2)食べちゃいけないのはキノコ。火を通してもダメだったんでしょうか。(3)「ドリンキン」。インファント島って英語圏? (4)左からイチロー,ジロー,サブロー。(5)黒柳徹子。 / 烏丸 ( 2000-12-28 13:05 )
あややさま,この『皮服の男』はホック傑作短編集のオモムキですから,やたら登場人物がいっぱいです。ですので,毎晩1作ずつ,寝る前に読むのがおすすめ。 / 烏丸 ( 2000-12-28 12:52 )
登場人物が多いと、もうそれだけでアタマが混乱してしまう私です。くっぅぅ。ツインピークスでもつらかった。 / あやや ( 2000-12-27 23:48 )

2000-12-25 [雑談] おもちゃのカンヅメ「未来缶」もゲット


【最高で金,最低でも銀】

 続いては,「未来缶(正式名称:未来から落ちてきたカンヅメ)」。

 とある小さな農場で,一人の農民が未確認飛行物体と遭遇した。3か月後,記憶を失った彼が再び姿を現したとき,その手には1つの光るカンヅメがあった。それこそ,彼が2099年を訪れたときのカンヅメだったのだ!

 ……というわけで,缶のデザインは,過去缶よりこちらのほうがcool。なにしろ銀色の左右のフタはどちらも開けることが可能なのである。

 缶のすぐ左は,「キョロちゃん宇宙へ行く」,プラスチックのチューブの中で,なんとキョロちゃんが浮いている! スーパージェッターでもおなじみの反重力装置だ。
 その下,「メタリックカードケース」,あなただけのナンバー入り。未来人はこの銀色のケースで名刺のやり取りをしている。もちろん,タコ足火星人だって,名刺を差し出すときは右手,受け取るときは両手だ。
 その手前,銀のボールに肌色の足が生えているのが「物体X」。左右に10回くらいねじって平らなところに置くと,うねうねと動き出す。未来人はついに永久運動機関を実現したのか!
 カードケースの右,青いのが「不思議な球体」。ボールを滑らせても,転がしても,中の青い模様はそのままだ! しかも渦巻き模様は常に北の方向を指しているぞ。ということはその反対は南ということか。さすがは未来科学!
 その右が「宇宙の積み木」。添付画像ではわかりにくいが,黒い台の上で,星型,月型の薄い金属片でいろいろな形が作れる。未来の幼年教育の教材なのだろう。独創的な空間感覚で21世紀のアートは君のものだ。
 最後,右手前は「ミラクルシート」。宇宙生物を描いたシートを手のひらに乗せてしばらくすると,わにゃわにゃと動き出す。おおっ,21世紀のバイオテクノロジーは,お好み焼きの上のカツオぶしを無機物で再現することに成功したのかっ!

 しかし,皆さん,ここで見たことは決して外に漏らしてはならない。未来のグッズが公になってしまうと,歴史が狂ってしまうのである。

先頭 表紙

よちみさま,あややさま,笑っていただけて本望でございます。でも,目の調子がイマイチだと,なんだかぽけーっとした感じで,「過去缶」のほうなんかぜんぜんノリが悪い……。 / 烏丸 ( 2000-12-26 16:32 )
おもちゃそのものよりも烏丸さまのコメントのほうが面白い。 / あやや ( 2000-12-25 23:52 )
おかし〜(涙) お好み焼きの上のかつおぶし無機物版見たい〜! / よちみ ( 2000-12-25 20:40 )

2000-12-25 [雑談] おもちゃのカンヅメ「過去缶」ゲット


【クエッ クエッ クエッ チョコボーオールー】

 「おもちゃのカンヅメ」とは言うまでもなく森永製菓の「チョコボール」の景品で,長寿プレゼントの1つとして有名である(もう一方の長寿プレゼント,ライオンのブルーダイヤ「金・銀・パールプレゼント」は1998年に復活したが,今も昔も当選した人の話を聞いたことがない……)。
 「チョコボール」の箱の取り出し口のところに,金のエンゼルがあれば1枚,銀のエンゼルなら5枚を送ればこの「おもちゃのカンズメ」がもらえるのだが,その内容は「男の子向け」と「女の子向け」,「中高生向け」と「小学生向け」と,缶のデザイン,内容ともに,あれこれ変遷してきた。
 今回,最新の「未来缶」と「過去缶」をそれぞれ手に入れたので,内容を簡単にご紹介しよう。
 まず,「過去缶(正式名称:過去から発掘されたカンヅメ)」から。

 缶のデザインは四角缶タイプで,マヤ文明ふうのキョロちゃんが描かれている。
 添付画像,缶の左下は「革風巾着袋」,ナンバー入り。旧石器時代には貴重な石器をこれに入れて持ち歩いた。早朝には袋から出して発掘現場に埋めたりもしたらしい。
 その右は「動く恐竜」,動かすと恐竜の首が上下する。見事な人形ストップモーション! ただし,ラクウェル・ウェルチは付いていない。
 手前左は「万華鏡」。レンズを覗くとプリズムの働きで風景がきれいに分割されて見える。トルテカの王ケツァルコアトルが呪術に用いたと言われている。
 その右が「砂時計」,こちら側だとキョロちゃんの足跡,反対側だとキョロちゃんの目の形に砂が落ちる。ちょっと不思議な感じ。ただし,砂が全部落ちないので,時計としては使えない。トルテカの王ケツァルコアトルが目覚ましに用いたと言われている。
 その右,「勾玉」。のぞき窓から中をのぞくときれいな絵が見える。トルテカの王……くどい。
 その右,「ステープラー(台座付)」,普通のホッチキスの針(No.10)が使える。ところで,あなたはホッチキスの針は,針? 芯? タマ?

 というわけで,「未来缶」に続く。

先頭 表紙

烏丸は「MAXの製品に『針』と書いてあるから『針』だわな」と思っていたら,『タマ』派の人に「おばか,それは『針』と書いて『タマ』と読むンだよ」と言われて撃沈。うるうる。 / 烏丸 ( 2000-12-26 16:34 )
僕は当初は「針」派、しかし最初に入ったデザイン会社で「タマ」派に改宗させられちゃいました。 / TAKE ( 2000-12-26 12:55 )
私も「針」です。おもちゃの缶詰というえば田中星児。「いいもの入ってるオモチャの缶詰オモチャの缶詰があったるぅ〜♪(セリフ)なーにーがー入ってるっかな?「いいもの!」「おもちゃ!」「おっしえなぁ〜い」←この「おっしえなぁ〜い」が、子供心に意地の悪いヤツだなぁと思いました。 / あやや ( 2000-12-25 23:50 )
え! 針だと思ってたよ。それにしても、これがウワサのオモチャの缶詰! カンド〜。 / よちみ ( 2000-12-25 20:39 )
私は「タマ」です・・・ホッチキスってマシンガンと関連があるらしいので。 / 2ダブ ( 2000-12-25 19:04 )

2000-12-24 [雑談] カラスマルのブルーな日曜日

 
 本が読めない。目の調子が悪いのだ。いや,目の調子そのものはそんなに悪いわけではないのだが,目薬が瞳孔を開くタイプのもので,それをさすとピントが合わず,文字も絵もちゃんと見えなくなってしまうのだ。眼帯でもして,無事なほうの目だけで読む手もあるが,そちらまで悪くなったらやっかいなのでそういうわけにもいかないのだ。
 さりとて外に出かけるには,この快晴,陽光がまぶしくてたまらない。目医者の行き帰り用にサングラスは持っているのだが,サングラスかけてママチャリで闊歩するのはご近所さまの視線が痛いのである。思えば○年前,この地に引っ越してきたときは烏丸もまったく無名の匿名A氏に過ぎなかったのだが,月日というものは残酷なもので,幼稚園の母親たちの間にも烏丸の顔は知れ渡り,いまや本屋でいかがわしい本の前に立っているだけで「○○くんのパパがアレを見ていた」とご近所に知れてしまうのである。K市とその周辺では,フランス書院文庫などもちろんのこと,朝日ソノラマのネムキ本すら買えない私であった。
 それなら年の瀬の大掃除なり,年賀状書きなりすればよいではないか,と頭では理解しているのだが,あいにく20世紀はまだ一週間はある。締め切りの前に仕事を片付ける生き物が烏丸の辞書に載っていたことがかつてあっただろうか,いや,ない。というわけで,片付けや年賀状など21世紀になって生まれ変わった烏丸に任せればよいのである。
 と,ぶつぶつ言いながらカレンダーを見れば,そうか,今日はクリスマスイヴか。

 しかし,振り向いても家人の姿はない。そうか,昨日,実家に帰ってしまったのだった。
 ブルー。

先頭 表紙

皆様,ご心配おかけしてもうしわけありません。目はそれほどひどい状態ではありませんのでどうぞご心配なく。どっちかというと,家人がいなくて,「ジャムが……どこだ?」「紅茶は……これはアメリカひじき」(←作るんじゃない)と,生活のほうの手間がかかってわたわたしております。 / 烏丸 ( 2000-12-25 18:44 )
↓代返?? / こすもぽたりん ( 2000-12-25 16:28 )
それはだいへん。お大事に! / あやや ( 2000-12-25 08:04 )
烏丸様、お目の具合、いかがですか?液晶display なら割と楽です・・・ご近所の目というのは本当、厳しいですね。こちらが気付かなくてもあっちはしっかり見てて・・・みたいな事。私も近所の大手スーパーマーケットに入っている書店ではなるべく怪しい本は見ない・買わないように、と心がけてはいるのですがどうしても長居してしまって・・・ / 結局買った本数知れず。 ( 2000-12-25 01:13 )
自分の場合でもパソコンで仕事して、パソコンで息抜きして…と目の休まる時が少ない気がします。モニタ&ブラウン管禁止の日を作ろうと思うのですが、なかなか厳しいですよね。 / お大事に@TAKE ( 2000-12-24 23:59 )
烏丸さま、お大事に! / ロダン ( 2000-12-24 22:47 )
おや烏丸さま、麗しの奥様がご一緒じゃないなんて珍しい。目の悪い時にディスプレイを眺めていらっしゃるなんてもってのほか。今年のクリスマスは私も一人なんです。よろしかったらご一緒しませんか。一押しの作家の話などいたしましょうよ。……って、ひまじんでお誘いしてはやっぱり目に悪いですね(苦笑)。 / 失礼いたしました ( 2000-12-24 20:26 )
我が家は大掃除でございました。8月の引越しから今まで片付けをさぼっていたので、仕方なく。いやまあ、買っただけで読んでない本が出てくるわ出てくるわ。昨晩は、『勇気凛々ルリの色』、『同 四十肩と恋愛』、『中国てなもんや商社』など、くるくる図書館シリーズを読んでおりました。 / こすもぽたりん ( 2000-12-24 17:12 )
家人が烏丸様を残して実家に帰られたとは、それはお寂しい。なおかつ、大好きなご本も目の調子が悪くては思うままに読むのも無理ですか。お大事に。やばい本の立ち読みはご近所でなく都心の改装ビルでどうぞ。 / たら子母 ( 2000-12-24 16:59 )
いあやぁ〜ん、目の調子が悪いなんてお気の毒です。。。イライラしちゃうし、神経が疲れますものね。。。おまけに一人ぼっちだなんて、寂しすぎる気もするのですが、烏丸様の事だから、ノンビリとお身体を休めていれば何方かからのお誘いが有るのでワ!?ご無理為さらないように、目を休めてあげて下さいね。。。 / 少々気弱@peach ( 2000-12-24 15:28 )

2000-12-22 『サイエンス・サイトーク ウソの科学 騙しの技術』 日垣 隆・中谷 陽二・千石 正一・守 一雄 / 新潮OH!文庫


【信じる者は騙される】

「ひまじんラジオがお届けする午後のくるくるカラスマルアワー,本日ご紹介する本はまたしても新潮OH!文庫」
「ことさら宣伝するつもりはないのですが,妙にウマが合うといいますか。また選んでしまいました」
「新潮社から上げ底の菓子折りが届く,ということはありませんか」
「山吹色のお菓子は無理でしょうが,もしお歳暮にミカンなりが届いたなら受け取るのはやぶさかではありません」
「新潮社の皆さま,ミカンの送り先は渋柿区銀杏,ひまじんラジオ,午後のくるくるカラスマルアワーまで」

「さて本日取り上げる『ウソの科学 騙しの技術』ですが,これは『愛は科学で解けるのか』に続くサイエンス・サイトークの2巻め。サイエンス・サイトークというのは作家・ジャーナリストの日垣隆さんが第一線の科学者の方々をお招きし,テーマを設定して学生の前でディスカッション,それをTBSラジオとインターネット上のサイトと文庫の3つの形でメディアミックスして発信するものです」
「文庫版ではラジオでは時間の制約で放送できなかった内容まで書き下ろしされるそうです」
「今回のゲストは,構造主義生物学者・池田清彦先生,精神病理学者・中谷陽二先生,動物学者・千石正一先生,教育学者・守一雄先生の4方。それぞれ常識の中のウソ,科学的なふりをした騙しについて語っておられます」

「最初の池田先生が仰ったのは,科学はただの仮説であり,科学の名の元に語られた事象でも検証,再考が大切,ということでよろしいのでしょうか」
「そうですね,ダーウィンの進化についての仮定が出てきて生物についての考え方がひっくり返り,メンデルの遺伝法則の研究でそれまでの進化論が否定される。次にはダーウィンとメンデルの両方をくっつけようという話になる。科学はいわば頭の中の約束事であって,仮説なのです。たとえば1つとして同じH2Oはないのに,水は全部同じだとして話を進める」
「『地球の温暖化は人為的な温室効果の結果』『カマキリのメスは交尾のあとオスを食う』などは一見科学的でも,実は証明されていない。後者は実際はほとんどないようですし,環境ホルモンや電磁波が人間に与える悪影響もそうですね」
「宗教と科学は『信じる』という点で似ているわけです」

「それと関連して守先生の『信じる者は足すくわれる?』という話が問題になってくるわけですが」
「そう,たとえば予言や占いを信じさせるテクニック,信じてしまうレトリックとでもいいますか」
「なぜ人は飛行機に乗るとき『落ちないように』と祈るのか」
「それは,たとえばサイコロで『5が出ますように』と祈る,よい結果が出るとそのことだけが強く印象に残る」
「『家を建てた途端に転勤』,よく聞く話ですが,そういう因果関係があるわけではなく,家を建てられる年齢だと転勤のショックが大きく,記憶に残りやすい。持ち家も家族もない若者の転勤は記憶に残らないわけですね」
「誰かが自分と同じ誕生日である確立は365分の1,という思い込みから,集団の中で『誕生日が同じ=運命の出逢い』と感じることがある。実は集団が23人を越すと,その中に同じ誕生日のペアが存在する確立は5割を越すのです」
「夢も希望もないような気がしますが」
「夢や希望を抱きすぎると詐欺,予言,占いにつけこまれる,ということです」
「占い程度ならまだしも,詐欺,入信となると問題ですね」
「その通りです」
「ここでいったんコマーシャル」

(音楽)Himajin all the people ...
(ナレーション)ログイン一発! ひまじんはネットのホームラン王です!

先頭 表紙

それでは,okkaさまの,リクエスト。ゴーゴーゴーエーンドゴーズオン! / 糸井烏丸 ( 2000-12-25 18:47 )
このノリ最高!シリーズ化希望。できれば往年の深夜放送の感じで・・・。 / okka ( 2000-12-24 15:02 )

2000-12-22 本の中の強い女,弱い女 その十三 『はやぶさ新八御用帳(八) 春怨根津権現』 平岩弓枝 / 講談社文庫


【右に聖天社,並んで弁天社】

 以前,マンガの最終回をいくつか話題にしたことがあるが,最後がわからないのはストレスがたまるものだ。『あしたのジョー』や『巨人の星』,『エースをねらえ!』のように最終回が明確で,しかも書店店頭で比較的簡単に手にできるものはよいが,どう終わったのか思い出せないマイナー作品はやっかいだし,『サイボーグ009』のように作者が亡くなってしまったもの,『ゴルゴ13』のように最後が予測できないもの,『ガラスの仮面』のように中断したままのものなどはどうすればよいのか。

 小説でも同様なことはいえる。
 池波正太郎の『鬼平犯科帳』や『剣客商売』は,作者の死によって永遠に未完となった。作中にときどき主人公の老いや死についてふっと触れられているだけに,はたしてどのような終幕が用意されていたのか,それともとくに用意されていなかったのか,そのあたりはわからない。

 時代小説といえば,現在も継続されている作品の1つに,平岩弓枝『御宿かわせみ』(現在24巻まで)がある。江戸後期,大川端の旅篭「かわせみ」を舞台に,武家の次男坊・神林東吾とかわせみの女主人・るいの恋を中心に展開する物語。作品はすべて短編で(総数200編以上!),江戸の町に起こるさまざまな事件を扱かった一種の捕物帳でもある。
 同心の娘だったるいが武家を捨てたこと,東吾の兄・通之進に子供がなく東吾が神林家の与力職を継ぐ可能性があったことなどから2人の行く末に読者ははらはらしたものだが,27年にもわたる連載の間に東吾とるいは夫婦となり,最近は待望の子供(千春)も生まれた。通之進夫婦も(少々わけありだが)麻太郎という養子を得た。しかし,黒船来航など時代背景は切迫しており,展開は予断を許さない。

 とまあ,『鬼平犯科帳』や『御宿かわせみ』は手放しでお奨めできるのだが,同じ平岩弓枝が書き続ける『はやぶさ新八御用帳』はさてどうか。
 こちらの主人公・隼新八郎は,南町奉行根岸肥前守の内与力。本来与力は町奉行所という機関に所属する役職(世襲)で奉行個人の家来ではないが,内与力は奉行が自分の家臣を奉行所勤務とさせたもの。いわば奉行の直属の部下であり,腹心中の腹心といえる。

 『はやぶさ新八御用帳』の第1作「大奥の恋人」は長編で,かなりシリアスな印象だった。切なくもにぎやかな市井を描く『御宿かわせみ』に対し,こちらは武家の禁忌や傲慢,男女の愛憎など救いのないテーマが少なくない。しかし,第3作以降の短編集では「今日もお江戸は日本晴れ」な能天気度が増し,どうも鬼平の権力とかわせみのアットホームさのよいとこどり,そんな感じになってしまった。
 そうなると主人公の調子のよさが鼻につくのは烏丸だけだろうか。奉行の権力をかさに行く先々で「殿様」と持ち上げられ,妻を娶った後でかつて屋敷に奉公していたお鯉を愛していることに気がつく。相思相愛をよいことにお鯉を危険な任務に送り込み,なさぬ仲になり,あげく上司たる南町奉行の身の回りの世話をさせて事件解決のアイデアを借りる。つまり家に帰れば正妻,勤め先には聡明でおきゃんな愛人が待つわけだ。

 文庫の新刊が発売されるたびつい手にしてしまう本シリーズではあるが,その最終回が読めなくともさほど惜しいとは思えない。奉行が失職,新八郎とお鯉が引き裂かれる,妻・郁江が自害,そんな展開ならともかく,一見ほのぼのに見えて内にいろいろ抱えるかわせみに比べ,まるでお気楽極楽なはやぶさ新八。お上にかわっておしおきよ。

先頭 表紙

根津権現の地域一帯については,ぽたりんさまご紹介の『不思議の町 根津』をご参照のこと。『はやぶさ新八』によると根津権現は日本武尊(やまとたけるのみこと)の東征の際に勝利を祈願して千駄木に創建されたとありますが,本当なんですかね。 / 烏丸 ( 2000-12-22 02:19 )

2000-12-21 ガメラの炎が2本になったのは火薬をケチるため 『史上最強のオタク座談会2 回収』 岡田斗司夫・田中公平・山本 弘 / 音楽専科社


【脳みそを薄目開けたような感じにして見る】

 少し前にご紹介した,『史上最強のオタク座談会 封印』に続く極悪鼎談。
 オタキング・岡田斗司夫,アニメ音楽家・田中公平,と学会会長・山本弘の今回の標的は「特撮モノ」。現役のアニメスタッフ,声優をぼこぼこにした前回に比べると,古い特撮映画,番組が対象で,アングラな色合いは薄れ,特撮文化全般についてのフランクな批評がベースとなっている(そうか?)。

 ところで,アニメオタク,マンガオタクも切ないものがあるが,それ以上に特撮オタクは業が深い。
 なぜなら,特撮オタクが蓄積し,咀嚼するのは戦後という時の蔭であり,時代の背景にへばりついた濁りなのだ。そうでなくて,いかに『ゴジラ対ヘドラ』の「100万人ゴーゴー大会! イカす,イカすぅ!!」なんてのを愛せるだろう。
 とにもかくにも特撮モノを楽しむためには

岡田 中学生ぐらいの時にね,心の中のシフト・チェンジがあって,「酔狂」というギアがガチャッと入るじゃないですか。

この「酔狂」が必須。幼稚園児がタイムレンジャー見るならともかく,大人が特撮モノに走ると

岡田 前頭葉あんまり使わんようにして見へんかったら,つらいやないですか。

だから,シッポ丸めて空を飛ぶゴジラ(本当)に「まさか」「あほな」と常識フィルターが入る直前,「酔狂」方面に意識を流し,その上で「ほぉ,よーできとるやないか」とラスクくわえて楽しむのである。

 烏丸は十数年前の平成ゴジラブームの折り,毎週都内のオールナイト,二番館をはしごした。浅草で『フランケンシュタイン対バラゴン』を見た夜は,その頃亡くなったゴジラ博士(オキシジェンデストロイヤーで唯一ゴジラに勝った男)平田昭彦の名がスタッフロールに表示された際,場内に沸き起こった拍手に参加。その翌週,池袋で『獣人雪男』を見た折りには幕間の通路で同世代の青年に目で「ライター貸してもらえますか」と訴えられ,「あなたは先週も浅草に」と目で語れば,向こうも「お互いに……」と煙草のけむりをくゆらせるのであった。

「ここは危険です。オタクが,出るのです」目のすわった若林映子
「オウ,あなたここで待っていてくだサイ」ラス・タンブリン
「これをオタク電撃作戦と命名する」田崎潤
「この先は進入禁止であります」轟天号無名兵士
「いいんだ」後部座席の平田昭彦
「あ,あ〜,こりゃ大変だ」ゆで玉子こぼしながら藤木悠
「おくらせるわけにはいかないだろう。1日いくらかかると思ってるんだ」苦りきった佐原健二
「青春を返してください」どこからともなくザ・ピーナッツ
「惜しい。実に惜しい」沈鬱,志村喬

 まぁ,とりあえず,ここは特撮カルトクイズをいくつか。

(1) 初代『ゴジラ』を「素晴しい着想で面白い」と絶賛した著名作家は?
(2) ホラー映画『マタンゴ』,食べちゃいけないのは?
(3) 『モスラ対ゴジラ』,インファント島民が宝田明,小泉博たちに赤い液体を飲ませた際,何と言って飲ませた?
(4) キングギドラの3つの首には,実は名前がある。左から順に答えよ。
(5) 『サンダーバード』のロンドン支部,ペネロープの声を担当したのは?
(6) 『決戦!南海の大怪獣』,ある怪獣が現れる時は海の水が凍りついた。なぜ?
(7) 『アルマゲドン』,彗星に核爆弾を仕掛けた後,脱出しようとしたらスペース・シャトルのエンジンが掛からない。どうやって直した?
(8) ロシアからポンキッキーズの「ガチャピン宇宙へ行く」企画,その後音沙汰ないのは?

先頭 表紙

このほか,『大怪獣バラン』で「日本のチベット」と呼ばれたのはどこ? という問題を考えたんですが,昨夜,最初の十数分だけ見直してみたところ,「秘境です」としか言われてない。おっかしーなー,記憶間違いかしらん。それとも「日本のチベット」というセリフはほかの映画だったか……。(ちなみに『バラン』で「秘境」扱いされるのは東北地方の北上川上流) / 烏丸 ( 2000-12-21 18:20 )
ちょっと問題のランクがバラバラすぎましたね。マタンゴはそれで正解なんですが,そのマタンゴって何の名前,という初級問題。ほかにいくらでも問題作れるのに,ちょっと悪問でした……。(4)はスタッフ間の名称なんでしょう,映画の中で発音されたとは思えません。だから,その「日本的な」で多分正解。 / 烏丸 ( 2000-12-21 18:16 )
う〜む、(5)しかわからん…。(4)は、絵コンテ上の話なんですかね、本当に名前がついていたんですかね? あの極めて日本的な三兄弟の名前だろうか…。(2)もわからんよなあ。『マタンゴ』で食べちゃいけないのは、「マタンゴ」だし…。しかし、それでは問題にならんし…。うむむ。 / こすもぽたりん ( 2000-12-21 16:44 )

2000-12-19 [雑談] オススメの検索エンジンはどこ?


 
 インターネット上で,キーワードを入力するとその言葉の書かれたページをかたっぱしから探し出してくれるサービスのことを「検索エンジン」と言います。ここでは烏丸が本やマンガについての情報を探すときによく利用する検索エンジンについて,簡単に紹介しましょう。

 日本で検索エンジンという言葉をメジャーにしたのは,「Yahoo!JAPAN」(ヤフージャパンと読む)でした。しかし,Yahoo!のデータは審査・登録制かつカテゴリ分類式で,ロボットと呼ばれるプログラムがインターネット上をかけめぐり,自動的にデータを集めてくる他の検索エンジンに比べると見つけられるサイトの数は非常に貧弱です。その分,大手企業のトップページなどを探すのは簡単です。
 Yahoo!JAPANはいまやニュースや株価,テレビ番組表,掲示板など,総合情報サービスとみなしたほうがよいでしょう。
※「ひまじんネット」で検索するとヒット10件。これは,Yahoo!JAPANの場合,自前の検索候補がない場合は次に紹介する「goo」の助けを借りてページを検索するため。

 ロボット型の代表的な検索エンジンといえば「goo」(グーと読む)でしたが,ここはページ表示や検索が重く,最近は今一つです。ただ「■最新の結果(**件)」は最近書かれたページ,存在が確認されたページを教えてくれて便利です。
※「ひまじんネット」で最新の結果ヒット1件,一般の結果ヒット10件。

 「インフォシーク」はgooに比べるとずっと軽いのが魅力で,データもなかなか充実しています。ただ,たとえばキーワードに「SFの衰退」と入れた場合,勝手に構文解釈して「SF」と「衰退」に分け,両方あるページを探し出してしまいます。そんなときは半角ダブルクォーテーションで囲って「"SFの衰退"」で探せばよいのですが,そもそもそういう複合語検索向きでないようで,あまりたくさんは得られません。
※「ひまじんネット」でヒット7件。

 「先週のニュースにあったはずなんだけど……」というような新しいデータを探すなら「フレッシュアイ」がオススメ。ともかくここのロボットは活きがよく,ほんの数日前の出来事でもきっちり見つけられます。その分,有名サイトなど,ある程度データがかっちり構築され,手が加えられてない場合はあまりヒットしないので,ほかの検索エンジンと組み合わせる必要があります。
※「ひまじんネット」でヒット2件。

 さて,最後に,烏丸が最近一番頼りにしている検索エンジン,それは「Google」(グーグルと読むという説が優勢)です。ここは添付画像のようにシンプルで,ともかく軽い,データをよく見つける,新しいデータにも比較的強い,などいろいろ利点があり,さらに見つけ出したページについて,もしそのページの内容がすでに書き換えられていたり消されていたりしていても「キャッシュ」ボタンでテキストだけ表示させることができるのです。この「キャッシュ」機能,いずれは著作権の問題が派生するのではないかと思われますが,なかなか便利に使えています。
※「ひまじんネット」でヒット23件。

 その他の検索エンジンについては,「検索エンジンの山」をご参照ください。

先頭 表紙

okkaさま,GS独特の擬似欧風ロマンティシズム,大好きです。とくにタイガース。「落葉の物語」なんて「愛のショコラーテ」ですもんね,「ショコラーテ」。明治ミルクチョコレート。はーい。ああ「銀河のロマンス」!おお「花の首飾り」! / 烏丸 ( 2000-12-21 19:03 )
絵子縁さま,".sh"とか".to"に弱いというのは存じませんでした。なるほど〜。 / 烏丸 ( 2000-12-21 18:52 )
撫子さま,My Yahoo!は登録しておられますか。いろいろ設定できて便利です。 / 烏丸 ( 2000-12-21 18:51 )
Googleたしかに重宝します。いいですね。早速GS関係いろいろ調べました。ありがとうございます。 / okka ( 2000-12-21 17:41 )
大抵InfoseekかGoogleですね。ただ、Googleは".sh"とか".to"系の検索に弱いように感じます。でも、それ以外であればかなり重宝します。 / 絵子縁 ( 2000-12-21 10:22 )
検索エンジンかぁ。もっぱらyahoo!です。なぜならパソコンを始めたときにここが主流だったから・・・。 / 撫子 ( 2000-12-20 23:46 )
早速お答えいただきありがとうございます。Yahoo!やInfoseekの使い勝手、まったく同感です。ところで…ヤバイですかねぇ、あのキャッシュは私も重宝してますが。あれだけのデータをとっといてくれるのはユーザーとしては助かるなぁと単純に喜んでおりました。あとグーグルは結果の表示順もいいですよね。プライオリティ高いサイトがちゃんと最初の方に表示されてくる気がします。どういう仕組みなんでしょう。リンク張られている数とかでサイトの質を判断しているのかな。 / 美奈子 ( 2000-12-19 22:12 )
2ダブさま,しかしこのキャッシュ,サイトやプロバイダ側がデータを消した後にも残るというのは,ヤバい橋のような気もします。個人情報とか漏洩したときはやっかいかも。(画像はキャッシュされないようなので(容量考えれば当たり前!),エログロ,少年東クンまわりなどはかなり回避できるとしても。 / 烏丸 ( 2000-12-19 14:51 )
えむさま,最近は,企業の公式カタログや商品ラインナップは「Yahoo!」で,それ以外,まずは「Google」,最新ニュースは「フレッシュアイ」,それでも情報が足りないときはほかを順繰りに……といった感じです。たいてい「Google」でこと足りるんですけどね。 / 烏丸 ( 2000-12-19 14:48 )
googleはホント便利だと思います。削除されたヤツまでキャッシュしてるのはスゴイ。妖しいけど。調べものがあるときの、強い味方です。 / 2ダブ ( 2000-12-19 14:46 )
なるほどー。用途にあわせて色々な検索エンジンを使い分けるといいんですね。いつもだいたいYahooかGooかInfoseekかLycosしか使ってませんでした・・。余談ですが、前勤めてた会社の課長が自慢気に「ヤホーがね・・」と話しててずっこけ(死語)ました。本人曰く「ネットには詳しいんだよね」とのことです。・・うーむ。 / えむ ( 2000-12-19 14:41 )
基本的なお作法として,通常,複数のキーワードをスペースで区切って入力すれば,両方書かれたページを検索してくれます。 / 烏丸 ( 2000-12-19 14:33 )

2000-12-19 あとは白紙 『消えたマンガ家』 大泉実成 / 新潮OH!文庫


【誰も聞こうとはしなかったということですかね】

 本書巻頭で,クイックジャパン編集長・赤田祐一氏は言う,「でもさ,誰にでも胸の中に一人くらい『消えたマンガ家』がいるんだよ」。
 もちろん,消えるのはマンガ家だけではない。ロックミュージシャンも,映画人も,お笑いタレントも,誰もが消えていく。だが,マンガ誌が週刊化された後の時代に現れ,「実力があるがゆえに量産を強制され,その繊細さゆえに,やがて毀れて,消えていく」マンガ家たちには,どこか共通の気配がある。

 オウム真理教をはじめとする宗教団体潜入ルポで知られる大泉実成の『消えたマンガ家』シリーズは,その,消えた(消された)マンガ家たちにスポットをあて,その軌跡を追い,現在を(執拗に)訪ねる。太田出版版では3分冊だったものが,新潮OH!文庫版では「ダウナー系の巻」「アッパー系の巻」の2冊にまとめ直されている。
 それぞれに収録されたマンガ家は,
◎ダウナー系の巻
 ちばあきお・山田花子・鴨川つばめ・安部慎一・中本繁・冨樫義博・内田善美・ねこぢる
◎アッパー系の巻
 とりいかずよし・ふくしま政美・山本鈴美香・美内すずえ・黒田みのる・徳南晴一郎・竹内寛行
(太田出版版の第3巻に収録された「“消えたマンガ家”からの手紙 高橋伸次」「早すぎた“二四年組” 岡田史子ロング・インタビュー」はなぜか削除され,代わりに「鳥山明はエホバの証人だった!?」が収録されている)

 全体に,ダウナー系の作家は,自らの生きざまと作家活動に倦み疲れ,マンガ家であることを放棄したり,何人かは生きることそのものからリタイアしている。
 ことに,通常の生活者としてすら生きながらえなかったあるマンガ家,子供の頃からいじめなどの疎外感に悩み,自分の個人的な見解を世間一般の“常識”にすり換えて作家を支配しようとし恩着せがましく説教を繰り返した編集者に対し後でセクハラ行為があったと訴え執拗にいたずら電話をかけ,バイト先の喫茶店を解雇された後でも通い従業員待合室に座り込む。「痛い」としか言いようがない。
 ハイテンションに勘違いを増幅していくアッパー系では,なんといっても死者まで出した宗教団体「神山会」のヒメ(巫女)と化した山本鈴美香の「とんでも」度が高く,一種,素晴らしい。大泉,赤田両名は神山会に潜入取材を試みるが,山本当人には会えないものの,その父親の自我肥大度が強烈で,彼の繰り出す怒涛のごとき「ありがたいお言葉」を読むだけでもこの本を買う価値があろうというものだ。そして,その顔が六〇代になった宗方コーチだった,というオチ付きでもある。アマテラスについての講演イベントで「大地を固める」ためにシコをふみ狂う一見五〇歳くらいの関西弁のおばちゃん(無論,美内すずえのことである)も実にいい味出している。

 その他,あれやこれやの中で,最も心を打たれたのは『マカロニほうれん荘』鴨川つばめのロングインタビューだった。破天荒な父親のもとに育ち,既存のマンガ界に刃向かう苛烈な青春時代,破滅的な創作活動,終結,布団にもぐり込み死を思う数年,宗教に関する本を読みまくる時期。
 人間は,これほどの沈潜の後でも再生できるのか。

 消えたマンガ家たちの絶頂期が幸福だったのか,不幸だったのか,それはわからない。
 1つだけ言えるのは,人には誰でも「いかに世に出るか」ではなく「いつ,いかに消えるか」がテーマになる時期がやがて訪れる,ということだ。本書を興味深いサブカル本と読むべきか,先人の苦い蹉跌と見るべきか……前者でいられる間は,よいのだ。

先頭 表紙

一時期「死亡説」も出てましたからねぇ<鴨川氏。復帰後の彼の作品もある意味「ぶっ飛んだ感じ」がして好きですね。 / 絵子縁 ( 2000-12-21 10:26 )
okkaさま,同じ作者の前後の作品はなくはありませんが,あれはワン・アンド・オンリーではないでしょうか。烏丸は連載当時,ちょっと自分とズレがあってそんなに熱中はしませんでしたが,夜の巷の魑魅魍魎の中をとしちゃんが歩く有名な1ページには鳥肌立ちました。『こまわりくん』が陰部の皮膚なら,『マカロニ』は内臓的な印象。 / 烏丸 ( 2000-12-20 15:09 )
TERESAさま,いらっしゃいませ。ちばあきおは白く,シンプルな絵柄でしたが,あれは何度も何度も何度も何度も何度も何度もメモや下描きを重ね,展開を検討したあげくの作画だったそうです。ちなみに,烏丸は『キャプテン』『プレイボール』は持っていません。老後の元気玉にとっておくのです。 / 烏丸 ( 2000-12-20 15:05 )
ふむふむ。あれの「続」ではないのね。「マカロニほうれん荘」のノリの新しい漫画ってあるんでしょうか?あったら読んでみたい。 / okka ( 2000-12-19 22:34 )
初めてこちらにおじゃましまーす。うーむ。「ちばあきお」何気に「プレイボール」夢中で読みましたね〜。一人の高校生が、自らの力で弱小野球部を立て直していくお話、好きだったのになー。 / TERESA ( 2000-12-19 21:11 )
だって,「あらあらあたしは乙女のきんどーちゃん!」だって男ですもの。 / 烏丸 ( 2000-12-19 14:44 )
山田花子は……サブカル本のコーナーなどで評価高いようですが,読みたい絵柄,内容ではなさそうなので,ちゃんと目を通していません。今回のを読んで,ますます腰が引けました。病的なのは嫌いではないけど,ちょっと方向が違うかなあ。 / 烏丸 ( 2000-12-19 14:40 )
笈川かおる,絵柄は『すずめ報告』のあたりからそんなに変わっていません。ただ,内容が……なんというか情け容赦なし,アンハッピーエンドだからなんだよ,なんですね。 / 烏丸 ( 2000-12-19 14:36 )
えっ、鴨川つばめって「彼」なんだ。「彼女」だと思ってた…。 / こすもぽたりん ( 2000-12-19 14:04 )
んんん〜、山田花子かあ。死んでからというもの評論家の間で何かと取り沙汰されているので、一度読んでみようと思っていたんですけど、痛そうだからやめときましょうか。それにしても、笈川かおるがまだ描いていたとわっ。絵柄は全然違うものになっちゃったんでしょうね〜。 / こすもぽたりん ( 2000-12-19 14:03 )
笈川かおるは,最新刊『ばってんbox』が1997年,その前も数年に1冊テンポですから,まだ完全に消えたというわけでは……。でも,最近はどんどんメジャーになることを拒否しそうな内容に走っていたからなあ。 / 烏丸 ( 2000-12-19 11:40 )
okkaさま,鴨川つばめのインタビューは親本(2巻?)にも載っていたと思うのですが……。いずれにしても,彼は,強い。ものすごく明確かつ戦闘的な作家意識があって,マンガ界,編集者に対抗し,それでもすり潰されて,ぼろぼろになって,そこからなんとかぎりぎりで復帰している。多少インタビューの内容にツクリが入っているとしても,感動しました。 / 烏丸 ( 2000-12-19 11:38 )
「痛い」のは山田花子。本には載ってることだから名前明記しても別にいいんですが,セクハラ疑惑を言いふらされた編集者とか,本人以外を思うとシャレにならんなーと思って,ちょっと。 / 烏丸 ( 2000-12-19 11:33 )
えむさまのところにもつっこもさせていただきましたが,美内すずえ,続編はちょっと難しいのではないでしょうか。それとも,宇宙から電波が届いたら,じゃじゃっと復帰するのか。ところで,漫画家同様,芸能人もよく宗教にはまると言われますよね。創作・演技系であること,お金や名声がある程度得られると,次に心のよりどころが欲しくなること,などからでしょうか。 / 烏丸 ( 2000-12-19 11:32 )
あややさま,いっちゃってる系のマンガ家は,ファンが書いた別シナリオなんか,歯牙にかけてないと思います。少なくとも美内すずえは。この本に載ってるほかの「とんでも」さんとの対談読めばわかります。 / 烏丸 ( 2000-12-19 11:32 )
笈川かおる…。 / こすもぽたりん ( 2000-12-19 11:18 )
親本は買ったのですが、鴨川氏のインタビュー気になりますね。oh!文庫イイトコ持って来てますねぇ。 / お久しokka ( 2000-12-19 10:40 )
そ、その「痛い」のは誰だろう…。ねこぢるだろうか。ねこぢるのダンナって山野一なんですねえ。最近の「ねこぢるy」って山野一のことだそうで…。 / こすもぽたりん ( 2000-12-19 08:34 )
タイムリーに「ガラスの仮面」について書いてみました。うーん、漫画家って結構宗教ハマる人多くないですか? / えむ ( 2000-12-19 07:44 )
美内先生、公演はいいから続き描いておくれよ〜。ガラかめの続きが気になって、明日死んだらと飛行機にも乗れない。ネット上では、勝手にファンが続きを書いてるよ・・。ひょっとして、あらゆる展開が素人によって出尽くして、プライドに触って描けないのか・・。 / あやや ( 2000-12-19 01:54 )

2000-12-18 どちら側の山田正紀 『女囮捜査官』シリーズ試論 最終回

 
【みなし新本格派】

 期せずして3回連載での紹介になってしまった『女囮捜査官』だが,なんとか今回で片付けたい。

 二階堂黎人の解説では,彼において(おそらく他のかなり多くの新本格派の作家においても)「新本格ミステリ」の一種教条主義化が進んでいることが明確にうかがわれた。それは,おそらくいくつかの新興宗教がそうであるように,中にいる分には確たる目標が得られ楽かもしれないが,外から見ればフレキシブルな発想の放棄,誤解を恐れずいえば体育教練の理性放棄からそう遠くない。

 たとえばSFというジャンルも一部マニアによって支えられた面が強かったが,それでもSFそのものは根のところで自由な発想や表現法を追い求める精神のあり方で,その成果については実にノンシャランだった。星ファンと小松ファンと筒井ファン,ハインラインファンとJ・P・ホーガンファンとブラッドベリファンとが同じテーブルにつけることだけでそれは明らかだろう。
 それに比べると自称・新本格派は「教条主義」が揶揄的な言葉,ということすら通じないほど「かくあるべし」にこだわる者が少なくないように見える。《こちら側》の者は《あちら側》のモノを読めない,《あちら側》の者は《こちら側》のモノは読めない……これがシャレでないとしたら,それはなんと貧しい地平線だろう(もっとも第2巻「視覚」の解説を担当した我孫子武丸は,作家にとってジャンル分けなどレッテルに過ぎないこと,山田正紀は初期からミステリを書いていること,山田正紀がSF入門に格好の存在であることを明言,意外や常識的かつ良識的(失礼)だった)。

 さて,では山田正紀はすっかり《本格推理側》の人間になってしまったのか。烏丸の想像ではノーである。
 確かに『女囮捜査官』シリーズは,新本格派が泣いて喜ぶ(悔しがる)パズラー的トリックにあふれている。しかし,そういう素材はそれを尊ぶ読者に対する作者のエンターテイメントの所産であるように思う。だから,もしこのシリーズが《官能サスペンス》として巷で話題になったのなら(実は官能的シーンなどほとんど書かれてはいないのだが),作者は泰然とそちらの色合いを強め,続いて2,3,それに見合った作品を書き起こしたのではないか。

 それが,山田正紀という作家の恐るべき引出の広さであり,逆にいえば彼がどのジャンルにおいてもナンバー1になれない理由でもある。山田正紀はある意味器用に過ぎ,編集者や読み手に応えられ過ぎるのではないか。その姿勢はプロの職人としてはまことに立派だが,どこかに個人の濁ったコアがなければ大成しないのもまた創作という世界なのだ。
 思えば1970年代後半,SF作家として『神狩り』でデビューした折りも,その作風は「小松左京以来,スケールの大きな作風のSF作家がいない」という声に応えてのものだったように思う。そして,「いかにも山田正紀」という手応えは得られず,さりとて小松ほどのゼネラルな印象にも乏しかったように思う。
 結局,山田正紀とは何者かに対する解答はおろか,問いさえないことが問題なのだ。

 山田正紀が今後,どのカードの代わりにも使える便利なワイルドカードとして終わるのか,それとも稀代のエンターテイナーとしてスペードのエースたり得るのか,それはわからない。しかし……いずれにしてもこれほどのスケール,しかも大小のアイデアの詰まった新本格・サスペンス・官能・ポリティクスミステリの大作,全5巻,文庫本にしてざっと2000ページを,たった9か月で書いてはいかんと思うわけよ,オレとしては。

先頭 表紙

というわけで,美奈子さま,ちゃっちゃっと書いてしまいました。最近のイチオシはやはりグーグル。 / 烏丸 ( 2000-12-19 14:37 )
「よおぉ〜し,ここにつっこみを入れろぉ」「イ,イエス」 / スネーク烏丸 ( 2000-12-19 11:46 )
検索エンジンですか……ちょっとつっこみだと長くなりそうなので,あとで簡単にまとめましょうか(たいした内容にはなりませんが)。 / 烏丸 ( 2000-12-19 11:43 )
ちょっと待ってくださいカラスさん、ミナ嶋さん。私はSFのレコードを3,000枚持っているんですが、その結果言えることは「いいものもある、わるいものもある」…。 / スネークぽたりん ( 2000-12-19 08:32 )
おはようございます。昨日は鷹揚にお誘いいただき、ありがとうございました。今朝見るとやっぱり大風呂敷で恥ずかしい(苦笑)。ところで烏丸様、検索エンジンはどちらをお使いですか? よろしかったらお教えくださいませ。(「SFの衰退」と入れてそんなに出てくるものなのですか、面白いですね。) / 美奈子 ( 2000-12-19 06:07 )
『ハリー・ポッター』を《こちら側》の手柄にするのはさすがにずるい! と思うと同時に,いろいろなものを《あちら側》といって排除しちゃうと同族婚が進む……難しいですね。SFとは,となるとテーマが重い……。それにしても,ヴェルヌやウェルズは,今でも超弩級に面白い。それが不思議。 / 烏丸 ( 2000-12-19 01:19 )
「星や筒井はSFだったのか?」なるほど。確かに彼らはアシモフ、ハインラインのような「万人向け」ではないですね。強烈すぎて、それぞれがワン・アンド・オンリーという感じ。……この点は深い話になってくるのでは、という気がします。つまり換言すると「そもそもSFって何?」という問題につながりますよね。Science fiction? Speculative fiction? 「科学知識が散りばめられてさえいればSF」ってわけじゃない。う〜ん、この点はじっくり考えてみたいです。 / 美奈子 ( 2000-12-19 01:08 )
今年のネビュラ賞候補作品には『ハリー・ポッター』シリーズが含まれている(た?)そうです。アメリカでも苦しいんでしょうか、それほどまでして読者層を広げて、何としても盛り上げたいという意図の表れ……? でも「それは違うんじゃないの?」というファンの声もかなり出ているようです。ハリー・ポッターは邦訳で読もうと思っていますが(遠い知人が翻訳を手がけたので)。 / 美奈子 ( 2000-12-19 01:06 )
けれども、SFにはそれしか途がないわけじゃない。ブラッドベリやJ.G.バラードのように、ハードな知識バリバリというわけではまったくないのに燦然と輝きつづける作品もある。いつか烏丸様がおっしゃっていたように、ヴェルヌも依然として古びていない。だから、「SFで描きうる世界が現実世界の進化する速度に追いつけなくなった」というのは言い訳にすぎないのでは、という見方もあると思います。 / 美奈子 ( 2000-12-19 01:04 )
「すごく読み手を選ぶ」、そうだと思います。作家自身がすごく勉強して書いた分、読み手にも前提とされる知識が必要となると、それはエンターテインメントとしてかなり苦しい。ホーガン型ハードSFの系譜を担いつつストーリーに矛盾のないフィクションを書こうとすると、極度に読者を限定して、ぽたりん様が示されたように「読者も作者も限定される同族婚状態」という袋小路に陥ってしまう。 / 美奈子 ( 2000-12-19 00:58 )
日本でも『X電車で行こう』の山野浩一らがニューウェーブを提唱しましたが,実は御大・小松左京の同時期の短編集『牙の時代』のほうがよほどニューウェーブ。これじゃ新人は出て行けないよ,と当時思ったものです。 / 烏丸 ( 2000-12-18 23:42 )
少なくとも,ハインライン,アシモフを目標とする(さらに彼らに対するアンチとしてニューウェーブを持ち出す)ほうがわかりやすい。スターウォーズ以降のじゃんじゃかあるアメリカ産SFを彼らは「胸を張って」作れるのに,日本では(予算の問題だけでなく)どこか純文学における実験的というか,ゆがんだ作品でないと評価されない,そんな気がします。 / 烏丸 ( 2000-12-18 23:38 )
あと,あまり言われてないこととして,日本では,シュルレアリスム等にあたる表現の実験とSFとが混乱した面があると思います。星や筒井,そして小松の一部は本当にSFだったのか,ということ。それはそれで凄い作品群だったのですが,後進にとっては目標がつかみにくかったのではないかと思います。 / 烏丸 ( 2000-12-18 23:36 )
検索エンジンで「SFの衰退」で検索してみたところ,だいたい先ほどの(1)〜(3),それに加えて「SFプロパーの新人賞がなくて若手作家を発掘できなかった」というのをちらほら見ました。しかし,出版社からみて商売にならないから賞が設けられなかった,ということだとすれば,それは原因なのか結果なのか……。あと,全般にSFの現状と未来について能天気な印象がいや。もっと現状の「衰退」「キツさ」を認識してほしい。 / 烏丸 ( 2000-12-18 23:36 )
美奈子さま,ありがとうございます。まったく同感,海外でも全盛期のSF的な作品の噂はあまり聞きませんね。ネットワークや遺伝子工学など最新科学をよく勉強して盛り込んだ作品もあるにはあるようですが,それはアシモフの読者に比べればすごく読み手を選ぶような気がします(それって,細分化された科学の現状と見事にクロスするような)。 / 烏丸 ( 2000-12-18 23:36 )
あ〜なんかゴチャゴチャと(汗)……読みづらくしちゃってすみません。 / 美奈子 ( 2000-12-18 21:53 )
つまり、ご指摘のように、SFスピリッツが日常へ「拡散」した結果、文字媒体の担う領域が(表面上)狭まってきているのではないかと。拡散するようになった要因としては、日本では烏丸様の挙げられている(2)がやはり大きそうですね。(3)については、科学の成果が専門化・細分化されすぎて素人にはとてもフォローしきれない状態になっていることに加えて、宇宙開発については、東西冷戦終結以後「国威をかけた(外向きの)」宇宙開発に振り向けられる予算が世界的に縮小したという政治環境の変化も背景にあるかもしれません。 / 美奈子 ( 2000-12-18 21:23 )
私が知らないだけかもしれませんが、日本モノに限らず海外SFの話題も最近はあまり耳にしません。烏丸様の言葉を借りると、生活していて「昔ほどSFにニーズを感じない」状態になってきたから――一昔前まではSFの世界でしか想定して語りえなかっただろう現象が、(ネットの爆発的な拡大に代表されるように)現実の中に急速に浸透してきているせいではないかと感じております。たとえば先日は、AIBO第二世代やホンダの人型ロボットが踊るのを見て「ああアシモフのロボットがついに」と唸った人も多かったのではないでしょうか。 / 美奈子 ( 2000-12-18 21:21 )
もう1つ,従来の枠組みの「日本SF」は確かに衰退したけれど,ナウシカやエヴァンゲリオン,ドラゴンボール,バイオハザード,ポケモンなどにSFスピリッツを見れば,層はむしろ広がったという見方もできます。「拡散」ってやつですが……。美奈子さまはこのへん,いかがお考えでせう。 / 烏丸 ( 2000-12-18 16:31 )
日本SFがなぜ衰退したか,は……実は,よくわからないのです。(1)星,小松,筒井が巨大過ぎて並みの新人は相手にされなかった,(2)アニメ,ゲーム界に優秀な才能が流れた,(3)科学の成果が宇宙開発のように目に見えるイメージでなくなってしまった(しかも後ろ向き),などなど。読者と作者が同族婚というのもあるとは思いますが,それだと「自分自身,昔ほどSFにニーズを感じない」説明ができないのです。 / 烏丸 ( 2000-12-18 16:24 )
なるほどなるほど、SFの状況がよくわかりました。さて、私が「日本のSFが滅びに至った道」と考えているのは、読者も作者も固定された状況が長く続いたことによる代謝機能の退化であり、新本格者どもも「かくあるべし」なんて言っちゃってると、そのうち日本中でミステリクラブの部員しか読まなくなっちゃうよん、という感じのことでございます。ところで、SFが読者も作者も固定されたいわゆる同族婚状態を永く続けたために衰退した、というのは「と学会」の受け売りなのですが、実際のところはそうではないのでしょうかねい。 / こすもぽたりん ( 2000-12-18 13:55 )
しかし,新本格派をこきおろす勢いで山田正紀氏については必要以上にキツい内容になってしまいました。なんだかんだとブーたれつつ,『神狩り』以来の大ファンなんですが。 / 烏丸 ( 2000-12-18 12:44 )
我孫子武丸の解説が「意外や常識的かつ良識的(失礼)」のくだりで含み笑い…そして最後の一文で大笑いしてしまいました。「2000ページを9か月」とは…赤川次郎かいっ(笑) / 筒井もホーガンもブラッドベリも、ですね! ( 2000-12-18 06:57 )

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