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烏丸の「くるくる回転図書館 駅前店」

 
今後、新しい私評は、
  烏丸の「くるくる回転図書館 公園通り分館」
にてアップすることにしました。

ひまじんネットには大変お世話になりましたし、
楽しませていただきました。
その機能も昨今のブログに劣るとは思わないのですが、
残念なことに新しい書き込みがなされると、
古い書き込みのURLが少しずつずれていってしまいます。
最近も、せっかく見知らぬ方がコミック評にリンクを張っていただいたのに、
しばらくしてそれがずれてしまうということが起こってしまいました。

こちらはこのまま置いておきます。
よろしかったら新しいブログでまたお会いしましょう。
 

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2000-11-14 北村薫「日常の謎」について その1 『笛吹き童子』より「朱雀門」 山岸凉子 / 秋田書店(プリンセスコミックス)
2000-11-14 ちょっと情けないCD 第5皿 「ザ・一発屋 われらが青春の日々」 東芝EMI
2000-11-13 ちょっと情けない(実は絶賛)CD 第4皿 「内容の無い音楽会」 生福 / CBS Sony
2000-11-12 ちょっと情けないCD 第3皿 「アウト・オブ・ザ・ミスト+イリュージョン」 イリュージョン / MSI/TOKYO
2000-11-11 ちょっと(これはかなり)情けないCD 第2皿 「飛行夢」 Zabadak / 販売元:ワーナー・パイオニア
2000-11-10 ちょっと情けないCD 第1皿 「スクイーズ・グレイテスト・ヒッツ」 スクイーズ / 発売:ポリドール
2000-11-10 新コーナー 「ちょっと情けないCD」 第0皿
2000-11-09 本の中の強い女,弱い女 その十ニ 『ダイジョ〜ブよ』 もりたじゅん / 集英社
2000-11-08 [雑談] レディスコミックについて
2000-11-07 [詠嘆] 旧石器発掘捏造


2000-11-14 北村薫「日常の謎」について その1 『笛吹き童子』より「朱雀門」 山岸凉子 / 秋田書店(プリンセスコミックス)


【極楽も地獄も知らぬ,腑甲斐ない女の魂】

 ミステリ作家・北村薫には,「日常の謎」というミステリの新ジャンルを確立した「円紫師匠と私」と呼ばれる作品群がある。
 本シリーズならびに「日常の謎」については,こすもぽたりん氏の「神田マスカメ書店」でも,1作めの『空飛ぶ馬』が紹介されている。まずはそちらをご参照いただきたい(できればそこにあるリンクもなるべくたどっていただきたい)。

 さて,これから数回に分けて,『今昔物語』巻十九第五を原典として換骨奪胎した芥川龍之介の短編『六の宮の姫君』(以下『六の宮A』と表記),これがいかなる意図のもとに書かれたかを女子大生の〈私〉がさまざまな書物をひもといて探っていく……という内容のミステリ作品『六の宮の姫君』(以下『六の宮K』)について考えてみたい。
 端的に言えば,1作め『空飛ぶ馬』,2作め『夜の蝉』ではあれほど好もしく思われた〈私〉が,3作め『秋の花』以降であれほど嫌な感じがするのはなぜか,という問題である。

 ……と,前ふりしておきながら,本日の書き込みのタイトルや添付画像は山岸凉子の単行本である。「はて?」と思われた方も少なくないだろう。
 実は,山岸凉子の「朱雀門」なる短編は,まさしく『六の宮A』に題材を借り,現在に生きる女性の生き方を語ったものなのだ。

 先に,『六の宮A』について,簡単に粗筋を紹介しておこう。

 六の宮の姫君の父は古い宮腹の生まれだったが,時勢にも遅れがちな昔気質の人だった。寵愛してくれた父母があいついで亡くなり,姫は途方にくれたが,乳母以外に頼りにできる人もいなかった。姫は朝夕を琴を弾いたり歌を詠んだりして憂さを晴らすばかり,乳母の努力にもかかわらず暮らし向きはどんどん苦しくなっていく。やがて姫はいやいやながらある男の世話になることになった。会ってみれば男はよい男ではあったが,そのうちに父親について任地に赴くことになった。九年経って男が京に戻ってみると,六の宮の家は荒れはて,姫は朱雀門で痩せ枯れた姿で発見される。病で死にかけた姫に,近くにいた乞食坊主が阿弥陀仏の名を唱えろと勧めるのだけれど,姫は念仏を続けることができず,「あれ,あそこに火の燃える車が」「何も,――何も見えませぬ。暗い中に風ばかり,――冷たい風ばかり吹いて参りまする」と言って死んでいく。何日かのち,ある侍が大路を歩いていると女の嘆きが聞こえる。そこには例の法師がいて,「あれは極楽も地獄も知らぬ,腑甲斐ない女の魂でござる」と言う。

 山岸は,芥川の作品を忠実に描写しつつ,現在に生きる,イラストレーターとして自由に生きているように見える32歳の聡明な春秋子(すずこ)に姫君の生きざまをオーバーラップさせる。芥川の作品を「怖い話」とみなす彼女は,その意味を「ただ襲ってくる運命を甘んじて受け,自分の『生』を満足に生きていない女には『死』をも死ねない」と読む。
 見合いを繰り返しても成就しない春秋子は自らのヌクヌクとした生きざまに思い至り,姪の千夏(ちか)に,傷つくことを恐れず,前向きに生きることを説く。最後のページは,千夏が憧れの先輩に思い切って電話を掛けるシーンで終わり,山岸作品としては穏やかで前向きな結末となっている。

 ちなみに「朱雀門」の初出は「別冊プリンセス」1991年2月25日号。北村薫が創元クライム・クラブで『六の宮K』を発表するおよそ1年前である。

(つづく)

先頭 表紙

初耳でございました。さてさて、ダウンロードすっぺか、という感じでございます。 / こすもぽたりん ( 2000-11-16 03:03 )
おや,ご存知ありませんでしたか。「青空図書館」はひまじんにとって時間つぶしの天国です。 / 烏丸 ( 2000-11-15 19:13 )
ご紹介いただいた「青空図書館」ですが、いいですね。 / こすもぽたりん ( 2000-11-15 18:42 )
本文2ブロックめの『六の宮の姫君』のリンクをクリックすると,芥川の原作が全文(といっても短編ですのでボリュームはたかが知れたものですが)表示されます。ぜひご覧ください。 / 烏丸 ( 2000-11-15 01:07 )

2000-11-14 ちょっと情けないCD 第5皿 「ザ・一発屋 われらが青春の日々」 東芝EMI


【君はいつも心にネバー男のフィーリング悲しく】

 堂々たる過去の洋楽ヒットメーカーを「一発屋」扱いして並べたもので,大胆といえば大胆,非道いといえば非道い,東芝EMIの企画CDである。

 収録曲は,

  1 マイ・シャローナ/ザ・ナック
  2 君はTOO SHY/カジャグーグー
  3 ネバーエンディング・ストーリーのテーマ/リマール
  4 ハート悲しく/マーティ・バリン
  5 エボニー・アイズ/ボブ・ウェルチ
  6 アメリカン・パイ/ドン・マクリーン
  7 ヤング・ラヴ/ソニー・ジェイムズ
  8 悲しき少年兵/ジョニー・ディアフィールド
  9 ジョージー・ガール/シーカーズ
  10 いつも心に太陽を/ルル
  11 ノー・ノー・ノー/ヒューマン・ベインズ
  12 ビリージョーの唄/ボビー・ジェントリー
  13 孤独の影/ジョー・サウス
  14 男の世界/ジェリー・ウォーレス
  15 雨のフィーリング/フォーチュンズ
  16 ワイルドフラワー/スカイラーク
  17 ザッツ・ザ・ウェイ/K.C.&サンシャイン・バンド
  18 愛のディスコティック/タバレス
  19 今夜はブギ・ウギ・ウギ/テイスト・オブ・ハニー
  20 ダンシング・アメリカン/シェリル・ラッド

の20曲。
 もっと対象を絞りたくとも,版権の問題があったのだろう,時代もジャンルもはっきり言って無茶苦茶である。一番古い7は57年,新しいほうでは3が84年。パンク,ファンク期の1,2から始まってモノラル録音のナツメロが続き,最後の数曲は70年代後半を彩るディスコサウンド。市販CDとは思えないバタついた選曲だ。また,長期にわたって活躍した一流ミュージシャンも含まれ,そもそも2のカジャグーグーの当時のヴォーカルは3のリマールだったのだから,すでに「一発屋」という表記は破綻している。

 それでも,確かにザ・ナックやドン・マクリーンは永遠の一発屋(?)といった印象だし,他者の趣味を知るのはそれなりに楽しい。興味のない曲,どうでもいい曲は飛ばしてMDなどに自分なりのベストヒットアルバムを作る手もある。というわけでこのCDはそれなりにヒットし,類似品もいくつか後を追った。

 烏丸的にはこの中では1,6,9,15あたりがキモだろうか。この時代中心に自分で選曲するならこのほか

  ミスター・マンデー/ザ・オリジナル・キャスト
  霧の中の二人/マッシュ・マッカーン
  夜明けのヒッチハイク/バニティ・フェア
  魔法/ルー・クリスティー
  シーズン/アース&ファイアー
  ウィズアウト・ユー/ニルソン
  アローン・アゲイン/ギルバート・オサリバン
  名前のない馬/アメリカ

あたりもぜひともそろえたい。また,一発屋でこそないが,同じ雰囲気をただよわせるものとしてジェームス・テイラー「ファイアー・アンド・レイン」,ショッキング・ブルー「ヴィーナス」「悲しき鉄道員」,キャロル・キング「イッツ・トゥ・レイト」あたりもぜひともおさえておきたいところだ。
 念のためにお断りしておくが,その場合,あくまでポップスのシングルヒットでなければならず,したがってヘビメタやプログレは含まれない。また,ビートルズ,カーペンターズ,エルトン・ジョン,クイーンなど,長年にわたってヒットを量産した大物は外すべきだろう。

 また,邦楽でこういう「一発屋」アルバムを組むとどうなるか。

  異邦人/久保田早紀
  大都会/クリスタルキング
  あなた/小坂明子
  夢想花/円広志

このへんは外せないように思うのだが……。

先頭 表紙

あややさま,掲示板でお会いいたしましょう。 / 烏丸 ( 2000-11-14 21:09 )
フィー子さま,実は烏丸,その続きが「♪あ〜かい〜 屋根の家を建てたい」(赤い鳥)になってしまうのであります。 / 烏丸 ( 2000-11-14 21:08 )
おおお、そうか、それならばひまじん掲示板のほうへ行こうっと〜♪ / あやや ( 2000-11-14 21:07 )
異邦人も大都会も好きだけど、「あなた」は最高!まさに20世紀の名曲だわ〜〜〜。なんて思ってるのは私だけ?? / もしも〜私が〜家を建てたなら〜♪ ( 2000-11-14 21:00 )
ちょっと考えたんですけど……ひまじん掲示板に,一発屋紹介ツリーなんぞ作ってみました。 / 烏丸 ( 2000-11-14 19:55 )
うむ、邦楽のほうはカラオケで歌えます。 / 一発屋シンガー虹の彼方へ ( 2000-11-14 17:28 )
そう言えば、邦楽では最近良くも悪くもそう言う意味での「一発屋」というのはいなくなりましたね。1回それなりに始めればあとは惰性で売れていますからねぇ。強いて言うならB.B.クィーンズの「おどるポンポコリン」がそうなんだろうけど、あれは企画色の強い人たちでしたし‥‥。 / 絵子縁 ( 2000-11-14 14:04 )
ここは「くるくる回転図書館」。回転寿司にメロンやゼリーや揚げ物の皿,図書館にCDやビデオがあって,なんの不思議がありましょう。……てゆか,ペーパーの「本」の書評にこだわる理由なんて烏丸にはハナからありませんが? / 烏丸 ( 2000-11-14 13:16 )
あのう、ご無沙汰してたんでわかんないんですが。CD店になっちゃったんですか。 / mishika ( 2000-11-14 12:49 )
マイケルさま,そもそもヤマハのポプコンがなかなか効率のよい一発屋メーカーでございました。ポプコンのグランプリを集めたCDは何種類か発売されているようです。個別のアルバムを買うほどではないが,この曲だけは手元に……という楽曲の宝庫です。 / 烏丸 ( 2000-11-14 11:40 )
世界歌謡祭グランプリ受賞曲だけでこのアルバムを作れそうです。例えば他にも「完全無欠のロックンローラ/アラジン」や「ふられ気分でロックンロール/トムキャット」も外せませんね。 / マイケル ( 2000-11-14 01:42 )

2000-11-13 ちょっと情けない(実は絶賛)CD 第4皿 「内容の無い音楽会」 生福 / CBS Sony


【宇宙にゃあ 空気もねぇが なァに 度胸ひとつでなんとかなるさ】

 「生福」というお饅頭テイストなユニット名は「SHOW-FOOK」と読み,アレンジャー兼シンセミュージシャンの生方則孝と福田裕彦,それぞれの名前の最初の1文字を足したものである。
 お饅頭の「生」のほう,生方則孝は,ライナーノーツによれば「我が国の音楽屋にはよくありがちな,美術大学中退の8割がた禁治産者」であり,「福」の福田裕彦も,「大変よくありがちな,早稲田大学出身のオポンチ野郎」と紹介されている。CDジャケットの中でこれだけ「バガヤロ様」扱いされたユニットが過去あっただろうか。

 しかし。情けないのはここまでで,本CDは,シンセミュージシャン,J-POPファン,音楽の先生,特撮オタク,その他もろもろ良い子の皆様にぜひとも聞いていただきたい,極上のパロディ怪作なのである。

 もちろん,ギャグ,パロディ作品として知られる邦楽も過去,なかったわけではない。
 「X∞増殖」はイエローマジックオーケストラ(細野晴臣,坂本龍一,高橋幸宏)とスネークマンショー(桑原茂一,小林克也,伊武雅刀)とのコラボレーションアルバムで,YMOの曲の合間にスネークマンショーによるギャグが挿入された構成で話題をさらった。しかし,「X∞増殖」にしてもその後のスネークマンショー名義のヒットアルバムにしても,楽曲そのものは(「咲坂と桃内のごきげんいかがワン・ツゥ・スリー」などを除けば)YMOやシーナ・アンド・ロケッツ,加藤和彦らのオーソドックスなポップスだった。

 ところが,この「内容の無い音楽会」は,テレ朝「題名のない音楽会」等をパクったコントもさりながら,収録されるすべての曲が,既存のさまざまな歌謡曲,フォーク,ロック,ポップス等のパロディとなっているのである。

 たとえば,1曲めの「軍艦行進曲」はまったくとある著名バンドのフュージョンっぽいし,「うっちゃれYOUR LIFE」は文字通りヘビーメタルなスモーソングである。叙事詩的SF作品「FLY AWAY SPACE SHUTTLE」は……音質的にも内容的にも,ここでネタ明かしをしてしまうのは惜しいほどの大傑作であり,アイドル系ユーロビートポップ「酸素でルルル」は,後に架空アイドル・芳賀ゆいの歌う「星空のパスポート」として再リリースされているが(本当。作詞は奥田民生),アイドルポップのパロディとしてのインパクトは「酸素でルルル」のほうが格段に凄い。なにしろサビが「酸素ってルルルル 水素ってシュルルル 塩素ってグモモモ いつかきっとひとつになれる」なのだ。
 さらに,特撮映画のパロディドラマ「うまかろう君」は「ゴジラ」「モスラ」から「ブレードランナー」まで美味しいところ取りで,特撮ファン必聴である。

 「父」と題されたおやじを哄う寒いギャグに続く「47才の地図」は,言うまでもなく尾崎豊のパロディだが,「20歳の頃は ゲバルトもした 機動隊に負けた訳じゃない 夜明けは近いそんな時代に抱かれ 資本論を枕にお前を抱いた」「この国の繁栄は俺達が作った ワキ目振らず働いて だけど何が残った」と歌われる中年サラリーマンの悲哀は,しばしこれがパロディであることを忘れさせ,涙をさそう。

 そして,最後の「戦場の盆踊り」。お盆を迎え,南の島の戦闘音を背景にやけくそになって盆踊りに興じる兵士たち。その楽曲のパクり元がよく聞けば世界のアカデミー賞受賞某教授のアレだと気がついたときの,背筋が冷え冷えするような可笑しさ。

 清水義範などこれに比べればパロディと口にするも虚しい。ぜひ中古CD屋などで探してほしい,烏丸絶賛,イチオシの1皿である。

先頭 表紙

ところで,実は烏丸,コンピュータサウンドに関してこの「生福」のお二人とちょこっとお仕事したことあるのですが,生方則孝,福田裕彦の名前であったことからイコール「生福」であることに思いいたらず,サインをいただき損ねてしまったのであります。痛恨。 / 烏丸 ( 2000-11-14 01:16 )
まぁ,COPYですって! ジョン・レノンさえ著作権の問題で最初の2小節しか歌えなかったというのに(って,聞いてない人にわからないこと書くんじゃない。 > 烏丸) / 烏丸 ( 2000-11-13 12:13 )
あ、マユツバ・トーシローってそういう字なんだ〜。実はCOPYしか持っていないのです。 / こすもぽたりん ( 2000-11-13 02:49 )
はい,ライナーノーツの書き手は,繭津葉藤四郎氏でございます。 / 烏丸 ( 2000-11-13 02:20 )
皆さん、こんばんは。眉唾トーシローです。 / こすもぽたりん ( 2000-11-13 01:50 )
添付画像のCDジャケットはちょっと見ではよくわかりませんが,黄色地に赤く,細かい迷路が印刷されています。 / 烏丸 ( 2000-11-13 01:46 )

2000-11-12 ちょっと情けないCD 第3皿 「アウト・オブ・ザ・ミスト+イリュージョン」 イリュージョン / MSI/TOKYO


【成功をついに手にすることが出来なかったレルフの無常感が横たわって】

 元ヤードバーズのジム・マッカーシーとキース・レルフ,そしてキースの妹ジェーン・レルフらによって結成されたイリュージョンのファーストアルバム「アウト・オブ・ザ・ミスト」(1977年)とセカンドアルバム「イリュージョン」(1978年)の2イン1によるCD化。

 ヤードバーズというのはブリティッシュロック名門中の名門で,なにしろエリック・クラプトン,ジェフ・ベック,ジミー・ペイジという3大人格破綻者,じゃなくて3大ギタリストを輩出したことで知られる。そのくせ,どんな曲をどんなふうに演っていたのか,ほかのメンバーはその後どうしたのか,ということは案外知られていない。その理由の1つに音源管理の杜撰さがあり,最近になってようやく過去の作品がCD化され,再評価が進められているようだ。

 ここでご紹介するイリュージョンも,ヤードバーズ再評価の一連の動きと……実はぜんぜん関係ない。
 「キース・レルフ,ジム・マッカーシーという63年のヤードバーズ結成当初からのメンバーが深くかかわっているにもかかわらず,イリュージョンの音楽はヤードバーズのそれとはおよそ掛け離れており,叙情的なメロディをクラシカルなアレンジで包み込んだ,いわゆるプログレッシブ・ロックの範疇に位置づけられるものである」と小山哲人によるライナーノーツにも書いてある。
 つまりイリュージョンとは,1970年代後半,パンクやニューウェイブ,テクノが世界中でもてはやされた時期に,時代遅れのプログレを演ってさっぱり売れなかった,そんなバンドの1つである。それゆえ,メンバーの1人ジム・マッカーシーによる解説も含めたライナーノーツには随所に「情けなさ」「わびしさ」が漂い,その意味で稀有なCDであるともいえる。

 たとえばこんな具合だ。「ヤードバーズ解散のすぐ後,68年7月にレルフとマッカーシーはフォーク・デュオ,トゥゲザーを結成した。ヤードバーズ時代にはベースのクリス・ドレヤとともに,ベックやペイジと比較されて演奏技術の不足ばかり槍玉に上げられていた二人である。」
 彼らはやがてレルフの妹ジェーンらを加えてルネッサンス(オリジナル)というバンドを結成するが,ソフトで内省的,要するに地味なサウンドは当時のティーンエイジャーに受け入れられず,彼らは2枚のアルバムを残してルネッサンスを去り,新しくイリュージョンを結成する。
 ところが皮肉なことにそのころから一方でソフトでクラシカルなサウンドに人気が集まるようになり,アニー・ハズラム(ヴォーカル)らが加わってデビューし直された新ルネッサンス(3枚めのアルバム以降)はアメリカで人気を博すようになる。

 イリュージョンが結成されて以降のことはマッカーシーの解説に詳しいが,ルネッサンス(オリジナル)の印税がまだもらえていたんだから,自分たちのサウンドがまだウケるに違いないと思ったという一節や,レルフが感電死してしまったおかげで自分が自由にヴォーカルをとれるようになったという独白,セカンドアルバムの「マドンナ・ブルー」は名曲なのにアメリカではなぜか発売されずがっかりしたともらすくだりなど,しみじみと貧乏臭が漂って味わい深い。解説の日付が「1944年2月」と誤植なのも物悲しい。

 そんな情けないCDではあるが,それなのにというか,だからこそというか,ジェーン・レルフが昨日の面影を追う彫刻家を歌う「フェイス・オブ・イエスタディ」は比類なき美しさで,この1曲のためにこのCDを買い求めて悔いがないほどだ。

先頭 表紙

2イン1といっても要するにアナログ時代の2枚のアルバムを1枚のCDで売っているだけなんです。添付画像はCDのジャケットを取り出して開いたもの。ところで,ソフトプログレのヴォーカルのおねいちゃんは,どうしてどれもこれも学校の先生みたいな顔しているんでしょう(もちろん例外もいますが)。 / 烏丸 ( 2000-11-12 02:39 )

2000-11-11 ちょっと(これはかなり)情けないCD 第2皿 「飛行夢」 Zabadak / 販売元:ワーナー・パイオニア


【空飛ぶ嫁】

 「飛行夢」と書いて「そら とぶ ゆめ(sora tobu yume)」と読みます。CDのジャケットのあちこちに,ひらがな,ローマ字でそう書いてあります。
 ただ1か所を除いて……。

 気の毒なので,ミュージシャン,アルバムについては,さらりと。
 Zabadakは吉良知彦,上野洋子,松田克志の3人でスタートしたユニット。のちにドラムの松田が抜け,ずっと後にはヴォーカル,アコーディオンの上野も抜けました。
 「飛行夢」は3枚めのフルアルバム。楽器はアコースティック,曲調はプログレ,上野のヴォーカルは高く金属質,と独特なタッチで話題となりました。

 なお,初期の「水のソルティレージュ」という曲は,ノルウェーのグループ,フラ・リッポ・リッピのほろ苦い佳曲「Shouldn't Have To Be Like That」の翻案。マイク・オールドフィールドの影響を受けるなど,アイリッシュ,ケルト志向の強い吉良ですが,この曲に目をつけるとは,むむやるな,という感じでした。

先頭 表紙

絵子縁さま,けっこう自慢の(?)一品でございます。 / 烏丸 ( 2000-11-14 19:56 )
「そら とぶ よめ」‥‥確かに情けなくて、トホホですね。 f(^^; / 絵子縁 ( 2000-11-14 13:49 )
むむむ、「アラブゼミ」に続くナイスな誤植… / こすもぽたりん ( 2000-11-12 01:12 )
あっなるほど。じゃあ私の持っているのは直ってますよ。初回限定なんでしょうか、やっぱり(笑)。 / ぷりぷり所長 ( 2000-11-11 18:38 )
多分,現在販売されているものは修正されているとは思いますが,もしそのままなら顰蹙ですね。 / 烏丸 ( 2000-11-11 17:14 )
ぷり長さま,帯ではなく背表紙といいますか,普通はCDの載ってる台をはずさなければ触れないところです。 / 烏丸 ( 2000-11-11 17:12 )
あれ、これは帯ですか?帯は捨てちゃったのでわかんないのです(^-^; 聴きまくるわけでもなく売っぱらうでもなく、なにげに所有しなにげに聴いてますが気づきませんでした(笑)。こちらは「夢」でぽた様のところでは「馬」なんですね。今気づきました。 / 最後に吉良ひとりというのが泣けたぷり長 ( 2000-11-11 09:54 )

2000-11-10 ちょっと情けないCD 第1皿 「スクイーズ・グレイテスト・ヒッツ」 スクイーズ / 発売:ポリドール


【ヘヴィ・メタルもロックもだめだけど】

 スクイーズはイギリスのポップバンド。
 1974年結成,1977年レコードデビュー。当初はビートを刻んだテクノっぽいサウンドで,XTCなどとともにニューウェイブ系のバンドとして紹介されています。日本では「テンプテッド」や「アワーグラス」がヒット。1981年にはソングライター,ディフォード&ティルブルックの2人がレノン&マッカートニーに匹敵すると米ローリング・ストーン誌に絶賛されています……ほんとかな。

 烏丸がこのアルバムを購入したのは,久々に見た「ラスト・タイム・フォーエバー」という曲のプロモーションビデオがけっこう胸に染みたせいですが,これは,花畑で笑いころげる若い女のフィルムを年老いた男が見つめ,そのうちだんだん激昂して,最後には手にしたグラスを割ってしまう……という映像に,スクイーズの演奏風景がはさまれるというもの。白いピアノがだんだんぶっ壊されていくところなど,印象的といえば印象的,よくあるといえばよくある造りです。
 歌詞は「終わった恋に今夜は眠れない,永遠に最後さ」とかいった,中身があるんだかないんだか,な内容で,メロディや曲の雰囲気はほぼ同時期にヒットした,クラウデッド・ハウスの「ドント・ドリーム・イッツ・オーバー」に似ているような気もします(クラウデッド・ハウスをご存知ない方は,こんなこと言われても困っちゃいますね)。

 さて。
 ではこのCDのどこが「ちょっと情けない」か。それは,ライナーノーツです。たとえば,次のようなあんばい。

 1982年。
 秋,スクイーズ,突然の解散。
 バンド内部がバラバラだったのが原因でしたが,レイヴィスを含む何人かがアルコール中毒にかかっていたのもひとつの要因となったとか。

 1983年。
 アル中のギルソン・レイヴィスは酒を断ち,ドラマーからタクシーの運転手に転身しました。

 1985年。
 8月,『Cosi Fan Tutti Frutti』,発表。
 セールス的には“おしゃか”。

 1986年。
 「次がダメだったら,さよならだ」とじっくり時間をかけてニューアルバムの制作に取りかかりますが,ミキシングを終える前に予算オーバー。
 かくて,アメリカのカレッジとクラブで集金ツアーを敢行するハメに。

 ……などなど。
 もちろん,結成して25年,思い立って買いにいけば極東の島国の小さなCD屋でもベストアルバムが見つかるほどのバンドです。これはライナーノーツの担当者,サマタマサト氏の諧謔と見るべきでしょう。
 しかし,ギャグやユーモアではすまない本当に情けないCDも,世の中にはあります。それについては,明日。

先頭 表紙

2000-11-10 新コーナー 「ちょっと情けないCD」 第0皿

 
【今度は音楽ものでぃ!】

 10月6日にこの「くるくる」では「[雑談] Carsのメンバー,Benjamin Orr死去」という話を書き,その夜,ベンジャミン・オールが歌う古いビデオ(もちろんβ)を取り出して見たのですが,そのビデオは思った以上になかなか心地よい内容だったのでした。

 主に1985年当時放送されていた,ピーター・バラカンの「ポッパーズMTV」というミュージックプロモーションビデオを紹介する番組から録画したものですが,カーズのほか,たとえば

  デヴィッド・ギルモア(ピンク・フロイドのギタリストのライブ。珍しい)
  トーキング・ヘッズ(映画になったライブ)
  ハニー・ドリッパーズ(Zepのロバート・プラントがヴォーカル)
  ティアーズ・フォー・フィアーズ(なんちゅう濃い顔)
  アート・オブ・ノイズ(もううっとり)
  スクリッティ・ポリッティ(しゃんとせんかい,あんちゃん)
  ブライアン・フェリー(当時,ソロアルバムで絶好調)
  ニュー・オーダー(ああ,このヘタクソさがたまりません)
  ケイト・ブッシュ(心の愛人。ちなみに心の妻はパティ・スミス)
  ジェリー・グッドマン(鳥の飛翔が美しい)
  トム・ウェイツ(しぶい)
  キング・クリムゾン(別格)
  ドリーム・アカデミー(消えてしまったなあ)

などなど,2時間にわたってさまざまな烏丸好みの音と映像が詰まっています。

 さて,その中に,スクイーズというバンドのプロモーションビデオがありまして,当時は「まぁ,いい曲なんじゃない」程度でテープには残したものの,CDを急いで買おうというほどではなかったものです。しかし,15年経って聞くとこれが懐かしくも胸に迫るものがあり,ベストアルバムくらい聞いてみようか,という気になりました。

 職場の近所に新しくできたCD屋でベストアルバムはあっさり見つかり……そうして,新コーナーのお題が得られたのでした。
 そのお題とは,「ちょっと情けないCD」。

 いえ,決してスクイーズのベスト・アルバムが,音楽的に情けないというのではありません。ではどこが情けないのか。それは明日より,おいおいご説明することにいたしましょう。

先頭 表紙

2000-11-09 本の中の強い女,弱い女 その十ニ 『ダイジョ〜ブよ』 もりたじゅん / 集英社


【『未亡人道』が手に入らない……痛恨のスコラ倒産】

 もりたじゅんのデビューは1968年。“少女に夢と希望を、たとえそれがいかに非現実的なものであろうとも与えつづける”(©ケロロ軍曹)「りぼん」誌上である。まったくこの雑誌はわきが甘いんだか堅いんだか,底のないバケツのような鉄壁の編集方針で,方向違いの作家が次々と現れては巣立っていく。

 もりたじゅんはデビュー当時,高橋真琴の原画を見せられ,(その扱いの丁寧さを含めて)あまりの美麗さに悶絶したそうだ。さもありなん。当時のもりたじゅんの作風を一言で表すなら「ダイナミック」,これにつきる。現在ではそう珍しくないが「性」まで込みにした激情,それが基本路線だった。兄妹の心中や不治の病をおしての結婚など,ヘヴィな設定も少なくない。
 1971年には同じくマンガ家で『男一匹ガキ大将』『俺の空』『サラリーマン金太郎』等で知られる本宮ひろ志と結婚。その後出産・育児のために一時活動を休眠するも,復帰,レディスコミックに場を変え,コンスタントに作品を発表して現在にいたる。さすがに初期の「激情」志向はやわらぎ,大人のラブコメが基調である。

 とくに1980年代後半,つまりバブル期に,雑誌編集部,総合商社,デパート,アパレル関係,病院など,当時華やかあるいはリッチとされた職場を舞台にした,働く主人公と中年男の関係を描いた作品群には読み応えがある。
 興味深いのは,主人公の女性が,仕事においても男女の関係においても,実に男に都合よく描かれていることだ。もりもり働き,有能で,遊んでいるように見えるが実は純情,好きな男の前でだけセクシーで素直な顔を見せる。これが男性誌に載っているならわからんでもないが,いいのかレディス。
 もりたじゅんは男性読者にもウケがよいそうだが,これは主人公の魅力以上に,男の職場が「よく」描かれているからだろう。「よく」というのは「現実に即して」という意味ではない。こういう上司,こういう職場だといいかも,と男性も思うような描き方なのである。このへんも不思議といえば不思議だ。なぜ女性に男好みの男が描ける。
 追求しようにも材料がないので,これ以上推論のしようはない。夫の本宮ひろ志が硬派なマンガ家であることはさほど関係ないだろう。男性的な視線による男性的な作風,と読むだけである。だから,「ヤングジャンプ」のような青年誌に作品を発表しても,本宮ひろ志の作品中で女性キャラだけ手伝っても,とくに違和感がない。男性誌向けに画風を調整する必要がないのである。里中満智子が水島新司の『野球狂の詩』を手伝ったのとはえらい違いだ。

 ところで,もりたじゅんを取り上げるにあたって,烏丸の頭の中では「バブル期には華やかでリッチとされる職場を舞台とした作者だが,最近は農場,水族館,遺跡発掘など,地味ながら手応えのある仕事を題材にすることが多い。時代の反映だろうか」という展開がほぼ出来上がっていた。
 しかし。最新刊『ダイジョ〜ブよ』収録の3作は,獣医,下町のくまで屋,アダルト雑誌編集者。同じ作者ですでにどこかで見たような設定ばかり。要するに見知った職業を順繰りに描いているだけなのか。

 もう一点,身長が高すぎることに悩む女性も実は少なくないようだが,作者には『性(格)の一致』収録の「ウドの大木が倒れた日」はじめ背の高い女性が幸せになる設定の作品がいくつかあり,そういう悩みを持つ女性には非常によい癒しになるそうだ。ただし『性(格)の一致』もスコラ倒産のため,入手は難しい。

先頭 表紙

ところで,新コーナーのネタを見つけてしまったため,「本の中の女」シリーズはいったん休憩します。まあ,いくらでもネタのある題材ですし,気が向いたらまた復活させます。……ケロロ軍曹と違って,こんなんばっかし。 / 烏丸 ( 2000-11-10 02:50 )
ファンの方による単行本リストがありますが,これだけ長期にわたって活動していながら,どうも広くは知られてはいません。知人のマンガ編集者も知りませんでした。 / 烏丸 ( 2000-11-09 19:01 )
フオオ、全く知らないのでありますっ。勉強不足でありましたっ。 / ケロロ軍曹 ( 2000-11-09 18:43 )

2000-11-08 [雑談] レディスコミックについて

 
 ある作品を取り上げるのにそのマンガ家のポジションをまとめようとしたら,レディスコミックについて二,三書いておかないと進めなくなってしまった。
 本ひまじんネットはうら若い女性の会員が多い。そんな場所でレディスコミックについて語るのは,釈迦に説法かもしれない。違うかもしれない。「レディスコミックにはちょっとうるさいわよ」と教えてくれる知人もおらず,どうも全貌も詳細もよくわからないのだ。烏丸にとって未開の大陸なのである。したがって以下に述べることは,非常に少ないデータに基づいた,一種,情報の捏造にあたるかもしれない。前もってお断りしておく。

 さて。いくら未開のレディスコミックとはいえ,コンビニの店頭でながめれば,2つの大陸があることくらいはすぐわかる。すなわち,「エロ」主流と,そうでないものだ(正しくは「ミステリー,ホラー」系との3つに分けるべきかもしれないが,「ミステリー,ホラー」系も「エロ」ありとなしに分かれてややこしいのでとりあえずおく)。
 そもそもは「エロ」なしのものが先行し,少女マンガを卒業した女性マンガファンを取り込もうとした,それがレディスコミックの起源である。集英社の「YOU」や講談社の「BE・LOVE」などがこれにあたる。これらのヒロインはOLあるいは主婦,つまりは読者の投影で,彼女たちは仕事や男性との交際の中でこつこつ自分なりの道を求め,最後には自信に満ちた明るい笑顔にいたる。深見じゅん『悪女(わる)』はその典型といえるだろう。
 もう一方,「エロ」のほうだが,よく言われるのが「外人カップルの写真が表紙のものは,エグい」ということである。確かにエグい。男性誌ならマニア誌と呼ばれ,通常の書店では扱ってないか,ビニール掛けされておかしくないような,SM,レイプ,3P,スワップ,器物,獣姦,なんでもありである。女性に対して夢見がちな独身男性諸氏は,手にとらないほうが身のためだろう。
 また,「エロ」系のチープな雑誌では,一度掲載された作品をそのまま再掲載し,新作のように表紙にうたうことが少なくない。雑誌にこだわる定期購読者はいないのだろうか。いずれにしても,恐るべき世界ではある。

 レディスコミックの作家は,もともと少女マンガの作家だったものがシフトして量産するケースが多い。
 たとえば井出知香恵。「エロ」系,非「エロ」系,何でもこいの凄い作家だが,もともとは1960年代に「りぼん」の『ビバ!バレーボール』でデビューした作家である。そのときから絵柄が変わっていないのが凄い。今にして思えば,(以前にも書いたようにボーイフレンドが死に,自身も子宮を摘出されるなど,女性であることを捨てて名選手になっていく)『アタックno.1』,少女の次に女になることをすっとばしておばさん的雰囲気だった『サインはV!』の2作のブームを受けて現れながら,『ビバ!』には,どこか隠微な,女の匂いのようなものが感じられた。身長や筋肉まかせでない,ねっとりしたきしみのようなものがあの作品にはあった。今,「エロ」系としては逆に淡白な彼女の絵柄を見ると,作家の変遷の不思議を感じないでもない。

 ところで,レディスコミックのエグさについては,駅売りの夕刊紙がときどき話題にして教えてくれる。しかし,そりゃあ凄そうだと単行本を手にして,得した気分になることはまずない。所詮,男子禁制の世界,ということだろうか。

先頭 表紙

ふむふむ、「外人カップルの写真が表紙を飾るもの」ですな。では、早速。 / こすもえろりん ( 2000-11-10 01:06 )
大変勉強になりました。 / フィー子 ( 2000-11-09 19:16 )
ぬまじりよしみといえば、『ひがみちゃんJam』でございますねっ。 / ケロロ軍曹 ( 2000-11-09 18:42 )
申しわけありません,ぬまじりよしみは時期的には掲載誌を読んでいるはずですが,絵柄,ストーリーともに,とくに記憶に残っておりません。 / 烏丸 ( 2000-11-09 14:36 )
密かにわたくしはぬまじりよしみ氏をひいきしております。コミックスも全部書棚の後ろの段に・・・彼女、もっと評価されてもいいと思うのですが・・・・ / 懲りずに登場 ( 2000-11-09 13:34 )
高口里純ではありません。レディスコミックという切り口でみれば,さほどメジャーではないかもしれない作家です。……なんてつっこみ返ししてるヒマがあったら,とっとと書け。 > 烏丸 / 烏丸 ( 2000-11-09 12:35 )
水美さま,トーンは高いので,切れはしになってもなかなか捨てられませんねえ。烏丸は仕事で使っていたころ(残念ながらマンガではない),トーン棚管理の鬼と呼ばれたものであります。カッターじゃきじゃき! 柴門ふみのところに遊びに行った片山まさゆきが黙ってトーンを持ち帰ろうとしたギャグもよくわかるのであります。 / 烏丸 ( 2000-11-09 12:28 )
しかし、ある作家って?この流れからすると・・・里純様? / しつこい女。 ( 2000-11-08 21:32 )
関係なくってすみません!勝手な見識デス。しかし、資源ゴミの費に見る、エロ系レディコミの多い事ったら!何処の奥様がお捨てになったの?!って思います・・・ / すんまそん水美 ( 2000-11-08 21:29 )
やおいっつーか、いわゆる、ホモ系っつうのは、エッチを重視しなければ、いわゆる少女漫画です。受けは、読者(作者?)の投影、攻めは、きらりん男の子なのですね。主人公が男の子にかわっただけという・・・。エッチシーンを考え合わせれば、烏丸様のおっしゃるもろ、鬼畜なエロですねえ。って言うか、最近見てないので、3年くらい前のデータですが。しかし、捨てられないのは本誌だけでないのだ。膨大な量のトーン・・・どうする!まだ世界堂の袋にはいったまんまのもあるぞい。 / 今日ヤングユーを買った♪@水美 ( 2000-11-08 21:15 )
エ,エルさま。不肖・烏丸,タイのビーチのおじさんのような趣味はないのでございます。そもそも,市販されているものなら,たいていのものは「仕事の資料!」で押し切ることも不可能ではございません(突然死したらちと厳しいでしょうが)。どっちかというと,もっと恥ずかしいのは……。ま,まあいいではありませんか。わはは。 / 烏丸 ( 2000-11-08 18:21 )
烏丸さま、もしや「さぶ」や「薔薇族」を隠しもっていらっしゃるとか・・・?私の交通事故に気を付けなくちゃ。。 / エル ( 2000-11-08 16:55 )
彼方さま,烏丸も交通事故には気をつけております。万一,本棚の後ろの……ここには書けませんが。 ← と書いておいて,ほんとはさらに違う場所だったりする / 烏丸 ( 2000-11-08 16:19 )
akemiさまはどんなマンガ家の名前に反応されるのでしょうか。烏丸は,岩館真理子とか……。 / 烏丸 ( 2000-11-08 16:17 )
レディコミは買ってないけど、耽美系は絵がすごすぎて捨てる機会がありません。とても突然死できない気持ちになります・・・ / 関係無い方いっちゃってごめんねの彼方 ( 2000-11-08 15:41 )
一時期、しょっ中買ってました。(笑)昔、少女雑誌に描いていたマンガ家の名前を表紙にみつけると、手にとってパラパラと・・・おいおいおい!(爆)「ちょっと、これスゴ〜イ!家で読もう!」(ストーリー的に無理がなく、絵柄がドギツくなく、描写も何気に美しいようなもの)で、お買い上げ〜〜!ってな感じでした。ま、ドギツイのはドギツイのとして・・・(以下省略) / akemiリターンズ! ( 2000-11-08 15:26 )
レディスコミックが未開の大陸なら,やおいはよその惑星であります。カラスでありながら高所恐怖症のわたくし,とても飛んでゆけません。 / 烏丸 ( 2000-11-08 14:57 )
か、烏丸さまがレディコミの話題を・・!少女マンガの作家が、耽美系(やおい系)に行く場合もありますね。これにいたっては、男性は絶対に雑誌を手にとっていけませんね。自分が犯されちゃうような気分になります。 / エル ( 2000-11-08 14:47 )

2000-11-07 [詠嘆] 旧石器発掘捏造

 
 毎日新聞というところは,大手紙の中ではいまだブン屋意識が強いというか,たまに他紙が歯噛みするような大スクープをものにしてみせる。今回も,疑念を持たれていた人物の怪しい行動をチェック,ビデオ撮影してそれを突きつけ,「自白」まで持ち込んだのだから,見事なまでの単独スクープである。
 もちろん,メディアにこのような形で人を裁く権利はあるか,という議論は必要だろう。今回も一歩間違えれば松本サリン事件の際の河野さん同様,罪なき研究者を貶める可能性は十分にあった。しかし,今回はある世界での権威とされる公人の行為,言葉のチェックの範疇だったと考えてよいように思う。

 チェックメイトを食らったのは東北旧石器文化研究所の藤村新一副理事長(50歳)。彼は180か所以上の遺跡発掘にかかわり,発掘団が総出で発掘にあたっても何も出てこない現場の片隅から石器を発見する手腕から「神の手」とまで称された人物である。
 捏造を見破られた現場は宮城県築館町の上高森遺跡。今年10月,約60万年以上前のものとみられる旧石器などが見つかったとして注目されていたのだが,それは彼が自分のコレクションから持ち込んだ石器を埋め,それを独特の経験と勘に従って発見したかのように偽ったものだった。
 藤村副理事長は毎日新聞の問いに,今年9月,北海道十津川町の総進不動坂遺跡で見つかった旧石器も自分の捏造であることを認めている。

 しかし,そもそも毎日新聞が藤村氏をマークし,ビデオ撮影したのは,彼の「神の手」があまりにあざやかにすぎ,さらに掘り起こされた石器そのものに対してすでに何人かの研究者から疑念が噴出していたためである(たとえば藤村氏発掘の前期・中期旧石器が往々にして発掘面に平らに出土することなどが問題にされていた)。これらの疑義がかなり前からある以上,藤村氏がいかに否定しようと,捏造が上高森遺跡と総進不動坂遺跡の2か所だけとみなすのは早計だろう。
 彼の業績が全否定された場合,「70万年以上前」とされつつあった旧石器文化の起源が「3万年前」まで逆戻りする可能性があり,また最古の埋葬が原人の手によるという世界規模のテーマも揺らぐことになる。とりあえず彼の全業績をいったんゼロに戻し,確証が得られたもののみ再評価するくらいの厳しい姿勢が必要ではないだろうか。遺跡によっては彼以外の者も石器を発見したのだからすべてが捏造ではないはず,という声もあるが,報道によるとなかなか石器が出ない現場で彼が「このあたりに出そうだ」と指さした場所から他のスタッフが石器を掘り出す,といった情況もあったらしい。

 考古学は,進化についての議論と並んで立証の難しい学問の1つではある。検証,反論がシステム化されておらず,大学の派閥,研究室のうち発言力の強いところの声が通る,という面も否定できない。また,ある大手紙と親しい研究者の論説なら大見出し,他紙は無視,ということも少なくない世界である。
 烏丸は考古学は知人の勧めに従ってたまに本を読む程度,全くの素人に過ぎないが(本文もすべての文末に「そうだ」「らしい」を付加して読んでいただければ幸いである),今回の事件がただスキャンダルとして立ち消えになるのでなく,考古学のフェアな研究,発表の1つの道標となってくれれば,と切に願う。

 それにしても,ねえ。なーんてこったい。

先頭 表紙

1000mって,ちょっと短いですねえ。盛り上がる前にレースが終わってしまいそう。ただ,人間走らせても面白そうですね。 / 烏丸 ( 2000-11-09 12:38 )
んー、レースのバリエーションが増えて枠順や左右回りのハンデがなくなるので私的にはあっても良いんじゃないか、と。でもたったの1000mじゃ作っても意味ないよなあと思ったりも。 / 2ダブ ( 2000-11-08 23:37 )
その直線オンリーコースって,要望多いんでしょうか? なんだか,コクに欠けるような気がするんですが,思い込みかしらん。でも,先行逃げ切り馬の鉄砲駆けとかあったら,話題になりそうではあります。 / 烏丸 ( 2000-11-08 14:55 )
いや、むしろ新潟に新設予定の直線オンリーコースで。 / 2ダブ ( 2000-11-08 12:57 )
ライトサイドでない。するとやはり,左回りの府中か中京。 / 烏丸 ( 2000-11-08 12:45 )
あ、私はライトサイドの人ではないです。 / 2ダブ ( 2000-11-08 12:15 )
考古遺物って、目にした人の想像次第で壮大な神話や昔話を語ってくれる物神、御神体にも似た存在という思いがあります。神話を捏造した人物の異名が神の手…今となってはタチ悪い冗談ですね。 / 2ダブ ( 2000-11-08 12:14 )
Yahoo!のニュースにリンクされていた,東北旧石器文化研究所のサイト,東北福祉大学の考古学研究室による上高森遺跡のサイト,いずれも消えていますね。謝罪とは言わないまでも,経過報告&現在詳細を調査中,というメッセージを載せておくのがスジだと思うんだけど,ショックを受けた学者さんには無理かな(サイトを外注してるなら直接は手を出せないことも考えられるし)。 / 烏丸 ( 2000-11-08 12:10 )
(なんだかんだで,この数日でずいぶん勉強したわたし……当日,翌日の毎日新聞もゲットしたしー) / 烏丸 ( 2000-11-08 01:32 )
石器の場合,放射性元素による年代確認とかも幅があり,古い地層に混ぜたらフェイクであるという立証は簡単ではないもようです。逆にいうと,彼の発見がそういう検証しづらい,いわばチェックのエアポケットにあたるものばかり,というのも疑惑派からは指摘されていたようですね。また,ほかで発見されないものをなにしろ「神の手」で彼だけが発見するので,「その時代の石器はそうじゃないだろ!」という立証もできないわけです。 / 烏丸 ( 2000-11-08 01:31 )
周りに迷惑をかけ、全国の受験生&教科書会社をハラハラさせ、いたいけな小学生の夢まで壊して。。余波は思わぬ所に広がっているんですね。。 / エル ( 2000-11-08 01:28 )
アハハ‥‥このニュース聞いた時思わず笑ってしまいました‥‥。でも、発掘物の検証ってそんなに曖昧なモノでしょうか? 考古学ってよく分からないです。 / ア●ミ ( 2000-11-08 01:06 )
信用した周囲の研究者や遺跡の周辺の方(町おこしがガタガタ)などはお気の毒ですが,大人は,同罪とは言わないまでも実証を怠ったせい,と言えなくもありません。しかし,彼の発掘を紹介したファンの小学6年生の女の子によるWebサイトが閉じられた,という情報には,なんとも言いようがありません。 / 烏丸 ( 2000-11-07 20:36 )
彼の業績に対する疑義は,今となって見るとずいぶんあちこちにあったようですが,いずれも「見つけたぞ!」の声の前には,確かにちょっとヘンみたいだけど現場に居合わせない者のやっかみかもしれないしな,で流されてきたんでしょう。 / 烏丸 ( 2000-11-07 20:31 )
彼が「石器を発見した!」と声を上げたことで4万年以上前の石器があったことが認められ,彼自身権威になり,その彼が「また発見した!」と言うのだからそれもそうなのだろう,という入れ子細工が際限なく重なった状態だったように見えます。最後の2つの捏造が話題になっているわけですが,もし最初の1つがフェイクなら,全部チャラということになってしまうわけですね。教科書会社は,今,「最後の2つだけ訂正か,それとも……?」と固唾を飲んでいるところではないかと。 / 烏丸 ( 2000-11-07 20:29 )
これで学校の教科書は一体どうなっちゃうのでしょう?しかしたった一人の仕業で70万年前から3万年前に逆戻りする可能性ありなんて、考古学って一体。。 / エル ( 2000-11-07 20:11 )
なお,「なんなら消しちゃいましょうか」と聞かれて「はい」と答える人も(たくさんは)いないでしょうから,昨夜書いた1つ下の書評はサクっと消してしまいました。あたしゃこの程度のへっぽこ書評を置いとくよりも,ほかの方による書評を読むほうが楽しみざます。 / あとは軍曹にお任せ〜 烏丸 ( 2000-11-07 19:18 )
あ,ティキティキさま,おほめの言葉,ありがとうございます。独自性という点でちょっと(てゆか,ぜんぜん)自信のない書き込みではありましたので,そう言っていただけるとすごくほっとします。 / ほんとにほっとしてよいのか? 烏丸 ( 2000-11-07 19:16 )
ニュース・新聞も興味を持って見ていましたが一番よく分かった気がしました。どうもありがとうございます。 / ティキティキ ( 2000-11-07 19:11 )

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