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烏丸の「くるくる回転図書館 駅前店」

 
今後、新しい私評は、
  烏丸の「くるくる回転図書館 公園通り分館」
にてアップすることにしました。

ひまじんネットには大変お世話になりましたし、
楽しませていただきました。
その機能も昨今のブログに劣るとは思わないのですが、
残念なことに新しい書き込みがなされると、
古い書き込みのURLが少しずつずれていってしまいます。
最近も、せっかく見知らぬ方がコミック評にリンクを張っていただいたのに、
しばらくしてそれがずれてしまうということが起こってしまいました。

こちらはこのまま置いておきます。
よろしかったら新しいブログでまたお会いしましょう。
 

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2000-11-08 [雑談] レディスコミックについて
2000-11-07 [詠嘆] 旧石器発掘捏造
2000-11-05 [防犯] ピッキング対策について
2000-11-05 本の中の強い女,弱い女 その十一 『谷仮面』 柴田ヨクサル / 白泉社
2000-11-04 本の中の強い女,弱い女 その十 『エアマスター』 柴田ヨクサル / 白泉社
2000-11-03 [雑談] 人権尊重と教育の行く末
2000-11-02 本の中の強い女,弱い女 その九 『虐げられた人びと』 フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー,小笠原豊樹 訳 / 新潮文庫
2000-11-02 本の中の強い女,弱い女 その八 『大人になったのび太少年』より「キャンディ(はあと)キャンディ」 木全公彦,林公一 / 宝島社文庫
2000-11-01 本の中の強い女,弱い女 その七 『めぞん一刻』 高橋留美子 / 小学館
2000-10-31 本の中の強い女,弱い女 その六 『ルネサンスの女たち』 塩野七生 / 中公文庫


2000-11-08 [雑談] レディスコミックについて

 
 ある作品を取り上げるのにそのマンガ家のポジションをまとめようとしたら,レディスコミックについて二,三書いておかないと進めなくなってしまった。
 本ひまじんネットはうら若い女性の会員が多い。そんな場所でレディスコミックについて語るのは,釈迦に説法かもしれない。違うかもしれない。「レディスコミックにはちょっとうるさいわよ」と教えてくれる知人もおらず,どうも全貌も詳細もよくわからないのだ。烏丸にとって未開の大陸なのである。したがって以下に述べることは,非常に少ないデータに基づいた,一種,情報の捏造にあたるかもしれない。前もってお断りしておく。

 さて。いくら未開のレディスコミックとはいえ,コンビニの店頭でながめれば,2つの大陸があることくらいはすぐわかる。すなわち,「エロ」主流と,そうでないものだ(正しくは「ミステリー,ホラー」系との3つに分けるべきかもしれないが,「ミステリー,ホラー」系も「エロ」ありとなしに分かれてややこしいのでとりあえずおく)。
 そもそもは「エロ」なしのものが先行し,少女マンガを卒業した女性マンガファンを取り込もうとした,それがレディスコミックの起源である。集英社の「YOU」や講談社の「BE・LOVE」などがこれにあたる。これらのヒロインはOLあるいは主婦,つまりは読者の投影で,彼女たちは仕事や男性との交際の中でこつこつ自分なりの道を求め,最後には自信に満ちた明るい笑顔にいたる。深見じゅん『悪女(わる)』はその典型といえるだろう。
 もう一方,「エロ」のほうだが,よく言われるのが「外人カップルの写真が表紙のものは,エグい」ということである。確かにエグい。男性誌ならマニア誌と呼ばれ,通常の書店では扱ってないか,ビニール掛けされておかしくないような,SM,レイプ,3P,スワップ,器物,獣姦,なんでもありである。女性に対して夢見がちな独身男性諸氏は,手にとらないほうが身のためだろう。
 また,「エロ」系のチープな雑誌では,一度掲載された作品をそのまま再掲載し,新作のように表紙にうたうことが少なくない。雑誌にこだわる定期購読者はいないのだろうか。いずれにしても,恐るべき世界ではある。

 レディスコミックの作家は,もともと少女マンガの作家だったものがシフトして量産するケースが多い。
 たとえば井出知香恵。「エロ」系,非「エロ」系,何でもこいの凄い作家だが,もともとは1960年代に「りぼん」の『ビバ!バレーボール』でデビューした作家である。そのときから絵柄が変わっていないのが凄い。今にして思えば,(以前にも書いたようにボーイフレンドが死に,自身も子宮を摘出されるなど,女性であることを捨てて名選手になっていく)『アタックno.1』,少女の次に女になることをすっとばしておばさん的雰囲気だった『サインはV!』の2作のブームを受けて現れながら,『ビバ!』には,どこか隠微な,女の匂いのようなものが感じられた。身長や筋肉まかせでない,ねっとりしたきしみのようなものがあの作品にはあった。今,「エロ」系としては逆に淡白な彼女の絵柄を見ると,作家の変遷の不思議を感じないでもない。

 ところで,レディスコミックのエグさについては,駅売りの夕刊紙がときどき話題にして教えてくれる。しかし,そりゃあ凄そうだと単行本を手にして,得した気分になることはまずない。所詮,男子禁制の世界,ということだろうか。

先頭 表紙

ふむふむ、「外人カップルの写真が表紙を飾るもの」ですな。では、早速。 / こすもえろりん ( 2000-11-10 01:06 )
大変勉強になりました。 / フィー子 ( 2000-11-09 19:16 )
ぬまじりよしみといえば、『ひがみちゃんJam』でございますねっ。 / ケロロ軍曹 ( 2000-11-09 18:42 )
申しわけありません,ぬまじりよしみは時期的には掲載誌を読んでいるはずですが,絵柄,ストーリーともに,とくに記憶に残っておりません。 / 烏丸 ( 2000-11-09 14:36 )
密かにわたくしはぬまじりよしみ氏をひいきしております。コミックスも全部書棚の後ろの段に・・・彼女、もっと評価されてもいいと思うのですが・・・・ / 懲りずに登場 ( 2000-11-09 13:34 )
高口里純ではありません。レディスコミックという切り口でみれば,さほどメジャーではないかもしれない作家です。……なんてつっこみ返ししてるヒマがあったら,とっとと書け。 > 烏丸 / 烏丸 ( 2000-11-09 12:35 )
水美さま,トーンは高いので,切れはしになってもなかなか捨てられませんねえ。烏丸は仕事で使っていたころ(残念ながらマンガではない),トーン棚管理の鬼と呼ばれたものであります。カッターじゃきじゃき! 柴門ふみのところに遊びに行った片山まさゆきが黙ってトーンを持ち帰ろうとしたギャグもよくわかるのであります。 / 烏丸 ( 2000-11-09 12:28 )
しかし、ある作家って?この流れからすると・・・里純様? / しつこい女。 ( 2000-11-08 21:32 )
関係なくってすみません!勝手な見識デス。しかし、資源ゴミの費に見る、エロ系レディコミの多い事ったら!何処の奥様がお捨てになったの?!って思います・・・ / すんまそん水美 ( 2000-11-08 21:29 )
やおいっつーか、いわゆる、ホモ系っつうのは、エッチを重視しなければ、いわゆる少女漫画です。受けは、読者(作者?)の投影、攻めは、きらりん男の子なのですね。主人公が男の子にかわっただけという・・・。エッチシーンを考え合わせれば、烏丸様のおっしゃるもろ、鬼畜なエロですねえ。って言うか、最近見てないので、3年くらい前のデータですが。しかし、捨てられないのは本誌だけでないのだ。膨大な量のトーン・・・どうする!まだ世界堂の袋にはいったまんまのもあるぞい。 / 今日ヤングユーを買った♪@水美 ( 2000-11-08 21:15 )
エ,エルさま。不肖・烏丸,タイのビーチのおじさんのような趣味はないのでございます。そもそも,市販されているものなら,たいていのものは「仕事の資料!」で押し切ることも不可能ではございません(突然死したらちと厳しいでしょうが)。どっちかというと,もっと恥ずかしいのは……。ま,まあいいではありませんか。わはは。 / 烏丸 ( 2000-11-08 18:21 )
烏丸さま、もしや「さぶ」や「薔薇族」を隠しもっていらっしゃるとか・・・?私の交通事故に気を付けなくちゃ。。 / エル ( 2000-11-08 16:55 )
彼方さま,烏丸も交通事故には気をつけております。万一,本棚の後ろの……ここには書けませんが。 ← と書いておいて,ほんとはさらに違う場所だったりする / 烏丸 ( 2000-11-08 16:19 )
akemiさまはどんなマンガ家の名前に反応されるのでしょうか。烏丸は,岩館真理子とか……。 / 烏丸 ( 2000-11-08 16:17 )
レディコミは買ってないけど、耽美系は絵がすごすぎて捨てる機会がありません。とても突然死できない気持ちになります・・・ / 関係無い方いっちゃってごめんねの彼方 ( 2000-11-08 15:41 )
一時期、しょっ中買ってました。(笑)昔、少女雑誌に描いていたマンガ家の名前を表紙にみつけると、手にとってパラパラと・・・おいおいおい!(爆)「ちょっと、これスゴ〜イ!家で読もう!」(ストーリー的に無理がなく、絵柄がドギツくなく、描写も何気に美しいようなもの)で、お買い上げ〜〜!ってな感じでした。ま、ドギツイのはドギツイのとして・・・(以下省略) / akemiリターンズ! ( 2000-11-08 15:26 )
レディスコミックが未開の大陸なら,やおいはよその惑星であります。カラスでありながら高所恐怖症のわたくし,とても飛んでゆけません。 / 烏丸 ( 2000-11-08 14:57 )
か、烏丸さまがレディコミの話題を・・!少女マンガの作家が、耽美系(やおい系)に行く場合もありますね。これにいたっては、男性は絶対に雑誌を手にとっていけませんね。自分が犯されちゃうような気分になります。 / エル ( 2000-11-08 14:47 )

2000-11-07 [詠嘆] 旧石器発掘捏造

 
 毎日新聞というところは,大手紙の中ではいまだブン屋意識が強いというか,たまに他紙が歯噛みするような大スクープをものにしてみせる。今回も,疑念を持たれていた人物の怪しい行動をチェック,ビデオ撮影してそれを突きつけ,「自白」まで持ち込んだのだから,見事なまでの単独スクープである。
 もちろん,メディアにこのような形で人を裁く権利はあるか,という議論は必要だろう。今回も一歩間違えれば松本サリン事件の際の河野さん同様,罪なき研究者を貶める可能性は十分にあった。しかし,今回はある世界での権威とされる公人の行為,言葉のチェックの範疇だったと考えてよいように思う。

 チェックメイトを食らったのは東北旧石器文化研究所の藤村新一副理事長(50歳)。彼は180か所以上の遺跡発掘にかかわり,発掘団が総出で発掘にあたっても何も出てこない現場の片隅から石器を発見する手腕から「神の手」とまで称された人物である。
 捏造を見破られた現場は宮城県築館町の上高森遺跡。今年10月,約60万年以上前のものとみられる旧石器などが見つかったとして注目されていたのだが,それは彼が自分のコレクションから持ち込んだ石器を埋め,それを独特の経験と勘に従って発見したかのように偽ったものだった。
 藤村副理事長は毎日新聞の問いに,今年9月,北海道十津川町の総進不動坂遺跡で見つかった旧石器も自分の捏造であることを認めている。

 しかし,そもそも毎日新聞が藤村氏をマークし,ビデオ撮影したのは,彼の「神の手」があまりにあざやかにすぎ,さらに掘り起こされた石器そのものに対してすでに何人かの研究者から疑念が噴出していたためである(たとえば藤村氏発掘の前期・中期旧石器が往々にして発掘面に平らに出土することなどが問題にされていた)。これらの疑義がかなり前からある以上,藤村氏がいかに否定しようと,捏造が上高森遺跡と総進不動坂遺跡の2か所だけとみなすのは早計だろう。
 彼の業績が全否定された場合,「70万年以上前」とされつつあった旧石器文化の起源が「3万年前」まで逆戻りする可能性があり,また最古の埋葬が原人の手によるという世界規模のテーマも揺らぐことになる。とりあえず彼の全業績をいったんゼロに戻し,確証が得られたもののみ再評価するくらいの厳しい姿勢が必要ではないだろうか。遺跡によっては彼以外の者も石器を発見したのだからすべてが捏造ではないはず,という声もあるが,報道によるとなかなか石器が出ない現場で彼が「このあたりに出そうだ」と指さした場所から他のスタッフが石器を掘り出す,といった情況もあったらしい。

 考古学は,進化についての議論と並んで立証の難しい学問の1つではある。検証,反論がシステム化されておらず,大学の派閥,研究室のうち発言力の強いところの声が通る,という面も否定できない。また,ある大手紙と親しい研究者の論説なら大見出し,他紙は無視,ということも少なくない世界である。
 烏丸は考古学は知人の勧めに従ってたまに本を読む程度,全くの素人に過ぎないが(本文もすべての文末に「そうだ」「らしい」を付加して読んでいただければ幸いである),今回の事件がただスキャンダルとして立ち消えになるのでなく,考古学のフェアな研究,発表の1つの道標となってくれれば,と切に願う。

 それにしても,ねえ。なーんてこったい。

先頭 表紙

1000mって,ちょっと短いですねえ。盛り上がる前にレースが終わってしまいそう。ただ,人間走らせても面白そうですね。 / 烏丸 ( 2000-11-09 12:38 )
んー、レースのバリエーションが増えて枠順や左右回りのハンデがなくなるので私的にはあっても良いんじゃないか、と。でもたったの1000mじゃ作っても意味ないよなあと思ったりも。 / 2ダブ ( 2000-11-08 23:37 )
その直線オンリーコースって,要望多いんでしょうか? なんだか,コクに欠けるような気がするんですが,思い込みかしらん。でも,先行逃げ切り馬の鉄砲駆けとかあったら,話題になりそうではあります。 / 烏丸 ( 2000-11-08 14:55 )
いや、むしろ新潟に新設予定の直線オンリーコースで。 / 2ダブ ( 2000-11-08 12:57 )
ライトサイドでない。するとやはり,左回りの府中か中京。 / 烏丸 ( 2000-11-08 12:45 )
あ、私はライトサイドの人ではないです。 / 2ダブ ( 2000-11-08 12:15 )
考古遺物って、目にした人の想像次第で壮大な神話や昔話を語ってくれる物神、御神体にも似た存在という思いがあります。神話を捏造した人物の異名が神の手…今となってはタチ悪い冗談ですね。 / 2ダブ ( 2000-11-08 12:14 )
Yahoo!のニュースにリンクされていた,東北旧石器文化研究所のサイト,東北福祉大学の考古学研究室による上高森遺跡のサイト,いずれも消えていますね。謝罪とは言わないまでも,経過報告&現在詳細を調査中,というメッセージを載せておくのがスジだと思うんだけど,ショックを受けた学者さんには無理かな(サイトを外注してるなら直接は手を出せないことも考えられるし)。 / 烏丸 ( 2000-11-08 12:10 )
(なんだかんだで,この数日でずいぶん勉強したわたし……当日,翌日の毎日新聞もゲットしたしー) / 烏丸 ( 2000-11-08 01:32 )
石器の場合,放射性元素による年代確認とかも幅があり,古い地層に混ぜたらフェイクであるという立証は簡単ではないもようです。逆にいうと,彼の発見がそういう検証しづらい,いわばチェックのエアポケットにあたるものばかり,というのも疑惑派からは指摘されていたようですね。また,ほかで発見されないものをなにしろ「神の手」で彼だけが発見するので,「その時代の石器はそうじゃないだろ!」という立証もできないわけです。 / 烏丸 ( 2000-11-08 01:31 )
周りに迷惑をかけ、全国の受験生&教科書会社をハラハラさせ、いたいけな小学生の夢まで壊して。。余波は思わぬ所に広がっているんですね。。 / エル ( 2000-11-08 01:28 )
アハハ‥‥このニュース聞いた時思わず笑ってしまいました‥‥。でも、発掘物の検証ってそんなに曖昧なモノでしょうか? 考古学ってよく分からないです。 / ア●ミ ( 2000-11-08 01:06 )
信用した周囲の研究者や遺跡の周辺の方(町おこしがガタガタ)などはお気の毒ですが,大人は,同罪とは言わないまでも実証を怠ったせい,と言えなくもありません。しかし,彼の発掘を紹介したファンの小学6年生の女の子によるWebサイトが閉じられた,という情報には,なんとも言いようがありません。 / 烏丸 ( 2000-11-07 20:36 )
彼の業績に対する疑義は,今となって見るとずいぶんあちこちにあったようですが,いずれも「見つけたぞ!」の声の前には,確かにちょっとヘンみたいだけど現場に居合わせない者のやっかみかもしれないしな,で流されてきたんでしょう。 / 烏丸 ( 2000-11-07 20:31 )
彼が「石器を発見した!」と声を上げたことで4万年以上前の石器があったことが認められ,彼自身権威になり,その彼が「また発見した!」と言うのだからそれもそうなのだろう,という入れ子細工が際限なく重なった状態だったように見えます。最後の2つの捏造が話題になっているわけですが,もし最初の1つがフェイクなら,全部チャラということになってしまうわけですね。教科書会社は,今,「最後の2つだけ訂正か,それとも……?」と固唾を飲んでいるところではないかと。 / 烏丸 ( 2000-11-07 20:29 )
これで学校の教科書は一体どうなっちゃうのでしょう?しかしたった一人の仕業で70万年前から3万年前に逆戻りする可能性ありなんて、考古学って一体。。 / エル ( 2000-11-07 20:11 )
なお,「なんなら消しちゃいましょうか」と聞かれて「はい」と答える人も(たくさんは)いないでしょうから,昨夜書いた1つ下の書評はサクっと消してしまいました。あたしゃこの程度のへっぽこ書評を置いとくよりも,ほかの方による書評を読むほうが楽しみざます。 / あとは軍曹にお任せ〜 烏丸 ( 2000-11-07 19:18 )
あ,ティキティキさま,おほめの言葉,ありがとうございます。独自性という点でちょっと(てゆか,ぜんぜん)自信のない書き込みではありましたので,そう言っていただけるとすごくほっとします。 / ほんとにほっとしてよいのか? 烏丸 ( 2000-11-07 19:16 )
ニュース・新聞も興味を持って見ていましたが一番よく分かった気がしました。どうもありがとうございます。 / ティキティキ ( 2000-11-07 19:11 )

2000-11-05 [防犯] ピッキング対策について

 
 ア●ミさんの「ア●ミの悩みを聞いて!」に,ピッキング犯罪(鍵を使わずに錠前を開けて侵入する空き巣)の被害についての報告がなされています。さいわい未遂に終わったもようで,ご無事で本当によかったのですが,ピッキングには鍵(正しくは錠前)をピッキング不可能なものに変える以外,効果的な対策はありません。
 問題となっているのは,MIWA(美和ロック)のディスクシリンダー錠。これは鍵穴が縦になっているタイプのオーソドックスな錠前で,慣れた者なら数秒でピッキングできると言われています。

 たまたま,最近,セキュリティ関係に詳しいテクニカルライターの駒沢丈治氏にピッキング対策についてお話をうかがう機会がありました。ひまじんネットは,一人暮しの女性の会員の方も少なくありませんので(著作権の関係から全文は引き写せませんが),ご教授いただいた,役に立つ情報サイトをいくつかご紹介したいと思います。

 まず,防犯用シリンダー(CP-C)全般については,次のページをご覧ください。
 「CP-C(CRIME PREVENTION CYLINDER = 防犯シリンダー)」
 ただし,駒沢氏によると「ロータリーディスク」を使ったMIWAの新型錠「U9シリンダー」すらすでにピッキングの被害が出ているとのことで,費用対効果などを考慮すると,当面は,鍵の表面に穿たれた窪み(ディンプル)を利用する「ディンプルキー」と呼ばれるタイプがお奨めとのことです。
 ディンプルキーについては,次のページほかをご参照ください。
 「ゴール社製V18シリンダ」
 「アルファ社製FBロック」

 ディンプルキーに交換する費用は,シリンダーのみなら8,000円前後,錠前屋さんに頼んだ場合20,000円前後が必要とのこと。マンションなどでは管理についての規定もありますので,とりあえず不動産屋などに相談してみることをお奨めします。

 また,就眠時など,室内にいる場合は,必ずチェーンロックを掛けておくのをお忘れなく。

先頭 表紙

本文のとおり,烏丸は情報を転載したにすぎませんが,多少なりともお役に立てたならなによりでした。 / 烏丸 ( 2000-11-07 12:11 )
これを読んですかさず鍵を変えさせていただきました。タイムリーな情報、ありがとうございました。 / ぴぴ ( 2000-11-07 09:28 )
ちなみに我が家はおんぼろ一戸建てで,玄関の錠前だけ変えてもほかがもうスキだらけなんですが,それでも錠前を変えておくと,「この家は防犯意識が高いようだ」と敬遠される可能性は(ほんの少し)高まるそうです。でもなー,入る気なら,どっからでも入れそうで。 / 烏丸 ( 2000-11-06 01:26 )
少し前、ピッキングについてちょっと調べたばかりだったんですよねぇ。怖いなーとは思いつつ、人ごとのように考えてたらこんな目に。いや、未遂なんですが。やっぱり不動産屋に鍵の相談した方がいいですね。うちに来たってことは、きっと隣にも来てるだろうし。下手したら盗まれてるかもだし。御助言、ありがとうございます! / ア●ミ ( 2000-11-06 00:46 )
ピッキングの音に反応して警報音が鳴る「ピッキング・アラーム」という防犯器具も今月末には発売される予定で,これ警視庁の開発ですから,効果がないようでは困りますが,ピッキング犯はすぐ対応してくるでしょうし,これに8,000円かけるなら錠前を交換したほうがよさそうです。 / 烏丸 ( 2000-11-05 23:59 )
本当にピッキングが困難な錠前に変えた場合,プロの錠前屋さんにも簡単には開けられない理屈ですから,鍵を3個受け取るとして,予備の鍵をどこに保管しておくかという問題が起こってきます。これも難問。 / 烏丸 ( 2000-11-05 23:53 )
警視庁の社宅にも、ピッキング防止錠へ変えましょう、というおふれが回ってきました。物騒ですものね。 / あやや ( 2000-11-05 23:06 )
ディスクシリンダー錠が5秒以内に開いてしまう話をはじめ聞いた時は衝撃でした。窓のクレセント錠も、すぐ開くそうで。。。怖いです。 / たら子母 ( 2000-11-05 22:54 )

2000-11-05 本の中の強い女,弱い女 その十一 『谷仮面』 柴田ヨクサル / 白泉社


【とんとんのぼっていきたいのにな!!!】

 『エアマスター』のカバーには,「柴田ヨクサルのコミックス」として『谷仮面』なる作品が同じ白泉社から全12巻で好評発売中と記されています。サイズがA5版。これは文庫の倍の大きさで,マンガの単行本としては高価なほうと予測されます。しかも,12冊。
 烏丸は『エアマスター』すら親しい知人に教えてもらったくらいで,『谷仮面』は一度も見たことがありません。ぜひとも読んでみたい。しかし高そう。知人もこちらは知らないと言う。気になる。

 ところが,柴田ヨクサルのファンサイトなどを見てみても,この『谷仮面』の正体がよくわからないのです。ジャンルすら,はっきりしない。「エアマスターと谷仮面,どっちが強いかな」というファンの発言からすると,やはり格闘モノなんでしょうか。しかも困ったことに,そもそもそれほどたくさん印刷されなかったため,ほとんど本屋で見られない,古本屋でも見かけない,というのです。

 そんなある日,烏丸が都内の書店を散策していると……なんということでしょう,そこにはファンすらなかなか見つけられないと嘆く『谷仮面』全12巻がそろっているではありませんか。やるな,秋葉原書泉ブックタワー。
 ところで,この烏丸とて普通は,そんな得体の知れないマンガを一気買いしたりしません。とりあえず1,2冊買って様子を見るのが常道でしょう。しかし,問題は,それが入手困難という噂。もしここで1冊買って,面白くて,続きを買おうとしてもう二度と手に入らなかったら……マイナーコミック作品にはそういうことが少なくないのです。えーいっ。書泉ブックタワーの屋上から飛び降りるつもりで,12巻をどんとレジに運んだ烏丸。吉と出るか凶と出るか。
 ちなみに,その次の週,別の用事で書泉ブックタワーにおもむくと,そこには烏丸が全部買ったはずの12巻がそろって……入手困難の噂は何だったのか。

 さて,作品です。1巻読んで,「はてな?」
 主人公は,鳥山高校に通う高校生,谷。彼はなぜか添付画像のような仮面をかぶっています。が,その理由は別に説明されず,周囲も別に彼を特殊扱いせず,淡々と彼をめぐる高校生活が描かれます。彼は細身ながら,腕力は非常に強いようです。が,その理由もとくに説明されません。彼は島リホコというバレー部の女の子が大好きなのですが,とても口に出して言えません。
 2巻読んで,「それで?」
 作者はギャグを書いているつもりなんでしょうか。カバーの惹句は「超過激アクションギャグ」ですが,よくわからない。とくに笑うような内容ではないのです。授業中にいびきが聞こえるので先生がチョークを投げたら,寝ているのは谷の後ろの生徒だった,とか,リホコさんの気をひくために不良たちをぶっとばしたけどリホコさんは気がつかずに向こうに行ってしまったとか,そんな話ばかり。
 3巻読んで,「8,000円。いい勉強だったぜ」

 しかし,5巻で登場した中岡という鳥山高校伝説の不良とやらが休学から復帰してきて仲間を集め,不良校統一をはかろうと言い出し,まずはレスリング大会に出場しようというあたりから俄然話が動き出し……。

 ……気がつけば11巻,12巻では最初はキツネのようにとんがってぎくしゃくしていたリホコの顔もふっくら豊かになり,物語はコミック史上『めぞん一刻』以上のスーパーデリシャス遊星ゴールデンスペシャルリザーブゴージャスパワフル純愛ラブストーリーになってしまうのでした。ああ,びっくりした。

先頭 表紙

……ぽたりん君…… ぼくのお父さんは紫色じゃないよ! / 普通の緑色 烏丸 ( 2000-11-06 00:04 )
12冊かあ… 8,000円とかいって、あまり12冊のことをなあ… 本棚の都合もあるしなあ、かっぱ君 / ゲレンデぽたりん(意味不明) ( 2000-11-05 03:50 )

2000-11-04 本の中の強い女,弱い女 その十 『エアマスター』 柴田ヨクサル / 白泉社


【でも… マキは俺を蹴っ飛ばす事ができるんだ】

 「ヤングアニマル」という白泉社の青年コミック誌をご存知だろうか。『ベルセルク』という病的にアクの強い戦闘ファンタジーが多少知られている程度で,それ以外は水着グラビアといい『ふたりエッチ』などの連載マンガといい,男でもキオスクで買うのは少々抵抗がある,その手の隔週誌だ。
 しかし,実はそういう雑誌にも,いや,そういう雑誌だからこそ,時代の様相は如実に表れる。一見,昔ふう男尊女卑な青年誌でありながら,実は大半の作品の中で,強くみずみずしく描かれているのは女性キャラのほうなのである。1996年の秋から連載されている『エアマスター』も,その1つだ。

 多少マンガを読み慣れていても『エアマスター』の設定になじむのは,ちょっとツラいかもしれない。ストリートファイトって何だ,どこでやってるんだ,という説明は一切ない。展開にどれだけついてこられるか。この作品はかなり読者を絞るのだ。

 ミニスカート,ルーズソックスにスニーカー,長身で無口な女子高生相川摩季は,かつて日本女子体操の頂点に立った選手。彼女はコーチである母親が死んで以来心の支えを喪っていたが,ストリートファイトに挑むうちに体操選手として活躍したころの「目の前がどんどん暗くなるような緊張感」がよみがえるのを知る。
 「次はあたしね」と名乗りをあげ,ブンっと宙に舞ってサングラスにだぼだぼズボンのファイターを蹴り倒す。“エアマスター”と呼ばれるようになった彼女の前には次々と強敵が現れる。摩季の父親は「軟派な精密機械」と呼ばれるプロの格闘家佐伯四郎で,摩季は強敵との決闘前に父親のジムを訪ね,ヒントを得るためリングで父を挑発する。プロの威圧感に圧倒た摩季は,とっさに超至近高速ソバットを返す。「スゲッ…おどろいた そんなことできんだ」「あんたのペースだったからね ちょっと……」。

 狭い路地で左右に飛んで闘いながらビルの屋上まで駆け登り,「よし…ケリつけるか」「さあ行きましょう」と重力にまかせて落ちながらさらに蹴り合う。闘いの瞬間を本作のように3次元的に描いた作品があっただろうか。明らかに格闘アクションゲームから影響を受けてはいるのだが,これだけ独特な世界に翻案した作品は記憶にない。これはまさに新しい格闘マンガの表現である。
 もっとも,絵は巧いとは言えないしパースは狂っているし,ストーリーもときどき破綻する。それでも,次々現れるキャラはとことん立っている。コートのポケットに手を突っ込んだまま沢田研二の歌を口ずさみ,いきなり強烈な蹴りを繰り出す坂本ジュリエッタは,強さといいエキセントリックさといい,敵役の中でも強烈に魅力的だ。また,摩季に優るとも劣らない空中殺法と折々の人生訓がありがたいルチャマスター。そして,未来のスーパーモデル(笑)崎山香織。

 さらにポイントが高いのは,摩季との決着がついた後,坂本ジュリエッタと摩季の父佐伯四郎らが顔中にバンソーコー貼りなりながらビールを酌み交わすシーンだ。
  出遭う! → 闘う! → みんなでメシを喰う
  出遭う! → 闘う! → みんなでメシを喰う
 実はこれが『エアマスター』の基本展開なのである。よーわからん。わからんながら,少なくとも烏丸には『ドラゴンボール』より面白い。なにしろ『ドラゴンボール』で電車を乗り過ごしたことはないが,『エアマスター』では2回,やってしまった。
 エビシューマイは俺の夢だからな!

先頭 表紙

TAKEさま,とりあえず坂本ジュリエッタと決着のつく5巻までがお奨めです。それ以降はちょっと冗長というか。 / 烏丸 ( 2000-11-05 02:46 )
ふ。そのワザで俺を倒せるかどうか,拳をかわしてみればわかるぜ。……か,烏丸には似合わないぃ……。 / 烏丸 ( 2000-11-05 02:44 )
こんばんは! 時々ヤングアニマル誌買ってましたが、キャラも絵も濃くってなんか気になるマンガではありました。今度ちゃんと読んで見ようかな。 / TAKE ( 2000-11-05 02:28 )
飯を食うとは確かに変わってますね。。ところで、ジャンプの黄金パターンだった、新たな敵には、前の敵を倒すのに使った最終奥義が通じない。。っていうのは今だ健在なのでしょうか? / エル ( 2000-11-05 01:40 )
それはともかく,ロートレックは消してしまわれたのですね。残念。 / 烏丸 ( 2000-11-05 00:57 )
いらっしゃいませ,ア●ミさま。闘った後,新たな敵が登場して,今闘った者どうしが今度は仲間になるというのは,全盛期の少年ジャンプが築き上げた黄金パターンだったのですが,この作品はそれを微妙にずらしたような感じ(パロディというほどではない)でなかなか逸品です。ご飯いっしょに食べるくらいだから仲が良いのか,そうでもないのか,とか,そのへんがまた微妙で,なんともいえない味わいがあります。 / 烏丸 ( 2000-11-05 00:56 )
戦いの後、腹へってる時にみんなで食う飯はおいしいでしょうねー。私はエビ餃子派。 / ア●ミ ( 2000-11-04 16:56 )

2000-11-03 [雑談] 人権尊重と教育の行く末

 
 『死刑執行人の苦悩』(大塚公子),『日本の危機』(櫻井よしこ)の書評において,人権尊重がすぎるとそれはそれで問題がある,ということを扱った。

 たとえば,暴力がいけない,幼児虐待はいけない。これは正しい。しかし,では,幼年期に尻をぶったりおもちゃを取り上げたりしないで,どうやってこの世にはやってはいけないことがあるということを学習するのか。中学生に話し合いをしてみせるためには,その前の段階で互いの言葉にコンセンサスがなければならない。尻をぶたれずにどうやって他人の尻をぶたないよう指導できるか,あるいは成人になって尻をぶたれたとき,どう対応するのか。残念ながら社会は学校のようにぬくぬくと優しいところではない。
 また,選挙権に年齢制限があるように,少年であるということは,人権とは別の次元で抑制され,学ぶべき時期であるということは自明である。成人と同じ,無制限の権利を与えることは,人権とは関係ない。

 そういう意味で,少々面白い(不愉快な?)報道を昨日見た。
 労組・日本プロ野球選手会(ヤクルト古田敦也会長)が,西武球団に対し,書面で「松坂選手野球活動再開へ向けてのお願い」届けたらしい。それによると,「プロ野球選手にとって野球活動は人格の中心部分であり,償いはグラウンドでファンを魅了するように練習を重ねるしかない」ので,松坂の早期野球活動の許可,処分の解除を嘆願したというのである。

 古田の表現に,間違いは何ひとつない。しかし,グラウンドでファンを魅了することは,罪の償いとはなんら関係ない。というか,ここには「処罰」という発想が欠落している。
 自分のしてしまった行為の責任を問われ,したいことを抑制されるのが社会的処罰というものではないのか。逆にいえば,プロ野球人格に対してゴルフやテレビ出演を謹慎させることはなんら処罰にはあたらない,ということである。

 極端な例として,そごう水島元会長が「会長職は自分の人格の中心部分。償いはリストラ,再建を自ら担当することで」と言ったら,さてどうか。笑い話ではない。少なくとも,小中高校の教育の現場では,これと遜色ないやり取りが今日もまかり通っているのである。

先頭 表紙

akemiさま,そうですね。「ほめるのも大切」なのと,「ほめるばかり」とはぜんぜん違うと思います。烏丸,カラスではありますが子育てはそのへんのバランスが難しいと思うばかりで,「なんとか論」的に一方向邁進はまゆにツバぬりまくりです。 / 烏丸 ( 2000-11-04 01:08 )
「ほめて育てる」と声高に語ってる母親を中学の地区懇で見かけました。根っこの部分の「躾」ができていなければ、単なる甘やかしじゃねえか!と思いましたが、まだ中学の保護者としては1年目なので、取りあえず黙って聞いていました。 / akemi ( 2000-11-03 16:01 )
松坂のニュースは私も「ばかいってんじゃないよ」と思いつつ読みました。 / こすもぽたりん ( 2000-11-03 15:08 )

2000-11-02 本の中の強い女,弱い女 その九 『虐げられた人びと』 フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー,小笠原豊樹 訳 / 新潮文庫


【気違いだっていいわ】

 物語の語り手は若い小説家ワーニャ(イワン・ペトローヴィチ)。彼の幼なじみナターシャは,軽薄で世間知らずの美青年アリョーシャと恋に落ちる。頑固だが善良なナターシャの父ニコライ・イフメーネフはアリョーシャの父ヴァルコフスキー公爵に泥棒呼ばわりされ,蔑まれ,領地を奪われるが,ナターシャはアリョーシャとの恋のために家を出る。一方,ワーニャは街でたまたま貧しい老人の死に立ち会うが,彼が老人の部屋に引き移るとそこに痩せた少女が現れた……。

 『貧しき人びと』で新進作家として成功したものの,その後批評家にそっぽを向かれたドストエフスキーは,1849年,空想的社会主義者ペトラシェフスキー主催の会合に参加,当局に捕えられ,処刑寸前に許されてシベリアに流刑の身となった(流刑地での体験は『死の家の記録』に詳しい)。
 『虐げられた人びと』は,首都ペテルブルグに帰還を許された彼が作家として復活を遂げた長編で,自ら認めるように通俗的で甘い面もあるものの,メロドラマと切り捨てることのできない奥行きの深い人物造型で読み応えがある。
 ことにほとんど表だって出てこないが悪意の権化のようなヴァルコフスキー伯爵は『罪と罰』のスヴィドリガイロフ,『悪霊』のスタヴローギンを,言動が善意に過ぎてその善意が人々を不幸に陥れるアリョーシャは『白痴』のムイシュキンを思わせる。

 そして,主人公や彼ら以上に心に焼きつくのは,ヴァルコフスキー伯爵の実の娘でありながら,ただ貶められ,病に死んでいく少女ネリー(エレーナ)の存在である。彼女は「十二か十三の発育の悪い小娘で,おまけに大わずらいのあとのように貧弱で顔色もよくはない。そのせいか,大きな黒い眸はかえってきらきらと光っている」。
 彼女は顔をまっさおにして倒れ,熱を出し,うわごとをもらし,何を尋ねても黙り込むかと思えば,洋服が汚れると言われて「こんなのびりびりに破っちゃうわ」と引きちぎり,「ここにはいたくない,あたし意地悪よ」と茶碗を床にたたきつけて「ほら,こんなにこわれちゃったわ」と叫び,泣きすぎてヒステリーを起こしたあげくワーニャにしがみついて「あんたならネリーと呼んでもらいたい」と訴え,最後まで自分と母を捨てた父親を許さずに死んでいく。

 烏丸はかつて『罪と罰』の巧みさ,重さに驚き,続いてこの作品に触れてネリーに文字通り夢中になった。書物における烏丸の女性の趣味がいまだ病的,エキセントリック,ヒステリックにやや偏っているのは,その当時,寝ても覚めてもネリーの面影を追い,その死を悔いたためである。その後,彼女に代わるものを求めてドストエフスキーの作品を読み漁ったが,病的な女性は再三現れるものの,ネリーの暗い眸,崩れた黒い髪には二度と出会えなかった。ずっとのちに,ネリーと見まがう危うさを撒き散らす現実の女性と知り合ったが,数年がかりで自分がワーニャでないことを思い知らされただけだった。

 ちなみに,ネリーに思い入れるのは,烏丸一人の話ではない。新婚の妻を残して車ごと水に沈んだ烏丸の高校の数学教師も本作を熱く語っていたし,太宰の習作『葉』には貧しいロシア人の娘を見て「ドストエフスキイを覗きはじめた学生ならば,おや,ネルリ!と声を出して叫んで,あわてて外套の襟を掻きたてるかも知れない」という一節がある。また,黒澤の『赤ひげ』に出てくる薄幸の少女・おとよもこのネリーがモデルとされている。
 だが,本作のネリーを上回るほどにエキセントリックな魅力に満ちた少女をいまだ烏丸は知らない。また,今はもう,知りたいとも思わない。

先頭 表紙

MS-IME2000の辞書では,「はくち」も「きちがい」も変換してくれないんですね。ふうん。言葉だけ狩ってもしょうがないだろうに。 / 烏丸 ( 2000-11-02 20:14 )
いしいひさいちドーナツコミックスの7巻は『椎茸たべた人々』というサブタイトルで,もちろんこの『虐げられた人々』のパクリなんですが,『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』あたりならともかくこれをパクるというのはけっこういいシュミだと思います。編集者が露文出身か,というのはたとえばそんなところから。 / 烏丸 ( 2000-11-02 20:11 )
烏丸的萌えの朱雀とでも申しましょうか。添付画像は,まだカラーのカバーがなかったころの角川文庫(昭和43年発行。絶版)。現在は新潮文庫で小笠原豊樹による訳が入手できますが,ドストエフスキーはやはり米川正夫で読みたいものです。 / 烏丸 ( 2000-11-02 20:08 )

2000-11-02 本の中の強い女,弱い女 その八 『大人になったのび太少年』より「キャンディ(はあと)キャンディ」 木全公彦,林公一 / 宝島社文庫


【笑ってられない キャンディ〜】

 本書は昭和30〜40年代に描かれたマンガの主人公8人を取り上げ,精神分析を援用してその後の彼・彼女らがどんな職業に就き,どんな人生を歩いていくかを想像したものである。
 各主人公について,精神分析的解説は林公一,「大人になったら…」の部分は木全公彦が担当したとのことだが,この2人,妙によく似た名前である。関係ないけど。

 取り上げられた主人公には『ドラえもん』野比のび太,『巨人の星』星飛雄馬,『鉄人28号』金田正太郎らがいるが,今回は「本の中の女」シリーズということで『キャンディ(はあと)キャンディ』のキャンディのその後について紹介しよう。

 念のためおことわりしておくが,のび太がベンチャー企業の開発部長としてしずかちゃんのマネージメントのもと第二のビル・ゲイツのようになるかも,という例を除くと,ほぼ全員,相当に陰惨な人生を送りそうな気配である。なにしろ道徳的マゾヒズムから共依存,自己敗北型人格にいたる早乙女愛の行く末たるや,(1)飲んだくれ亭主のアル中を促進してしまう妻,(2)赤羽の安キャバレーから大蔵官僚・岩清水の手をふりきってピンサロ,ソープに落ちていくホステス,(3)集団自殺を図る信仰宗教信者,というくらいなのだ。わからんでもないけど。
 したがって,キャンディのファンで夢は破られたくないという方は,この後を読まないことをお奨めしたい。

 さて,孤児院“ポニーの家”に育ったキャンディの人生は,次々にふりかかってくる困難の連続だが,それを突破するためにキャンディが選択するのは,「躁的防衛」という防衛機制である。つまり,自分が困ったり苦しんだりしていることを否認し,強く明るい自分を無理やり作り出すことによって苦難を克服する心の働きだ。もちろんこの防衛機制には限界があるが,それが破綻する寸前で,毎回,彼女は自分の笑顔が“可愛い”という条件によって誰か(アンソニー,ステア,アーニー,アルバートなど)に助けられるという経験を重ねる。そのためキャンディはやがて常に依存対象を求める「依存型性格」に陥っていく。そして,生きていくためには自分にとってよい人か悪い人かだけで相手を判断する「二分法的思考」も強まることだろう。
 以上のような経緯から,30代のキャンディは,たとえば,(1)いつも明るく朗らかな看護婦さん,しかし,その笑顔は常に「自分は見捨てられるのではないか」という不安に裏打ちされたもので,ある意味笑顔の押し付けにすぎない。そんなキャンディが患者に取り返しのつかない失敗をしたとしても,きっと彼女は明るく笑って♪看護ミスなんて 気にしないわ〜……。(2)経済的に不自由なく,子供も手のかからなくなったお気楽専業主婦キャンディ。彼女は依存する相手を求めてテレクラに走り,最後にはセックス依存症にいたる。(3)明るい笑顔でみんなに好かれることから人気タレントとなったキャンディ。彼女は惚れっぽいが相手に不信感を抱いた時点ですぐ嫌いになる性格から,大物タレントやプロデューサー相手に不倫騒ぎを繰り返す。……

 これはもちろん極端な想像ではある。しかし,幼年期にまことちゃんのように厳しい処罰を与え続けられたらどうなるのか。ひみつのアッコちゃんのように「人のためによかれ」ばかり考えているとどうなってしまうのか。正太郎少年のように世界が思うままだとどう育つのか。
 本書は誰にでもお奨めといえる本ではないが,親が子供を抑制しすぎてもいけない,放任すぎてもいけないという,子育てのバランスの難しさを示す1つの例として一読の価値はあるだろう。

先頭 表紙

いわゆる「別冊宝島」のラインナップで,最近文庫化されましたです。はい。 / 烏丸 ( 2000-11-05 00:58 )
なんと、文庫でしたか。あさっての方向を探していたようでやんす。 / こすもぽたりん ( 2000-11-04 14:08 )
神保町でないとは思えないざんすが……。宝島社文庫の中では,今,いちばん目にするのがこの1冊であります。刷り部数が多かったに違いない。 / 烏丸 ( 2000-11-04 01:12 )
売ってなかったざんす〜。 / 神保町放浪のぽた ( 2000-11-03 18:48 )
あややさま,この本は最近文庫になったばかりで,今もあちこちの書店で平積み状態です。扱われている主人公は本分中に少しずつ触れましたが……このほか,『リボンの騎士』のサファイアがいます。 / 烏丸 ( 2000-11-02 01:59 )
エルさま,見つかっても「てへっ」と明るく,ですね。 / 烏丸 ( 2000-11-02 01:57 )
いけない、いけないと思いながらも、自分がされた事と同じ事を子供にもしてしまう、という人が多いらしいですし。。 / エル ( 2000-11-02 01:05 )
うわーーーー!!!この本読みたい!(横で見ているダンナもそう言っております!)しかし、キャンディーファンの私としても、この解釈は不愉快にはなりませんでしたよ!笑える。スルドイ。あはははは。この本、さっそくゲットしようと思いますが、最近の本なのでしょうか? / あやや ( 2000-11-02 00:50 )
(4)養父であるアルバートと禁断の関係の末に出来た子供を明るく笑って♪ポニーの家の前にそっと置いていく、というのはいかがでしょうか。。 / エル ( 2000-11-02 00:47 )

2000-11-01 本の中の強い女,弱い女 その七 『めぞん一刻』 高橋留美子 / 小学館


【私のことだけ考えて…】

 次に述べるのは,ある若者のエピソードである。名前をK青年とでもしておこう。
 ここでことわっておかねばならないのは,このK青年というのは,断じて僕,烏丸のことではないということだ。K青年はごく普通の会社員だった。独身で,しかもカノジョってのはどんな食べ物のことかいなという枯れた状態がもう何年も続いていた。しかし僕には,じゃなくてK青年には,心に決めた恋人がいた。その女性は一刻館という古アパートの管理人で,やきもち焼きで,早とちりで,泣いたり怒ったりだけど,その若き未亡人が微笑うとK青年は最高にしあわせなのだった。
 当時,K青年は一刻館に負けないくらい古い木造アパートの2階に暮らしていたが,あまりに本が多いため,真下の部屋に住んでいた管理人家族は危険を感じてそこを物置にし,大家は会うたび出ていってほしいと強く目で訴えるのだった。しかし,本があまりに多くて引っ越し作業そのものが想像できなかった僕は,じゃなくてK青年は,しかたなく今日も天井まで積み重なった本からその女性が登場する作品を探し出し,読み返すのだった。
 K青年がそのアパートを引き払い,通販で手に入れていたPIYO PIYOエプロン(添付画像参照)を何も知らない新妻に着せ,心の中で響子さんにさよならを言うのはそれからまだ何年も後のことであった。

 ……ま,これはかなり作っているが(本気にしないように),響子さんにこんな思いを抱いていた若者は当時日本中に少なくなかったのではないだろうか。

 以前ここで紹介した『漫画原論』は『めぞん一刻』連載中に書かれたものらしく,本作の五代君と響子さんについて非常に面白い解析をしている。少し引用してみよう。

「奇妙なことに,永遠に擽ったげな擦れ違いを演ずるこのカップルは瓜二つの顔をしている。いや,そればかりではない。彼らの恋愛の成就にとって障害物である二人の好敵手(三鷹,こずえ)もまた酷似した顔の所有者なのだ」
「根本的なところで時間は少しも進展していない。誰もが大いなる停滞感覚のなかで,いつまでも同じ遊戯の反復に終始している」
「『めぞん一刻』が本質的に完結するとすれば,それは忌避されてきた惣一郎(響子さんの死んだ夫)の顔が公開される瞬間である」

 しかし,『めぞん一刻』は全15巻中,13巻の後半あたりから突然サザエさん的永劫停滞から抜け出し,終結へ向けて怒涛の寄り身を見せる。『漫画原論』は外したわけだが,予想としては外れでも,分析としては正解だったと思う。
 五代君と響子さんが結ばれると同時に,輪郭や髪型を同じくするあらゆる登場人物がトランプの一人遊びでいう「あがり」目指して綺麗に並んでいく。文字通り誰もが「かたづいて」いったわけで,それはそれまでの数年間,本作をちょっと大人向けのギャグと油断して漫然と感情移入してきた若者たちを一気に「自分は五代であり響子であり自分は自分を愛しており自分が自分を愛することが許される」状態にしてしまったということである。これではうろたえないほうがおかしい。
 それが,当時のマンガファンを毎週熱狂させ,胸をしめつけた『めぞん一刻』の結末であった。
 作者は,連載開始時,はたしてこれほどの幕閉じを考えていたのかどうか。語られることはないだろうが,気になるところだ。

 それにしても響子さんというのは,顔はともかく性格は決してよくないのである。金こそかからないが扱いづらいタイプだし,嫉妬深いし,怒りっぽいし……もう一回,最初から読も。

先頭 表紙

では、埃を払っておくので、K青年に渡して欲しいでやんす。 / こすもぽたりん ( 2000-11-04 14:08 )
をを,それはうれし,いや,K青年が喜ぶかもしれないのであります。 / 烏丸 ( 2000-11-04 01:11 )
管理人さんの巨大なポスター集を持っているざんすが、邪魔でしょうがないざんす。カラスの旦那に差し上げるざんす。 / こすもぽたりん ( 2000-11-03 18:49 )
あややさま,PIYO PIYOエプロンのほか,響子さんの顔のデザインされたマグカップなど,小学館プロダクションが販売しておりました。 / 烏丸 ( 2000-11-02 00:40 )
エルさま,烏丸が引っ越しで荷物を運び出した後,壁と畳のゆがみに管理人と大家の顔が青ざめ……あっ,K青年の話ですが。 / 烏丸 ( 2000-11-02 00:39 )
着てましたね!「PIYOPIYOエプロン」!通販で手に入るとは知らなかった!!! / あやや ( 2000-11-02 00:32 )
K丸様もぽたりん様も本で家屋を崩壊寸前にまで追いこんだ事があるのですね。。 / エル ( 2000-11-01 23:01 )
こすもぽたりんは自宅通学でありました。部屋は2階でしたが、真下に当たる1階から天井を見ると、明らかに本棚部分が歪んでおりました。泣く泣く本を捨てました。その後は寮暮らしが長かったので、あまり本を買えませんでした。寮から開放されてマンション暮らしを始めたとき、歯止めが利かなくなったのでした。 / こすもぽたりん ( 2000-11-01 20:39 )
あっ,そういうことはありませんです。人のことなら平気で実名で書きます。はい。 / 烏丸 ( 2000-11-01 18:10 )
K様はもしかして、こすもぽたりん様!?なんて。。 / エル ( 2000-11-01 17:43 )
ちなみに,K青年はどうやって大家さんの厳しい目を逃れたか。答えは,隣の部屋も借りて荷重を分散した,でした。もちろんK青年とは僕のことではありませんが。 / 烏丸 ( 2000-11-01 14:18 )
にゃんと『あの頃ぼくらはアホでした』調ですにゃ。そういえば下校途中に友人が突然、「あのさぁ、『春のワサビ』のことなんだけどさぁ」と言い出したりするほど、響子さんは我々の心に深く染み込んだのでありました。私は未だに四谷さんの「のぞきを少々…」という台詞で思い出し笑いをしてしまうでやんす。 / こすもぽたりん ( 2000-11-01 13:56 )

2000-10-31 本の中の強い女,弱い女 その六 『ルネサンスの女たち』 塩野七生 / 中公文庫


【困難,困難,悲劇,困難】

 たとえば,「曲がった線は面白く,真っ直ぐな線は美しい」という視線なしにカンディンスキーの絵を見ても,何かを得るのは難しい。順位だけにこだわって路上のアスリートを見ても,その躍動を感じとることはできない。
 同様に,塩野七生のイタリア本が面白いのは,そこに塩野ならではの歴史上の人物たちへの視線が生きているからだ。では,その視線をプリズムで分解したら,何が見えてくるだろう。

 たとえば,ルネサンス期に,古代ローマの真・善・美の復興を求める人々の心。それは,若い枝が水と光の力で伸びるように,強く高みを目指す。
 あるいは,権力。それを得るためにあらゆる権謀術数が張り巡らされ,武力,経済力が培われ,いっそすがすがしいばかりに闘いが展開される。
 領土を守ることと至高の芸術家を招くことが不可分な,夢のような,栄光の時代。

 そして,分解された塩野の視線が再び像を形造るとき,我々はそこに法王アレッサンドロ六世の息子にしてマキャベリが絶賛したチェーザレ・ボルジアという,突き抜けて生臭く,生臭さが英雄の領域にいたる稀有な人物を見る。
 塩野のチェーザレへの賛辞は,たとえばこんな一節に垣間見ることができる。
「人々は,彼らの中に,永遠の青春を見出すのだから。青春は美しい。とくにそれが,むやみと感傷的に浪費されるのとは違い,現実に足をふまえ,冷静な精神とともに大胆に発揮されたときにはなおのこと。」
 彼女の初期の作品は,常にこのチェーザレからスタートし,チェーザレに戻る。

 『ルネサンスの女たち』はそんな塩野七生の最初の著作で,チェーザレとほぼ同時代に生き,マントヴァ,フェラーラという小国を再三脅かす危機と闘う「ライオンと狐の結合」イザベッラ・デステ,チェーザレの妹で,兄の政略の道具とされながらそれなりに悠々と生きたルクレツィア・ボルジア,チェーザレと闘って敗れたもののラ・ヴイラーゴ・デイターリア(イタリアの女傑)と称えられた美しくも残忍なカテリーナ・スフォルツァ,キプロス王妃となり,ヴェネチアの崇高ともいえる偽善の中に超然と生きたカテリーナ・コルネール,この4人の女を描き上げる。

 塩野の筆はそこいらの男性よりよほど合理主義的,現実的で,ルネサンス期の書物のみならず,手紙,外交文書などの原史料の詳細な調査の積み重ねの上に築き上げられていく。その作品の手応えは,温もりある肌や血よりは大理石の彫刻のようにソリッドで,「物語」「小説」という言葉ではくくりがたい人間の確かな姿が浮かび上がる。下世話だが崇高,残虐だが美麗,明晰にして誇り高い人生の数々。

 ちなみに,著者が「ビスケットだって箱の上に明記してあるではないか」とあとがきに用意してくれた『ルネサンスの女たち』の成分表は次のとおり。
  政略結婚 八
  戦争   二
  略奪   二
  暗殺   六
  恋    四
  牢獄   二
  強姦   一
  処刑   四
  そして,権謀術数にいたっては数知れず。

先頭 表紙

『イキに……』は最近文庫化されてるざます。まだ途中かも。 / 烏丸 ( 2000-11-04 01:10 )
『イキにやろうぜイキによ』も売ってなかったざんす〜 / こすもぽたりん ( 2000-11-03 18:50 )
あちきは、あれざんす、脳の記憶容量が少ないので、キーになる逸話しか覚えてないんざんす。お恥ずかしいざんす。 / マスカメ書店店主軽薄(ママ) ( 2000-11-03 18:47 )
塩野作品では助走といったところでしょうかね。これで慣れたらフィレンツェの勃興を描いた『わが友マキアヴェッリ』,ヴェネツィアを描いた『海の都の物語』がお奨め。 / イル・モーロ烏丸 ( 2000-11-01 11:34 )
珍しい本が取り上げられてるんで、ちょっとビックリ。これ僕も好きな本です。面白いですよね、これって。 / mishika ( 2000-11-01 05:19 )
エルさま,おほめいただいて,ありがとうございます。実は,本を読む,書評書く……だけのときは,「お,けっこういいセン?」なんて自分でも天狗になるざんす。でも,今回のみたいに,読む,書く,確認に読む,書く……と繰り帰しちゃうと,元の本に圧倒されて,「だめじゃーん!」な気分になってしまうざんすー。 / 烏丸 ( 2000-11-01 02:04 )
そんな、ヘタだなんて・・!それじゃあ烏丸様の分かりやすい書評を呼んで本を理解した気になって酔いしれちゃってる私はお間抜けになっちゃいますわ!(すでに間抜けなんですが。。) / エル ( 2000-11-01 01:03 )
しかし,こういう本を紹介するのは,われながらヘタです。キーとなる逸話を本文中からささっと抜いてくる,というのができない。「神田マスカメ書店」は,そのへんほんとに巧いっす。 / 烏丸 ( 2000-10-31 23:27 )
この中に出てくるルクレツィア・ボルジアというのは,こすもぽたりんさま紹介の『世界悪女物語』でも取り上げられた女性。しかし,澁澤龍彦と塩野七生では,同じ女性?と思うくらい扱いが違います。澁澤は,そりゃもうオカルティックで怖くて絢爛。もっとも,雰囲気が違うだけでどっちも「やらせ」ばかしだったりして。 / 烏丸 ( 2000-10-31 23:27 )

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