himajin top
烏丸の「くるくる回転図書館 駅前店」

 
今後、新しい私評は、
  烏丸の「くるくる回転図書館 公園通り分館」
にてアップすることにしました。

ひまじんネットには大変お世話になりましたし、
楽しませていただきました。
その機能も昨今のブログに劣るとは思わないのですが、
残念なことに新しい書き込みがなされると、
古い書き込みのURLが少しずつずれていってしまいます。
最近も、せっかく見知らぬ方がコミック評にリンクを張っていただいたのに、
しばらくしてそれがずれてしまうということが起こってしまいました。

こちらはこのまま置いておきます。
よろしかったら新しいブログでまたお会いしましょう。
 

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2000-09-06 『不思議の国の悪意』 ルーファス・キング 押田由起 訳 / 東京創元社(創元推理文庫)
2000-09-06 『レディ・プラスティック』 深谷陽/講談社(ミスターマガジンKC)
2000-09-05 『運び屋ケン』(全4巻) 深谷陽 / 集英社(SCオールマン)
2000-09-04 『アキオ無宿 ベトナム』 深谷陽 / 講談社(モーニングKC)
2000-09-04 『アキオ紀行 バリ』 深谷陽 / 講談社(モーニングKC)
2000-09-04 『KYO』 たかしげ宙 原作,皆川亮二 作画/小学館(少年サンデーコミックススペシャル)
2000-09-03 『ナース』 山田正紀 / 角川春樹事務所(ハルキ・ホラー文庫)
2000-09-03 『これが投手だ!』 別冊宝島編集部/宝島社(宝島社文庫)
2000-09-01 『Heaven?』 佐々木倫子 / 小学館(ビッグコミックス) 現在1巻
2000-09-01 『縄文人は飲んべえだった』 岩田一平 / 朝日新聞社(朝日文庫)


2000-09-06 『不思議の国の悪意』 ルーファス・キング 押田由起 訳 / 東京創元社(創元推理文庫)


【117番目の悪意】

 少し気分を変えよう。
 不勉強にして詳しくは知らないが,エラリー・クイーンの仕事に「クイーンの定員」というものがあるらしい。クイーンお得意のアンソロジーとも,ちょっと違う。
 要するに,推理小説の元祖と言われるエドガー・アラン・ポオの『Tales』(1845年)からハリー・ケメルマンの『九マイルは遠すぎる』まで,このジャンルにおいて重要とみなされる125の短編集を年代順に選び,推理小説史を語った,というものだそうな。

 ここでご紹介する『不思議の国の悪意』(1958年)は,その「クイーンの定員」の117番目に選ばれた短編集。原題の"Malice in Wonderland"はもちろん,クイーンがキングを選んだという点でもなかなかシャレが効いている。
 収録作品の多くは,フロリダの保養・観光地を舞台に,ある程度の財産を持った人々が悪意や欲望にかられたとき……というもの。ハウダニット,フーダニットが主眼の本格推理,ではなく,なぜ事件が起きたか,いかにそれが発覚したか,という人間ドラマのほうが主体。早い話が,地名を日本の観光地に変えれば,それだけで9時からの2時間サスペンスドラマはお任せ,そんな感じ。なかなか小気味よく仕上がった個々の作品にはほどほどの謎,意外でシニカルなエンディングが用意され,いずれも楽しく読むことができる。
 ただ……さすがにポオと並び称され,と言われたら小首を傾げざるを得ない。そもそも,元祖にして様式を固めてしまったポオと誰かを比較するというのが無理な話なんだが。

 もう一点。これは全く慣れの問題とは思うが,翻訳物を普段あまり読んでないと,たまに手にしたとき,そのオイルとケチャップに胃袋が驚くということはある。たとえば次のような表現だ。
 「ヘイヴァーメイは初期ニューイングランド人の良心の乏しい残骸と格闘した。かつては基本たる美徳といやしからぬ人品という産物を生む,みごとなばかりの畑だった良心と。」
 などなど。

先頭 表紙

2000-09-06 『レディ・プラスティック』 深谷陽/講談社(ミスターマガジンKC)


【……美映が 戻って来る】

「匣の中にぴったり入っている綺麗な娘とはまた」
「酷くうらやましいよねえ」
 失礼,これはこすもぽたりん氏の『魍魎の匣』評の一節であった。こちらは,匣の中でなく,プラスティックで出来ていて,自在に目の色や表情を変えることが出来る綺麗な娘の話である。
「それはまた」
「やっぱりちょっとうらやましいよねえ」

 しつこく引っ張ってきた深谷陽だが,古巣講談社に戻り,今年3月に単行本が発売された『レディ・プラスティック』では,ようやく彼のマンガ家になる以前の職業が明らかになる。なんとそれは,ゴムやプラスティックを駆使して贋の人体を作る,映画の「特殊メイク」だった。
 『レディ・プラスティック』の単行本の表紙カバーでも,彼の作った顔型の写真が使われている。女優の顔に型取り剤を塗り,その上から石膏包帯(ギプスと同じ素材)を貼る。固まったところで顔から型をはずし,それに石膏を流し込んで「オリジナル」を作る。その細部を修正してシリコン型を起こし……等々の手順を踏んでできたFRPやウレタンの顔型に,化粧,ヘアウィッグ,目玉,表情を出す装置などを加え……。
 アマリア,ミス・アン,ユリアティ,ユキコをはじめとする彼の「美人」たちが,なぜああも,鼻スジや口もとのシワのデフォルメされない,上下の睫毛までくどい顔つきをしていたのか,少しわかったような気がする。深谷陽にとって,女の笑顔は,睫毛や頬の筋肉の動きとセットでなければならなかった,多分そういうことだ。

 『レディ・プラスティック』の舞台は珍しく日本,東京。主人公は「特殊メイク」担当のアツシ,28歳。撮影で知り合った女優のリナの顔型(オリジナル)からウレタンでライフマスクを抜こうとしたとき,そこから出来上がったのは型の本人とは全く別の顔だった。そして,その顔をめぐって,世界の赤木監督のいわくつきの映画「森の瞳」が動き始める……。
 ストーリーは重厚で,スケッチ風の短く細い線を織り重ねて描くタッチは安定感がある。しかし,主演女優の死によって製作中止になった映画,その女優そっくりの人形,ホルマリン漬けの眼球と,道具はそろっているのに震えるほど怖い印象はない。読む方がこの手の設定,映像にスレてしまったせいか。いや,問題は,これでもかこれでもかと起こる事件が「誰にとって怖いのか」,それが散漫なせいではないか。そもそも,全編を通して最も言動がリアルに見えるのが,脇役に過ぎない杉田(リナのマネージャー)というのでは弱い。モダンホラーとしても,恋愛ドラマとしても,残念ながらこうしてみると不完全燃焼としか言いようがない。

 しかし,それでも,深谷陽の引き出しは面白い。
 今のところ,バリ島での生活,「特殊メイク」としての経験という作者のリアルにおぶさったかっこうだが,それを越えられる構成力があることも『運び屋ケン』では立証済みだ。出版社を変えたり雑誌が変わったり,不安定,マイナーな印象が強いが,もう一化けして,新たな系統樹の幹となってほしいとこの烏丸,勝手に期待しているのだが……。

先頭 表紙

しかし、ここまで「ですわ」を流行らせるとは、二階堂黎人恐るべしなの「ですわ」。 / ぽた公 ( 2000-09-06 17:10 )
いえいえ,毎度こちらこそご愛顧ありがとうございますなのですわ。 / 烏丸 ( 2000-09-06 16:37 )
あら、拙文をご紹介いただき、恐縮でございます。 / ぽたりん ( 2000-09-06 11:54 )

2000-09-05 『運び屋ケン』(全4巻) 深谷陽 / 集英社(SCオールマン)


【うめーな おいっ】

 講談社モーニングから,集英社のマンガオールマンに移って単行本4冊分の連載。オールマンは北条司『ファミリー・コンポ』,御厨さと美『ルサルカは還らない』など,いいスライダーは持っているんだが内角ストレートと落ちる球がなくて勝てないサイドスローのピッチャーみたいな雑誌。学生時代の同級生が編集にかんでるはずだが,そのへんどうよ,しーえーしゃのカシムラ。

 主人公ケンは貿易商,というよりは「武器と麻薬以外ならなんでも運ぶ」運び屋,29歳。舞台は台湾を皮切りにバリ,アフガニスタン,北京,カトマンドゥ,サイゴン,プノンペン,それからえーとどこだっけ,メキシコとかインドのバナラシとか。要するにアジアを中心にあちこち,行ったり来たり。
 『アキオ紀行』『アキオ無宿』と違う点は,もう殴る蹴る盗むハメる騙されるケツの穴にルビーを隠す,なんでもありのダーティーミッションインポッシブルであること。ケンは東京にオフィスを構える先輩のタカシからの連絡を受け,人や絨毯や仏像,宝石,グリーンアロワナなどを入手し,国境を越えて依頼主のところまで運ぶ。その途上,同業者や女ゲリラ,スラムの顔役などと,あるときは競い合い,あるときは共闘するのだが,往々にしてその仕事は苦い結果を招く。ことに,第4巻トルコの「ゲレネブ」をめぐる話は重すぎて「痛快アクションコミック」という範疇からはみ出し,それからしばらくして連載は終わってしまう。このへんどうなのよ,カシムラ。

 1つ1つの話は非常によく出来ていて重厚なのだが,いかんせん,モノクロの線画ではアジアのさまざまな地域を描き分けるのは難しかったのだろう。暑い国,寒い国,湿った土地,乾いた土地の違いが,少なくとも絵柄からはわかりにくい。「この作者にここまでアクションストーリーを描けるとは思えなかった」という驚きと,「この作者なら,こうしたアクション性は控えめにして,個々の話を引っ張り,その地域の食事や風習をじっくり描いてほしかった」という欲求とが入り乱れる。何人か登場するヒロインも,それぞれ役割が少しずつダブっており……。うん? これだけのシロモノに,何を贅沢言ってるんだ俺は。
 それにしても,いくら講談社からきた外様作家とはいえ,去年発売のコミックでもう品切れはないんじゃないか,どうなのよ,マンガオールマン。

先頭 表紙

2000-09-04 『アキオ無宿 ベトナム』 深谷陽 / 講談社(モーニングKC)


【君よ知るやアオザイの国】

 『アキオ紀行 バリ』から1年ほど経って掲載された続編。
 本職のよくわからない日本人青年アキオがバリ島に長期滞在していて,たまたま立ち寄ったサテワルン(串焼き食堂)の女性に恋をし──でも会話は通じない──プロポーズして,ところがそのアマリアには子供がいることがわかった──さりとて未亡人なのか未婚の母なのかもよくわからない──しかし自分としては! というあたりまでが前作。
 今度はそのアキオがベトナムを訪れて,食べて,バイクで走って,現地の女性と知り合い,やがてバリ島のアマリアのもとに戻り,ところが思いがけない怪我をしてバリ島から離れる,というところまでが本作。

 フォーボー,バインミー,ゴイクォン,チャーゾー,バインセオ,カフェスーダー,ケム,ホッビッロンなどの食べ物,飲み物の紹介をはじめ,シクロー(輪タク)ドライバーのオッくんをうまく配することで風光明媚アオザイ美少女添乗バイク的観光案内は前作以上に巧み。
 一方でメコンデルタやカンボジア国境など,重い風景や歴史も交え,さらには外国人による買春の実態やバッドでだらしない日本人青年像をそこそこ正直に描いて,その国の女性とレンアイカンケイに陥ることの意味と壁を切実に問う。まあ相手が年上の離婚子連れ女性なら,国内外を問わず内省的にならざるを得ないだろうが頑張れ青年。

 『アキオ紀行 バリ』にもちらっと登場した「若き貿易商」タカハシくんってのが,ベトナムでのアキオの旅の伴侶となり,生真面目さの抜けきらないアキオと対照的なノンシャランな言動でなかなか痛快。とか思っていたら,なんとこのタカハシくん,次作の『運び屋ケン』では堂々の主人公だ。

先頭 表紙

まだまだ続きます,深谷陽アジアコミックレポート。も少しお付き合いください。 > りんさま / 烏丸 ( 2000-09-05 11:12 )
アキオ紀行・・・このマンガの存在をしりませんでした。アジア好きとしてはぜひこのバリ編及びベトナム編読んでみたいです。 / りん ( 2000-09-05 02:26 )

2000-09-04 『アキオ紀行 バリ』 深谷陽 / 講談社(モーニングKC)


【ナシチャンプル,サテカンビン,ラワール】

 1995年のまだ寒い時期,というと,まだWindows95が発売されておらず,インターネットも今に比べればぜんぜんメジャーじゃなかったころ。そんなある日,モーニング誌上でこのマンガの連載が始まったときは,正直言ってなんだかよくわからなかった。

 マンガには,暗黙の了解というか,一種の約束ごとがある。視点を四角く線で囲まれたコマ割りで変えていくことや,普通のフキダシが実際に発音された言葉,ギザギザフキダシは叫び声,oO〇で語り手と結ばれたフキダシは心の中で考えたこと,といった具合。
 バリ島に長期滞在する日本人青年アキオの生活と恋を描くこの『アキオ紀行』は,その意味では立派に現代マンガの外見を整えてはいる。よくある海外旅行,滞在をテーマとしたコミックエッセイの類に比べれば,コマ割りは丁寧だし,バリ島の風習や食事をエッセイ風に描くのが主眼かと思いきや,ストーリーもニンゲンカンケイを綾なししっかり動いていく。……しかし,人物,とくに顔の描写がどうも違う。少なくとも,主人公が一目ボレするバリ島の美少女(?)アマリアは,従来のマンガの系統樹のどこにも類似品がない。というか,はっきり言ってゴムでできたオバサン仮面にしか見えない。アジア人の鼻をリアルに描こうとする傾向のためだとは思うのだが。

 これは,ありそうで,案外ないことなのだ。現在のマンガ家というのは,大半,誰か私淑するマンガ家のコピーからスタートし,その先の壁に当たったり破ったりする。だから,誰もが個性的でありながら,誰もが誰かとどこかで手法的に結びついている。アシスタントとして,より直接的な影響を受けることも少なくない。
 それなのに,この深谷陽は,そういった系譜のどこかに結びついているようには見えない。かといって,画学生の類が見様見真似で描いてみた,と想像するには,スクリーントーンをはじめ,マンガの表現技法に手慣れすぎている。

 とかなんとか思っているうちに,お話はどんどん進み,当初は違和感バリバリだった描線もまあこんなものかと慣れてくる。言葉の通じないアマリアとの恋は,やがて……。

 うーむ,単行本になって何度か読み返してみると,思った以上によく出来ている。トゥリマカシイ(ありがとう),スラマッ パギ(おはよー),マカン(食べる)とインドネシア語が身についたつもりになったり,主人公(アキオ)と作者(深谷陽)が全く同一人物と思い込んだりするのは読み手のカルハズミというものだが,それにしても本職不明のアキオは四捨五入すると30歳,「仮面専門の木彫り職人」イ・ワヤン・ムカが「アキオの師匠」。何者なのだ,深谷陽。

先頭 表紙

「あの〜,このコーヒーで,おつりいくら?」「80リラ」 / 烏丸 ( 2000-09-05 16:15 )
スペイン語圏で思わず「あの〜」と言ってしまうとか。 / ぽた公 ( 2000-09-05 10:39 )
タイに行って、「コーヒー」と言わないように。 / 口車大王 ( 2000-09-05 03:19 )
それなら,イタリアで買い物してて,おばちゃんに「これ,いくら?」と聞いたら,その答えが……アッ,いかんいかん。烏丸のイメージが。 / どんなイメージ? 烏丸 ( 2000-09-05 00:27 )
小学校の頃、世界地図を見て「エロマンガ島」というのを発見し、皆で大騒ぎしたことをキンタマーニ山で思い出しました。 / ぽた公 ( 2000-09-04 22:21 )
木彫り職人は、山の上の方に住んでいます。我が家に果物の木彫りがあります。 / 口車大王 ( 2000-09-04 22:14 )
キンタマーニという、お山があります。少なくとも1000メートル以上はあったような。高原は、棚田があって、なかなか美しいところです。でも、隠遁するならタイの方が楽だと思います。日本人とよう似とる。 / 口車大王 ( 2000-09-04 22:12 )
バリ島の高いところの標高ってどんなもんなんでしょうね。 / 隠遁についてちと考えている,烏丸 ( 2000-09-04 19:57 )
PASTI Guest House in Baliなんて見つけたんですけれど、なんかよさそ。 / くっちー ( 2000-09-04 19:18 )
バリには二度行きましたが、何度行ってもいいっす。バリ人は性格が非常に穏やかで、盗難があると「ジャワ人はどこだ!」となるそうです。 / 口車大王 ( 2000-09-04 19:08 )

2000-09-04 『KYO』 たかしげ宙 原作,皆川亮二 作画/小学館(少年サンデーコミックススペシャル)


【闇を 引き裂く 怪しい悲鳴】

 たかしげ宙原作,皆川亮二作画,要するに「スプリガン」のコンビニ寄る,じゃーなくてコンビによる(うう,ベタだ)推理短編集『KYO(キョウ)』ゲット。小学館,500円。

 30代半ばより上の方なら,タケダアワーで「ウルトラセブン」の次に放送された「怪奇大作戦」という番組をご記憶であろうか。「科学捜査研究所(S.R.I.)」という民間組織が警察の委託を受け,怪談めいた説明のつかない難事件に科学捜査と推理,起動力を働かせて立ち向かっていく,なかなかよくできた円谷プロの特撮ドラマだった。子供向きにしてはあまりにも暗く重いストーリー,映像。牧史郎役の岸田森の演技が異様にシブく,トータス号というS.R.I.の車がかわいいのもポイントだった。ちなみにこの烏丸,テーマソングのソノシートはもちろん,欠番扱い(LD-BOXも回収)になった第24話もビデオでおさえてある(問題は,アナログレコードプレイヤーが手元にないことと,βのプレイヤーがいつ動かなくなるかだが……)。
 さて,その往年の名作「怪奇大作戦」を狙ったとしか思えないコミック短編集が,この『KYO』である。主人公はIQ250(なぁんだ,烏丸のたった倍か)にして12歳で学位を3つ取っている天才少年・保科恭と,科学特捜課のお荷物刑事・久我山鏡。この2人が,次々と起こる怪事件,難事件に向かい,やがて久我山鏡の素性も少しずつ明らかになってくる……。
 『スプリガン』1〜3巻あたりの「おおー,そうくるか! この手があったか!」ほどではないが,個々の犯罪がなかなかよく練られており,また,1巻で完結というのがいさぎよくてよろしい(同じ皆川の『ARMS』はちょっと……)。

 ところで,この『KYO』,読み直して巻末の初出に驚いたのだが,なんと掲載誌は小学館の「小学六年生」! 今どきの御ガキ様ドモの読むモノはレベル高いのだなあ。をじさんにも見してくれい。

先頭 表紙

原節子も吉永小百合も夏目雅子も「昭和」ですなあ。 / ぽた公 ( 2000-09-05 22:19 )
ふと思う。岸田森って,「昭和」だなぁ。論拠なし。 / 烏丸 ( 2000-09-05 19:08 )
岸田森といえば『傷だらけの天使』。綾部のババア(岸田今日子)とともに、いい味わいでした。特に最終回はよかったなあ。DVDで出ないかなあ。 / ぽた公 ( 2000-09-04 12:35 )
なんだそうな。お話は,ある機械で頭がパーになったら殺人を犯しても無罪,そのあとでまたもとに戻してもらう,というもの。ウルトラセブンの12話ほどアブないようには思わないんですが(といっても,セブンのだって,言葉がマズいだけですが)。その機械を作った犯人の設定や,囮捜査にはまる岸田森の演技,哀しいBGMなど,むしろ傑作といってよい1話だと思います。 / 烏丸 ( 2000-09-04 11:51 )
へ〜、24話って欠番なんだ。ウルトラセブンの第12話「遊星より愛をこめて」みたいなもんですかね。 / ぽた公 ( 2000-09-04 11:31 )

2000-09-03 『ナース』 山田正紀 / 角川春樹事務所(ハルキ・ホラー文庫)


【おちょくってはいけないもの】

 さて,500万部のベストセラーになった『おたんこナース』である。これは,ハムテル,二階堂らが活躍する『動物のお医者さん』で北大獣医学部の受験倍率を上げに上げたと言われる佐々木倫子が,看護婦経験をもとにしたエッセイ集で知られる小林光恵の原案を得て……おっかしいなあ。烏丸が買ったこの本,文字ばっかりで,コミックじゃないみたい。

 という一人ボケはさておき,山田正紀『ナース』だ。

 まず,復活を果たした角川春樹に,おかえりなさいと言いたい。そうだよな。あのカドカワ映画のラインナップが,『REX』で幕ではサマにならない。そういえば,カドカワ映画のOPは,不死鳥,フェニックスのマークだった。さあ,またあの,「2回見る気にはならないが,1回見る分にはなかなか話題性に富む」作品と宣伝で,邦画界をにぎわしてほしい。詳しくは枕元に立つ信玄のお告げを待つべし。

 続いては,山田正紀。この人は,ヘンな作家。星,小松,筒井に続く世代の代表としてSF界に登場したときは,新人とは思えないストーリーテリングの巧みさと,小松作品を彷彿とさせるスケールの大きさで注目を集めたものだが,『神狩り』をはじめ,当時の代表作はいずれもなぜか日本SFのスタンダードとはならなかった。その後,冒険小説,コンゲーム,本格ミステリと,次々に挑戦し,その都度あっと驚くような作品をものするのだが,今ではそのいずれもが,忘れ去られている。「器用すぎるんだろうなぁ」,と烏丸はにらんでいるのだが。
 最近では幻冬舎文庫で手に入る『女囮捜査官』シリーズの全5巻(触覚・視覚・聴覚・嗅覚・味覚)が実によくできたミステリ・サスペンス作品としてお奨めだ。とくに4巻目『嗅覚』の二階堂黎人の解説が,なぜ新本格の連中が不快なのか,自分たちで証明してくれているという点でポイントが高い。必読ですよ,ぽたりんさま。

 さて,かんじんの『ナース』だが,おそらく,才能あふれる山田正紀,この220ページのホラーごとき,きっと一晩で書けたのだろうなあ。よくもあしくも,そういう出来である。
 カバーから,内容の一部を紹介しよう。「ジャンボ機が標高1000メートルを越す山中に墜落。日本赤十字の七人の看護婦たちが急遽現場へ向かうことになった。そこで見たものは……」
 もの書きには,通常,おちょくってはいけないものがある。15年前のあの事故や,赤十字,そして人間の死体というのが,多分それだ。しかし,山田正紀は平気。もうぶんぶん,「壮絶ノンストップホラーアクション」なのである。500人分が,ちぎれ,もぐれ,飛び,はね,ああもう! なのである。人間数百人分の死体をずたずたのぬちゃぬちゃにさばいたプールで泳ぐような話,とでもいえばよいか。

 SFやミステリには,こういうことはできない。どうしても,理屈に足をとられてしまう。だからホラーは面白い,という見方は可能だろうし,だからホラーはつまらないという言い方も,また,正しい。「それ」が何なのか,「それ」はどうしようとしたのか,どうやってナースたちは「それ」と対抗できたのか。答えなんかない。「いいじゃん」と笑う山田正紀の声が聞こえるような気がする。「ホラーなんだし」。

 ところで,烏丸はこの『ナース』を通勤の電車で読み終えた。電車を降り,家に向かいながら,自分がしきりに,早く帰って手を洗わねばと考えていることに気がつき,愕然とした。別に,何に触ったわけではない。
 そういう本なのだ。『ナース』。

先頭 表紙

「シンジ×カヲル」のような妙なお味のお野菜でございますが、どうぞご賞味あれ。 / ぽた公 ( 2000-09-04 22:20 )
「あらまあ,野菜とお団子の本をいただけるのでしたら,本棚をお片付けしませんと」と家人が喜んでしまうのですわ。 / 烏丸 ( 2000-09-04 21:02 )
そういうことをすると、「くるくる回転図書館 駅前店」に大量の「やおい・お耽美」が届けられることでせう。 / ぽた公 ( 2000-09-04 20:24 )
マスカメ書店に忍び込んで,こっそり本棚に隠し置いてみる。その棚の本を手にするたびに,なぜか手を洗いたくなるぽた様。…… / 烏丸 ( 2000-09-04 19:58 )
あ〜、死んでも読みたくない一品ですなあ。 / ぽた公 ( 2000-09-04 17:57 )
集英社文庫『寄生虫博士の中国トイレ旅行記』(鈴木了司),先週ゲットしたばかりですわ。 / 烏丸 ( 2000-09-04 17:27 )
ああ、オーテマチエンヌさんのチベットで思い出しちゃった。中国のトイレの話でした。 / ぽた公(身震い) ( 2000-09-04 17:11 )
椎名誠のは……なんでしょう? そんな,内容的に「無性に手を洗いたくなる本」をたまたま古本屋で,それもたまたまあまり綺麗とはいえない状態で手に入れて読んだ場合は,さすがに「しまった」と思います。プラシーボ効果? / 烏丸 ( 2000-09-04 12:44 )
話は変わりますが、無性に手を洗いたくなる本、ありますよね。それが何だったかについては、思い出したくないのですが。椎名誠でも一冊あったんだよなあ。なんだったっけかなあ。 / ぽた公 ( 2000-09-04 12:34 )
そういうことを気にしていたら,烏丸の好きな一連の中公文庫など,紹介できません。このサイトに限らず,あの路線で盛りあがるサイトなんて,そう多くはないだろうし(笑)。しかし,なんにしても不愉快ですわよお,二階堂黎人。 / 烏丸 ( 2000-09-04 01:03 )
しかし、このサイトではミステリはほとんど見向きもされませんので、本格だ新本格だ島田派だと言っても誰も興味を持ってくれないのでしょうね。でも、二階堂の解説は立ち読みしてみます。 / ぽた公 ( 2000-09-03 12:29 )

2000-09-03 『これが投手だ!』 別冊宝島編集部/宝島社(宝島社文庫)

【闇の昭和史伝】

「で,烏丸さん,次の1冊ですが」
「そうですな。これは1999年10月に宝島社から発行された『別冊宝島471号 大投手黄金伝説』の改訂版」
「ほう。黄金伝説。となると,金田,米田,稲尾,江夏,鈴木,山田,野茂……いや,楽しみですな」
「ところが,残念ながら前半は現役投手,上原(巨),石井(ヤ),黒木(ロ),斉藤(横),岩本(日)らが中心」
「やや。それでは,エースとして歴史に残るかどうかも当落線上の,ただの好投手陣ではありませんか」
「そう。最近は,先発なら『エース』,抑え役なら槙原でも『守護神』と。大バーゲンですな」
「なるほど,言葉が軽い」
「ですから,本書の場合,インタビュー内容も,まだ薄い壁を一度か二度乗り越えた程度の,若手の苦心譚に過ぎません。あるいは,後半の歴史上の名ピッチャーを扱った記事も,なにしろ書いたライターの側が若くて,実際にその投球を見てないで書いているのがもう明らか。たとえば大野豊を扱ってもあのフォームの躍動感には触れていないなど,内容的には記録とインタビューを無理に積め込んだごった煮に過ぎない」
「それでは興醒めと申しますか」
「そこで,ここでは,プロ野球に関わる,昭和史の秘話を少々ご紹介しよう」
「秘話。それは楽しみですが,いったい」
「うむ。1959(昭和34)年6月25日,巨人阪神11回戦。昭和天皇がただ一度プロ野球を観戦した,いわゆる天覧試合。昭和の英雄長島茂雄が阪神村山実からサヨナラホームランを打った,あの試合であります」
「手元の読売新聞,翌日の朝刊によれば,『両陛下ナイターご観戦 長島選手にニコニコ 五ホーマー−体を乗り出す』」
「ところが,この烏丸,この試合に重大な疑義がある」
「あのホームランはやっぱり,ファールだった,と」
「いや,そんな甘やかなものではない。昭和史の最暗部に属す,世にも恐ろしい陰謀です」
「陰謀,ですか」
「そう。話は少々飛ぶが,1989(昭和64)年1月,昭和天皇崩御」
「我々昭和人としては,天皇制の是非は別として,忘れられない出来事でありますが」
「その年,さる筋の指揮により,各界の主だった人物が昭和天皇の御供,つまり贄として暗殺された」
「なんと。それは穏やかでない」
「いやいや。昭和64年,すなわち平成元年に亡くなった顔ぶれを見てご覧。経済界からは松下幸之助,芸道から美空ひばり,漫画家では手塚治虫。いずれも昭和の時代を代表する人物ばかり。吉田茂や力道山,川端康成,湯川秀樹らはもう亡くなっておりましたし」
「おお」
「暗殺には,名前は出せませんが八瀬童子縁故のある人物があたった。相撲界からは大鵬,若乃花とどちらがという議論の末,少し遅れて栃錦清隆すなわち春日野理事長が翌1990年1月10日に亡くなって,大葬の礼に間に合わせている」
「うーむ。それは」
「しかし,ここで注目していただきたいのは,ではなぜプロ野球界から誰一人大物が選ばれなかったか。本来,昭和を代表する人物として,長島茂雄ほど御供にふさわしい人物はないはず」
「言われてみればその通りですが」
「いや,そもそも,昭和天皇が長島の天覧ホームランを本当に心からお喜びになられたのなら,なぜ天覧試合は二度と設けられなかったのか。警備が難しい,ということになっているが,相撲はあのようなオープンな場で何度もご覧になっているわけです」
「ふーむ」
「これらの事実は,すべてある1つの事実を指し示している」
「そ,それはいったい」
「昭和天皇は………実は熱烈な阪神ファンであったのです!」

先頭 表紙

松坂でも可。 / 口車大王 ( 2000-09-04 19:23 )
近鉄 vs ロッテの天覧試合があってもよいと思う……。黒木のシュートを中村が振り切る映像が平成の逸話として残る。 / 烏丸 ( 2000-09-04 01:07 )
そうか.阪神が弱いんで,展覧試合がなかったんだ. / 八百八 ( 2000-09-03 11:44 )
あ、ジャイアンツの松井といっしょだ! / 口車大王 ( 2000-09-03 09:02 )
しまったなー,『これが投手だ!』 ,表紙をスキャンする前に速攻で棄ててしまった。ま,いっか。 / 烏丸 ( 2000-09-03 00:06 )

2000-09-01 『Heaven?』 佐々木倫子 / 小学館(ビッグコミックス) 現在1巻


【減塩30%】

 『おたんこナース』はなんと累計5000000部売れたのだそうだ。その上この5月から通常の単行本サイズで新装刊。いずれは小学館文庫にも収録されるだろう。よい商いであると認めること,やぶさかではない。
 それはともかく,この烏丸,ここ数年身内にホトケが頻発し,おまけに自らちょいと無粋な精密検査が相次いで,はっきり言って病院,看護婦モノで笑える気分ではなかった。従って,雑誌でぱらぱらとしか見ていない『おたんこナース』はパス。で,新作の『Heaven?(ヘブン)』である。

 舞台は「この世の果て(ロワン ディシー)」という名のレストラン。
 どの駅からも,繁華街からも,住宅街からも,利益からも遠く,なによりも理想のサービスから遠かった……しかし,この不景気の盛りにフレンチレストランが舞台と言われても困るが……まあ,影の薄い主人公・伊賀観をはじめ,登場人物たちも困っているようだからいいか。
 なぜ困るか。まず,先に紹介したようなロケーションである。しかも墓地の真っ只中。集められたシェフ,店長,ソムリエたちたるや……いや,そのあたりまで詳しく書いてしまっては興を削ぐことになろう。それよりトドメはオーナーである。漆原教授を若い女性にしたような。や。これも書きすぎてはまずい。

 ともかく,佐々木作品の場合,この第1巻前半のように加害者がはっきりしている話はまず間違いなく笑えてよろしい。漆原教授しかり,菱沼聖子しかり。
 もっとも烏丸が佐々木作品で最も好きなのは,加害者でなく,被害者がはっきりしている作品なのだが。たとえば『代名詞の迷宮』の山田の猫の買主であるとか……。

先頭 表紙

烏丸が平気なのは本の中だけ。ナマものは魚もさばけません。 / 烏丸 ( 2000-09-04 17:25 )
私、死体も寄生虫も苦手です。「くさったしたい」なんて怖くて怖くて。だから、ドラクエもあまりやりません。今回のドラクエにも「くさったしたい」は出てくるんですかねえ。 / 怖がりぽた公 ( 2000-09-04 16:55 )
ちなみに,ずっと読んでなかった『おたんこナース』も,新装刊のほうで買って読んでいます。が,やっぱり何編かある「告知」ものが笑えない。『動物のお医者さん』や『Heaven?』 のほうが,烏丸的にはよいです。 / 死体の本は平気なのに,烏丸 ( 2000-09-04 15:37 )
私もスピリッツは買っていません。月曜日はポストか現代なんですね。 / 烏丸 ( 2000-09-04 01:05 )
伊賀観の母親って出てきましたっけ? あ、スピリッツで追いかけてるから先行してるのかな? 週刊誌まったく買わないもんで^^; / ぽた公 ( 2000-09-04 00:40 )
伊賀観母がすごかった。 / 口車大王 ( 2000-09-03 19:20 )
『おたんこナース』のことだと思っていたら、見事な二段落ちでした。参りました。 / ぽた公 ( 2000-09-03 12:30 )
このあと,『ナース』の書評を予定しております。 / 烏丸 ( 2000-09-03 00:07 )
買ってきましたぜ、カラスマル先生。これで何冊目のカラスマル文庫やら。オーナーは確かに漆原教授と菱沼聖子を足して2で割らないような人ですね。しかしまあ、最終頁を見ると、またまた綿密な調査を敢行しているようですな。1巻序盤で「もうフレンチ食べたくない!」とオーナーが叫ぶシーンは、佐々木倫子の気持ちそのままなのではないかと。あと、「消防マンね、そうね、わかるわ、彼は結婚できるんじゃない? そうねえ、そうかしら」には笑ってしまいました。 / ぽた公 ( 2000-09-02 11:54 )

2000-09-01 『縄文人は飲んべえだった』 岩田一平 / 朝日新聞社(朝日文庫)


【ジョーモンの奇妙な冒険】

 このところ,コミックに偏りすぎたかもしれない。猿より深く反省し,少し違うジャンルの本を取り上げることにしよう。よっこらしょ。なに? 本棚の本かかえるのに声が出るようになったらもう年だ? ……ほっといてくれ。

 え,さて。
 インプリンティング(刷り込み)が起こるのは子ガモに限った話ではない。不肖この烏丸,いまだ地球の人口は36億人だし,1$は360円(だからトヨタパブリカはぴったり1000$)。イグサ日本一が岡山県なら007はショーン・コネリー。無論スリランカはセイロン,ミャンマーはビルマだし,邪馬台国は北九州にあって,縄文人は狩猟採集,コメなんて口にしたこともない,はずであった。
 ところが。近頃の縄文人は,どうもそうではないらしい。水田耕作こそしていないものの,コメを含む畑作に励み,食事は栄養的に優れ,ヤマブドウやサルナシを発酵させた酒まで飲むのだそうだ。しかも,弥生時代以降と違い,当時日本には下戸はいなかったというのである(*1)。

 岩田一平(*2)の『縄文人は飲んべえだった』は,バイオ,CGなどの最新テクノロジーが古代史研究を塗り変えていく,そのあたりの経緯を丁寧に教えてくれる。下戸(ALDH2不活性型)の遺伝子やイネの遺伝子の解析,コンピュータを活用した言語分析,水銀鉱脈の分布と邪馬台国の関係(*3),タコ壺漁の消滅からうかがえる気候の変化,あるいはクソ石にごく微量残っている脂肪酸から明らかになる食生活。これらの研究から,日本人のルーツ,古代人の食生活,日本国の推移が少しずつ明らかになっていく。読み手の古い常識が覆される楽しみと,明らかになっていない史実への尽きない興味。

 著者は,1つの説に固執するより,さまざまな説が入り混じった状態をよしとするタイプなのか,わからないことはわからないと率直に手を上げる。
 新刊の『珍説・奇説の邪馬台国』(講談社)でも,「魏志倭人伝」の表記だけでは邪馬台国の位置は特定できないと説き,70にもおよぶ邪馬台国候補地からジャワ島説,新潟説,山陰説,岡山説,四国山上説などかなりアクの強いものを取り上げ,現地を訪ね,あげく「奮起せよ,全国の邪馬台国」と呼びかける(*4)。
 つまり,社会派邪馬台国,ユーモア邪馬台国に対して新本格邪馬台国派が台頭,日常の謎邪馬台国,妖怪問答邪馬台国の一方,すべてが邪馬台国に……う,うざい。

*1……『孤独のグルメ』の井之頭五郎の先祖は,つまり弥生時代以降に大陸から渡ってきたことになる。

*2……「週刊朝日」副編集長。少し前のデキゴトロジー欄には,ゴキブリのフライを食べている氏の写真が掲載されていた。仕事とはいえ,同情を禁じえない。

*3……『縄文人は飲んべえだった』の次のような一説は,『陰陽師』の読者にも興味深いのではないか。「全国には,丹生(にう)という地名や丹生神社という名前の神社が数多く点在している。『丹生』は『丹を生ずる』という意味であり,古代に辰砂の採掘を行っていた名残と考えられる。(中略)中でも鉱脈の豊かな大和水銀鉱床にある和歌山県の丹生都比売(にうつひめ)神社には,丹生都比売のお使いのシカが,高野山の開祖の弘法大師空海を高野山に導いたという伝承がある。」

*4……こすもぽたりん氏の「神田マスカメ書店」で紹介された鯨統一郎『邪馬台国はどこですか?』も,牽強付会ながら笑えない,と紹介されている。意外にも(失礼),本格者より考古者のほうが懐が深いのか。

先頭 表紙

「近頃の縄文人」というフレーズがなんともナイスでございますなあ。 / ぽた公 ( 2000-09-01 14:02 )
いえいえ,日ごろのつっこみのご愛顧に比べれば,千里の道も縄文人の川流れでございますわ。 / 烏丸 ( 2000-09-01 13:34 )
拙文をご紹介いただき、まことにありがとうございます。 / ぽた公 ( 2000-09-01 12:02 )

[次の10件を表示] (総目次)