himajin top
烏丸の「くるくる回転図書館 駅前店」

 
今後、新しい私評は、
  烏丸の「くるくる回転図書館 公園通り分館」
にてアップすることにしました。

ひまじんネットには大変お世話になりましたし、
楽しませていただきました。
その機能も昨今のブログに劣るとは思わないのですが、
残念なことに新しい書き込みがなされると、
古い書き込みのURLが少しずつずれていってしまいます。
最近も、せっかく見知らぬ方がコミック評にリンクを張っていただいたのに、
しばらくしてそれがずれてしまうということが起こってしまいました。

こちらはこのまま置いておきます。
よろしかったら新しいブログでまたお会いしましょう。
 

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2001-03-26 [短評] 『リング』 鈴木光司 / 角川ホラー文庫
2001-03-24 消えたマンガ家 その五 『おしおきしちゃうから!』 岩館真理子 / 集英社マーガレット・コミックス
2001-03-23 憧 憬
2001-03-22 カゴメ
2001-03-21 アビシニア
2001-03-20 ラビロウ村の倒錯
2001-03-19 舞 姫
2001-03-18 そしてごらん今は
2001-03-17 抱 擁
2001-03-16 夢裁判


2001-03-26 [短評] 『リング』 鈴木光司 / 角川ホラー文庫


【やはり,ボクシングのビデオだと思ってました】

 怖い怖い本当に怖いと「本の雑誌」で紹介されているのを見て以来,90年代ホラーのスタンダードとして読まないわけにはいくまい,と思いつつ,なんとなく手にしてなかった本書であるが,思うところあってようやく読むことができた。

 思うところ,といってもたいしたことではない。池田雅之訳編による小泉八雲怪談集『おとぎの国の妖精たち』(社会思想社現代教養文庫)をぱらぱらめくっていたら「怪談」に収録された「お貞の話」という生まれ変わりについての話があって,『リング』の主人公が「貞子」というやや古風な名前であるということくらいは聞いていたので,鈴木光司がなんらかの意味でこの「お貞」を,パクるとは言わないまでも一種のオマージュとして『リング』を書いたのかどうか,そのへんが気になったからである。

 結論としては,よくわからなかった。ちなみにハーンの「お貞の話」は英題では"The Story of O-Tei"だそうで,「貞子」とは別段関係ないのだろう。

 さて,『リング』であるが,これが,驚くほどにちっとも怖くなかった。小松左京あたりがショートショートで書いていたら着想の妙に感心しただろうに,といった印象である。エグい本は嫌いではないが,人並みに怖いものは怖いほうだし,ホラー小説でこれほどまでに徹頭徹尾怖くないのはなぜだろう。

 なぜほかの読者は怖い怖いと騒ぎ,自分はちっとも怖くないのか。烏丸の背筋に電流が走った。……まさか,という思いでその閃きを一旦脳裏から消したが,『リング』の文庫本をひっくり返したとき,瞬間に流れた電流は確信に変わっていた。『リング』の文庫本の裏にはブックオフの値段シールが貼ってあった……。

先頭 表紙

カエルさま,それを言ったら↑の本文の最後の一段落もネタバラシのようなものですから。しかし,貞子って……「それが出来るなら,ほかにもあれこれなんでも出来るだろうに,なんでそれしかしないの?」なやつ。 / 烏丸 ( 2001-03-26 18:34 )
TAKEさま,その一例が同じ角川ホラー文庫の『パラサイト・イブ』かと思います。音,光のない前半は怖いのに,現実に映像(にあたるもの)が動き出す後半はコドモダマシになってしまう……あまりのしょーもなさに愕然としました。 / 烏丸 ( 2001-03-26 18:33 )
↓これって、ネタばれですね。烏丸さま、まずかったらどうか消してしまってください。 / カエル ( 2001-03-26 18:14 )
『リング』はあまり怖くなかったですが、『バーズディ』に収録されている、高野舞が貞子を出産する話『空に浮かぶ棺』はちょっと怖かったです。怖いと言うか、気持ち悪いというか。 / カエル ( 2001-03-26 16:35 )
怖さの演出が映像的だと、文で読んだ時ってあんまり怖くないですよね。最近はビジュアルを文章化したような作品が増えている気がします。 / TAKE ( 2001-03-26 14:40 )
しっぽなさま,角川ホラー文庫の作品(のいくつか)は,モダン風,SF仕立てを装いつつ,根っこのところはお化けやお札の世界で,それだとあんまり怖くないのです。少なくとも,生身の女性ほどには……。 / 烏丸 ( 2001-03-26 12:31 )
匿名希望さま,ファンを敵に回すのを,烏丸一人に押し付けましたね……この恨み,古井戸の底から……(笑)。 / 烏丸 ( 2001-03-26 12:31 )
その“お札”を剥いだとたんに・・・・・!? / しっぽな ( 2001-03-26 02:42 )
あぁよかった。自分もどこがこわいのか理解不能、「くだらない」と思ってしまった自分の神経がおかしいのかと心配していました。なるほど、ショートショートとしてはいけそうですな。 / 匿名希望(軟弱者・ファンの方すいません) ( 2001-03-26 02:41 )

2001-03-24 消えたマンガ家 その五 『おしおきしちゃうから!』 岩館真理子 / 集英社マーガレット・コミックス


【ほんとは きこえてた……】

 通常モードに戻る。

 ところで,もちろん岩館真理子は消えたりはしていない。現在もレディスコミック誌上でもの憂くもふくれっつらのキャラは健在である。大島弓子ばりの心理ドラマとしての評価も高い。しかし,クラスメートと過ごす時間のように心から楽しめたB級学園ラブコメの岩館真理子は,もういない。

 単行本第1冊めにあたる本作『おしおきしちゃうから!』も,あらすじを紹介するのが馬鹿馬鹿しくなるようなお話ではある。主人公の小室ちとせはハンサムな業平くんが好きなのに,弥生ひな子先生が現れてそれを邪魔してすったもんだ……。それに,他愛ないギャグがちりばめられる。
 そのギャグというのが,なにしろ
  「てぶくろの反対知ってる?」「ろ・く・ぶ・て…かな?」バンバンバンバン
とか,
  業平くんに美人の妻が! → いとこが「妻麗子」という名前だった。
といった程度なのである。それがすんなりおさまる展開,絵柄だったわけだ。

 また,当時の岩館真理子の連載には,連載ごとの小道具というかお楽しみがあって,たとえば『ふたりの童話』ではさまざまな恋占い,本作ではなぞなぞだった(その占いやなぞなぞにしても,別に岩館真理子のオリジナルというわけではなく,ラジオの深夜放送などで流行っていたものだったが)。

 さて,岩館真理子は週刊マーガレットで学園モノを多数連載したのち,レディスコミックに移る。
 あまり語られていないことだが,彼女の軌跡は実にわかりやすい。中高生を描き(『おしおきしちゃうから!』『初恋物語』など),卒業を描き(『ふたりの童話』『春がこっそり』など),大学生を描き(『グリーンハウスはどこですか?』『チャイ夢』など),主婦を描き(『えんじぇる』など)……つまり彼女は,デビュー以来,生真面目に自分の同世代を描き続けた,ということになる。OLモノが存外に少ないこと,夫婦を描いてもその多くが必ずなにかエキセントリックな,あるいは離婚した夫婦であったあたり,本当に正直に,自分の知っている世界を描き,知らない世界は描かなかったことがわかる。
 岩館真理子が,現在の作風にいたる気配を最初に見せたのは,北海道の下宿屋に現れた少し体の弱い女子学生を描いた『グリーンハウスはどこですか?』あたりからだったろうか。そのあたりから岩館真理子は,自分の所属する世界からではなく,内なる声に身を任せるようになる。ネームを読み返さない,という伝説の所以である。

 だから,『おしおきしちゃうから!』の岩館真理子は,もういない。
 彼女は今も高校生や大学生の登場人物を描き続けてはいる。しかし,自分がリアルタイムにどっぷり所属する世界と,時間の半透明な壁を通して見る世界とは違う。
 およそ馬鹿馬鹿しい,文字通り「マンガ」としかいいようのない『おしおきしちゃうから!』には,あの,箸が転んでも笑って泣いた,描き手読み手の高校時代がこもっており,それはもうどこにもない。

 などと感傷にひたってもしょうがない,というわけで,ひな子先生にならって,なぞなぞを何問か。

(1) まま母殺しの毒薬の名前は?
(2) 鳴門海峡でおぼれた人をたすける薬は?
(3) 不二家のポコちゃんがお風呂に入っているペコちゃんをのぞいた。そのときペコちゃんなんていった?
(4) 4人家族の家にブラジャーが送られてきた。宛名は誰あて?
(5) 赤いコイと黒いコイが池で泳ぎの競争をした。勝ったのは?

先頭 表紙

たらママさま,その「ばかばかしいが許せる」色合いのうせた最近の岩館真理子については,どうしてもいたいたしさが先に立ってしまって読むのがつらいのであります。 / 烏丸 ( 2001-03-26 18:38 )
岩館真理子は、ああばかばかしい、と思いつつもカワイイから許しちゃう、でした。 / たらママ ( 2001-03-26 14:36 )
なぞなぞの答え。(1)イボコロリ。(2)うず救命丸。(3)てめえ,ミルキー? (4)チチあて。(5)黒いコイ。恋はくろーが先に立つ。 / 烏丸 ( 2001-03-26 02:45 )
けろりんさま,『ふたりの童話』『春がこっそり』『グリーンハウスはどこですか?』あたりは,単行本だけでなく,週刊マーガレットからの切り抜きで保存してあります。ちょっと自慢(……になるか?) / 烏丸 ( 2001-03-26 02:45 )
私が一番岩館真理子に夢中だったのは、『ふたりの童話』。絵は『グリーンハウス〜』から『ふくれっつらのプリンセス』あたりの頃が一番好きでした。しかし・・・クイズさっぱりわからないです。 / けろりん ( 2001-03-25 01:55 )

2001-03-23 憧 憬

 
                (───に)

  きみに,見せたいものがある。それは
  小さな木の実で,天と地の涯てのベル
  ツイムというところでだけ手に入る。
  本当に小さな,小さな赤い木の実で,
  人びとはそれを口にするたびにうまい
  と言うのだ。
 

先頭 表紙

たらママさま,また古い少女マンガなぞ読んで,穏やかな午後に気分がノリましたら……。 / 烏丸 ( 2001-03-26 02:44 )
また次の作品ができたら創作編やってくださいね。 / たらママ ( 2001-03-23 17:23 )
君に見せたいものがある。君に聞かせたいものがある。君に話したいことがある。君はどこにいるの? / おりと ( 2001-03-23 16:02 )
私も見つけられるといいな・・。最後となるとやっぱり突っ込みたくなります・・。ありがとうございました!(おいおい、ちゃんと図書館は続くんだってばよぅ〜) / あやや ( 2001-03-23 07:14 )

2001-03-22 カゴメ

 
  さっきまで坂のくだりで鬼から逃げて笑っていた
  子どもたちが
  今はしゃがんで歌っている
  甘やかな輪 をえがき

  その輪の中で
  妻は一人
  目をおさえて泣き出してしまったのだ
 

先頭 表紙

あと一作だなんて。勿体無い。。 / カエル ( 2001-03-22 16:49 )
カラスマル・世界ツアー,日本に戻りまして,あと1作で通常モードに戻ります。 / 烏丸 ( 2001-03-22 12:50 )
情景を想像しました。何で泣き出したのかもいろいろ考えてみました。 / たらママ ( 2001-03-22 08:30 )
ある、小春日和の夕焼けがきれいな日のことであった。。。(勝手に続き書いている(自爆)) / おりと ( 2001-03-22 01:39 )

2001-03-21 アビシニア

 
  祭りの渦を抜けて
  薔薇色の髪飾りをつけたまま眠りました
  あれはわたしでした 愛しい人よ
  あなたのそばで踊っていた
  あの舞姫はわたしだったのです
 

先頭 表紙

アビシニアと聞いて真っ先に思い出すのが、猫の種類。。ぜんぜん風流でないですね。。 / カエル ( 2001-03-21 22:01 )
美しすぎる。その通りです。 / secret admirer ( 2001-03-21 13:36 )
なんと、、、(感動) / おりと ( 2001-03-21 00:41 )

2001-03-20 ラビロウ村の倒錯

 
  永い 永いいつわりの時が熔けて。
  ラビロウの屋敷にライラックの花が揺れる日。
  エピィ おまえは白い花嫁になる。
  十六年経ったら本当のことを言うから
  本当のことがわかるからエピィ
  でも今はむり とても言えそうもない
  今は金貨を待っていよう
  それから虹屋で一杯ひっかけてこよう
  エピィお幸せに
  どうかエピィお幸せに
  少しおかしいって? いいやなんでもない
  ちょっと酔ってるだけぼくを
  笑わないでぼくに
  驚かないでほんの少し今日は
  酔っているだけなんだから。

  その昔この村には寂しい男がいた。
  それから嘘つきが一人。
  おまえの父親と エピィ
  エピィ エピィ このぼくと。

  酔ってるだけ酔ってるだけ酔 っているだけ
  泣いてなんかいないほら笑ってるだろ
  エピィそんなにのぞきこまないでぼくを
  笑わないでぼくに
  苦しまないでぼくの
  エピィ今日はよいお天気。
  今日は本当によいお天気。
  花盛りのラビロウ村。
  結婚式。
  エピィ。
 

先頭 表紙

美奈子さま,ご存知かと思いますが固有名詞はエリオットの『サイラス・マーナー』から借りております……が,その作中にはこの「ぼく」にあたる男などおりません。だから「倒錯」なのかもしれません。 / 烏丸 ( 2001-03-21 01:03 )
カエルさま,そちらの倒錯といえば,そういえば……(以下355文字自粛)。 / 烏丸 ( 2001-03-21 01:02 )
アナイスさま,なんとなくですが,お目出度いお話にはライラック,悲劇にはリラという言葉が似合うようです。 / 烏丸 ( 2001-03-21 01:02 )
やや。akemiさまは見返りが絵になる大人の魅力,ということでこの烏丸,分類,分析,認識しておりましたが。 / 烏丸 ( 2001-03-21 01:02 )
こっこさま,たまにはダイスを振りなおしてほかの目を出してみたくなる,ということもございますよね。 / 烏丸 ( 2001-03-21 01:01 )
おりとさま,申し訳ありません,ややっこしい内容で。ご覧のとおり,呂律のまわらない酔っ払いがぐだぐだ愚痴上戸やってる,というだけのお話です。あまり深くお考えいただきませんよう……。 / 烏丸 ( 2001-03-21 01:00 )
ごめんなさい、私にはよくわかりません。つっこみでお尋ねしてしまってもいいのかしら。失礼かしら。 / 美奈子 ( 2001-03-20 15:00 )
倒錯という字を見てすっ飛んで来た自分が恥ずかしくなる・・。 / カエル ( 2001-03-20 14:44 )
ライラック 大好き! / アナイス ( 2001-03-20 10:03 )
akemiも大人になりたい…。 / akemi ( 2001-03-20 02:48 )
いつもと違った烏丸の日記にドキドキ / こっこ ( 2001-03-20 02:12 )
この話を理解するのに少し時間かかりました。 / おりと ( 2001-03-20 01:12 )

2001-03-19 舞 姫

 
  ぺるしあの酒は強い
  我々は酔うて沙場に臥していた
  もるぎあなお前は
  何を想うておるのか
  何時まで
  さうして踊つているのか
  皆が眠つてしまつたあとも
  もるぎあなお前は
  一人舞う炎が照らす薄絹の
  紅切れと一振りの短剣指に絡ませ
  鈴の瞳幼さの火照る頬
  あらべすくの刺繍の隠す小さな胸が
  踊る
  踊るもるぎあなお前は
  何を想うておるのか
  何時まで
  さうして踊つているのか
  砂漠の夜は静かなので
  舞姫の想いは熔けることがない
  もるぎあな踊る
  ぺるしあの酒は苦い
 

先頭 表紙

TAKEさま,なんとなく引っ込みがつかなくなって,読了した本ばかりがたまっていきます。どうすればよいのやら。 / 烏丸 ( 2001-03-21 01:00 )
冬華さま,つっこみができたかどうか怪しい場合は,ブラウザの「更新」ボタンをクリックして,そのページを再表示させてみるとよろしいようですよ。 / 烏丸 ( 2001-03-21 01:00 )
ぴりりとした、あの「時間」「瞬間」の感じをコトバに出来る烏丸さま、さすがです。 せひぜひ今後もこうした「創作編」も続けていただけると嬉しいです。 / TAKE ( 2001-03-19 23:52 )
どの作品もほんわかした雰囲気が漂っていて素敵ですね。烏丸さんのお人柄がにじみ出ているようです。他の方の作品を見せていただくのはとっても勉強になります。私も精進せねば。(一度突っ込んだら消えてしまいました(??)2回突っ込んでしまってたらごめんなさい。) / 冬華 ( 2001-03-19 23:23 )
どの作品にもほんわかした雰囲気が漂ってて良いですねぇ〜。烏丸さんのお人柄がにじみ出ているようです。他の方の作品を読ませていただくととっても勉強になります。私も精進せねば。 / 冬華 ( 2001-03-19 23:19 )
みなさま,このようなものに過分なご評価,ありがとうございます。ひとつひとつにちゃんとつっこみ返しすべきところではございますが,カラスがテングになってはシャレになりません。ときどきしかつっこみ返ししなくなっても,それは自戒をこめてのものだということで,ご容赦ください。 / 烏丸 ( 2001-03-19 17:06 )
評論でなく創作。こちらの烏丸様もなかなかでございます。 / たらママ ( 2001-03-19 15:26 )
光景を思い浮かべて、うっとりです。。 / カエル ( 2001-03-19 15:01 )
このシリーズ、和紙に淡彩でふんわりと色をのせてみたい感じです。ああっ、でも私の才能ではだめですわ。 / けろりん ( 2001-03-19 03:29 )
うっとりしてしまいます。。。 / おりと ( 2001-03-19 03:20 )
うっとり。。。こちらバージョンの烏丸さまがいいですわ。。 / しっぽな ( 2001-03-19 02:42 )
うん。わたしも。 / アナイス ( 2001-03-19 02:33 )
ここ数日の展開に、つっこみはいれずとも心待ちで味わっておりますゆえ続編希望です。 / あやや ( 2001-03-19 02:18 )

2001-03-18 そしてごらん今は

 
  そしてごらん今は
  冬
  花も獣も蜜蜂の羽音も
  暗い土の奥底深く眠って
  枯れ草の残り香さえ絶えてしまった
  だけどごらん風が
  優しく
  おまえの肩に触れる
  淡い緑の芽にこがれて
  土を見つめて首をかしげるひとよ
  どうかごらんぼくの
  生命が弧を描いておまえの空を飛んでいる
  夢なのね
  とおまえは風にささやいた(もう一度)
  夢なのよ
  (夢ではない)
  ああそのかぼそい声の陰影に
  ぼくの生命が揺れる
  揺れる
  (夢なはずがない)
  だからごらんやがて
  ひと朝の雪解け水の甘さに
  ぼくは芽生えうたうだろう
  おまえの目のもと
  揺るぎないウクライナの黒土のうえに
  だからごらん今は
  冬
  だけれどもおまえの胸にはほうら
  ふるえるものが宿りはじめる
  ふるえるものが宿りはじめる
 

先頭 表紙

メロディーつけてみたいな。。。 / おりと ( 2001-03-19 03:21 )
春ですから,カエルさま。同じ舞台,同じキャラで夏の終わりを描いてみたら,ニューシネマふうになってしまいました……。 / 烏丸 ( 2001-03-19 00:49 )
はい,しっぽなさま,ロマンチストです。ときどきあとで舌を噛みたくなります。 / 烏丸 ( 2001-03-19 00:46 )
心が温かく、優しくなる感じ。。いいなあ・・・。 / カエル ( 2001-03-18 23:58 )
読み切り一本描けそうです、って感じの一篇ですね。ロマンチストな烏丸様。。。 / しっぽな・32ページ描きたい ( 2001-03-18 12:27 )

2001-03-17 抱 擁

 
  抱きしめるということ。
  ひたすら抱きしめる ということ。
  この両腕をそのしなやかな背にからませ
  二度と放しはしないということ。
  はなればなれな有りようを押し合わせ
  うめくまで強く
  きつく しめあげるということ。
  具体的に 女は かならずセエタアを着ていること。
  顔の
  とくに左半分を相手の胸に押しつけること。
  頬に 熱く激しい鼓動を
  額に 乱れた息のしめりけを
  髪に まさぐる
  冷たくとがった白い指を感じるということ。
  そして何より おのれの腕の中に
  こわれそうな胸をつなぎとめること。
  叫ぶより
  泣くより
  抱きしめるということ。
  ひたすら 抱きしめるということ。
  二人そのまま
  石
  になってしまう
  抱きしめるということ。
 

先頭 表紙

アナイスさま,いらっしゃいませ。烏丸は本当は遠くから見つめるのが一番好きなのですが,たまにこういうのも書いてしまいます。 / 烏丸 ( 2001-03-19 00:44 )
あややさま,サンクス。 / 烏丸 ( 2001-03-19 00:43 )
ぎゅうっと抱きしめられるの好き。素敵。 / アナイス ( 2001-03-18 07:59 )
素敵と言うより、泣ける。うまくいえん・・。(おもうところあり) / あやや ( 2001-03-18 03:02 )
フィー子さま,烏丸はなんだかんだ言って,きっと人間が好きなんですよ。とてもともて好きなんですよ。だから困ってしまうのです。 / 烏丸 ( 2001-03-18 02:07 )
カエルさま,人生には三度,「時間よとまれ」と願う瞬間が訪れるそうです。 / 烏丸 ( 2001-03-18 02:04 )
akemiさま,そのうちakemiさまのに負けないアダルトなうにゃうにゃも……どんなのか,といえば,それはもううにゃうにゃ。 / 烏丸 ( 2001-03-18 02:03 )
しっぽなさまがオリジナル美少女で攻めているのを拝見して,では烏丸もひとつ及ばずながら書評でなく……たまにはこういうのも。 / 烏丸 ( 2001-03-18 02:01 )
おりとさま,ちなみに烏丸は,あまりべたべたしたお付き合いは苦手なのです。ビジネスのお友達どうしが,5年に一度くらいそっと腕を組んで歩く,そういうお話が大好き。 / 烏丸 ( 2001-03-18 02:00 )
ドキドキしました。烏丸様ったら・・・ / ほぅ ( 2001-03-17 14:53 )
せつなくて官能的・・・。私もこんな素敵な詩が書きたい・・。 / カエル ( 2001-03-17 11:10 )
…そうして、涙こぼれそうなせつないくちづけを…。「ほほを寄せ合ったあなたの匂いが、私の一番好きな匂いよ。目を閉じていつまでも踊っていたい愛に酔う心。泣きたくなるほどあなたが好きよ。」 / akemi ( 2001-03-17 07:49 )
素敵、なんてコトバは陳腐な感嘆符より哀れな存在となりそうな。烏丸さま、詩人。 / しっぽ ( 2001-03-17 02:42 )
抱きしめたいんだけど、抱きしめて欲しい。 / おりと ( 2001-03-17 02:40 )

2001-03-16 夢裁判

 
  少女A,ある日少年Bを告訴します。
  無断でわたしのこと,夢に見るなんて酷いわ
  肖像権の侵害よ,基本的人権の冒涜だわ
  と,いうのです。
  少年B,腹を立てます。
  逆に提訴の申し立て。
  ぼくの夢に勝手に出てきたのは君のほうじゃないか
  不法侵入罪の適用がなされるべきだ
  と,いうのです。
  喧々囂々裁判は長引きます。
  少女Aやがてふっくら美しい娘となります
  少年Bいつの間にか,たくましい青年になってしまいました。
  今日は新任の裁判長のやってくる日
  裁判長,長女の三つの誕生日なので早く帰りたい
  そこで早々に決着をつけることにしました。
  コンコン,静粛に!
  判決を下す!
  少女A,少年B,二人の罪はともに重く許しがたい
  よって二人とも無期懲役の刑を課す
  死ぬまで互いの手を放さず
  一生しっかり見つめ合うこと!
  閉廷!
  花吹雪舞い散る中
  第一書記ここに記します。
 

先頭 表紙

おりとさま,いらっしゃいませ。過分なご評価,ありがとうございます。映画といえば……1時間30分までばかばかしくつまらないギャグの連発で,最後の10分でそれが全部説明されて泣きたくなるような,そんな映画ならこしらえてみたいものです。 / 烏丸 ( 2001-03-18 01:58 )
こういう世界観に憧れます。こういう世界を作れるようになりたい。。。(泣) / おりと ( 2001-03-17 13:17 )
すごく、いいお話ですね。映画にできそう。。 / おりと ( 2001-03-17 02:39 )
……で,思ったよりつっこみも多かったことだし,つたない芸ではございますが,ここはもう1つ2つ続けてアップしてみましょうか。 / 烏丸 ( 2001-03-17 02:37 )
しっぽなさま,こちらこそ失礼……。この手のものは,アップしてしまえばどう読まれようともう読み手の方のまないたの上。3枚におろすも千本に刻むも,本来書き手のうんぬんすべきことではございません。 / 烏丸 ( 2001-03-17 02:36 )
よこさま,そういえば烏丸,寺山修司は1冊通してちゃんと読んだことがありません。なぜだろう……? 好みは近そうな気もするのですが。「草迷宮」(って映画ありましたよね。違いましたっけ)も,結局見たい見たいと切望しつつ今日の今日まで失念しておりました。 / 烏丸 ( 2001-03-17 02:33 )
たばかり少年Eさま,なんの記念日だったやら,当人ももう忘れてしまいました。 / 烏丸 ( 2001-03-17 02:30 )
カエルさま,どんな犯罪かといえば……驚喜準備集合罪とか。未必の恋とか。 / 烏丸 ( 2001-03-17 02:28 )
やはり、深読みだったのdすね。。。くすん。ごめんなさいね、烏丸様。 / しっぽ ( 2001-03-17 02:07 )
寺山修司の寓話のようだわ・・うっとり。 / よこ ( 2001-03-16 19:44 )
いったい何の記念日なんだろう。気になるなあ。 / たばかり少年E ( 2001-03-16 14:07 )
よ〜し、私もこの手を使って片思いの少年C君をモノに・・・!(これは一体どんな犯罪になるのでしょう・・?) / 清純とは程遠い少女D ( 2001-03-16 13:45 )
ああ,しっぽなさま,すみません。うちの子は男ばかりですし,そもそも今日が誕生日というわけでもありません。今日は,まぁ,ちょっとした記念日ではあるのですが……。いちおう,昨日のテレビの「今年の桜の開花日は例年より」云々というニュースに反応した,とかいうことにしておいてください。 / 烏丸 ( 2001-03-16 12:07 )
小枝さま,それはびゅーてほー。まことによいお話でございます。烏丸は,家人と知り合ったときにはもうさかさにふっても少年とたばかれる年齢ではなく,ちょっと残念。 / 烏丸 ( 2001-03-16 12:05 )
あややさま,烏丸はいつもミケンにタテジワなことばかり書いておりますが,たまには「それだけでもないんですよ」と。 / 烏丸 ( 2001-03-16 12:02 )
お嬢様のお誕生日。。おめでとうございます!すこやかに、またうつくしく育たれますように! / 明日は母の誕生日 ( 2001-03-16 11:28 )
私は少女の頃、ある少年に「夢に見た」と言われて出演料を請求してしまった。それから数年後お給料という出演料を延々ともらっているけれど(笑) / 小枝 ( 2001-03-16 09:34 )
こ・・・これは!!なんとも読後のすがすがしい一遍ですねぇ。あややん感激・・。オリジナルですか? / あやや ( 2001-03-16 02:00 )

[次の10件を表示] (総目次)