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烏丸の「くるくる回転図書館 駅前店」

 
今後、新しい私評は、
  烏丸の「くるくる回転図書館 公園通り分館」
にてアップすることにしました。

ひまじんネットには大変お世話になりましたし、
楽しませていただきました。
その機能も昨今のブログに劣るとは思わないのですが、
残念なことに新しい書き込みがなされると、
古い書き込みのURLが少しずつずれていってしまいます。
最近も、せっかく見知らぬ方がコミック評にリンクを張っていただいたのに、
しばらくしてそれがずれてしまうということが起こってしまいました。

こちらはこのまま置いておきます。
よろしかったら新しいブログでまたお会いしましょう。
 

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2000-10-25 今日はビゼーの誕生日 『風車小屋だより』 ドーデ,大久保和郎 訳 / 旺文社文庫
2000-10-24 科学と文学について考える 素材その十(最終回) 『すべてがFになる』 森 博嗣 / 講談社
2000-10-24 科学と文学について考える 素材その九 『地球環』 堀 晃 / 角川春樹事務所(ハルキ文庫)
2000-10-24 科学と文学について考える 素材その八 『竜の卵』 ロバート・L.フォワード,山高 昭 訳 / 早川書房(ハヤカワ文庫)
2000-10-23 科学と文学について考える 素材その七 『空想科学読本 第二版』 柳田理科雄 / メディアファクトリー
2000-10-22 科学と文学について考える 素材その六 『生物学個人授業』 岡田節人,南伸坊 / 新潮文庫
2000-10-21 科学と文学について考える 素材その五 『アワビがねじれてサザエになった やっぱりふしぎな生物学』 奥井一満 / 光文社知恵の森文庫
2000-10-20 科学と文学について考える 素材その四 『デジタルな神様』 渡部浩弐 / 幻冬社文庫
2000-10-20 科学と文学について考える 素材その三 『意識の進化とDNA』 柳澤桂子 / 集英社文庫
2000-10-19 [緊急雑談(?)] 町営住宅 怪現象パニック


2000-10-25 今日はビゼーの誕生日 『風車小屋だより』 ドーデ,大久保和郎 訳 / 旺文社文庫


【とりとめもなく……】

 今日,10月25日はワルツ王,ヨハン・シュトラウス(1825年),そしてジョルジュ・ビゼー(1838年)の誕生日。

 ビゼー作曲,クリュイタンス指揮,パリ音楽院管弦楽団の組曲『アルルの女』『カルメン』はとてもよい。カラヤンに比べてゆったりとしてつやがあり,ストコフスキーより明確。
 とくにあれだけ幅とねばりのあるクラリネットとフルート(アンリ・ルボン?)の音色は,あまり記憶にない。低いところから,こう,ひたひたと,しかし着実に満たしていくような。
 高校時代だったろうか,毎週のように縁戚の家を訪ね,応接間にこもって『アルルの女』を繰り返しかけながら,本棚のポーやユゴー,メルヴィルにふけったことを思い出す。

 シュトラウスやビゼーは,音楽の教科書や入門用名曲集に再三取り上げられた分,損をした感じがしないでもない。ツウをきどる会話では出てこないか,せいぜい『美しきパースの娘』について知ったかぶりする程度。『カルメン』(メリメ)や『アルルの女』(ドーデ)の原作まで追う者が,今,どれほどいるだろう。

 そういうわけで,今朝は,ドーデ『風車小屋だより』なんて懐かしいものを持ち出してみた。添付画像は,あの,草色の厚紙の箱に入っていたころの旺文社文庫で,これもまた懐かしい。フランシス・ジャムの『三人の少女』は当時旺文社文庫でしか読めなくて……とか言っても感傷にすぎないのはわかっているのだが。

 今ふうにいえば『カルメン』が青年将校によるストーカー殺人事件なら,『アルルの女』はストーカーにすらなれないウブな青年の物語。
 二十歳になる明るい百姓の青年ジャンが,闘技場でたった一度会ったことのあるビロードのレースずくめのアルル女に夢中になる。彼の家族は反対しつつも披露宴を催すが女は現れず,ほかの男の情婦であることが明らかになる。ジャンは陽気にふるまうが,ある朝,母親の制止をふりきって飛び降り自殺してしまう。

 その前のページの,『星』という短編が,これまたうっとりするほど美しい。
 羊飼いが番をする山の上にお嬢さんが食糧を持って現れる。ところが雷雨による増水で帰ることができなくなり,二人は並んで星を見ながら星についての言い伝えを語り合う。そのうち,お嬢さんは羊飼いにもたれるように眠ってしまう。それだけ。

 村祭り,プロヴァンスの教会,山羊,羊,星。星。

先頭 表紙

資生堂といえば,春ごろのCMがシルヴィ・バルタン「アイドルをさがせ」のリメイクをBGMにしていましたが,その時点ではCD化されてなかったようです。ちょっとよいかと思ったのに。 / 烏丸 ( 2000-10-26 13:14 )
最近の、資生堂のコマーシャル思い出しちゃった。あれ、妙に色っぽかった。 / 口車大王 ( 2000-10-26 12:33 )
旺文社文庫は,注釈がそのページの中に載っているので,シェークスピアとか古典のお勉強には大変便利なのです。『海潮音』も旺文社文庫版がオススメ(っても,今さら手に入れるのは大変ですが)。 / 烏丸 ( 2000-10-26 02:25 )
シルヴィ・バルタンがモーツァルトの40番歌ったときも,確かちゃんとクレジットが……というより,そもそも曲名が"CARO MOZART"になってますね。 / 烏丸 ( 2000-10-26 02:23 )
↓大ではなく、あっ です・・・ / 水美 ( 2000-10-26 02:06 )
大!これです!これです。中学生の頃、図書室にあったのは!!こでで、シェークスピアとか、「博物誌」とか読みました。あの頃でもこのシリーズ、年期がはいってて、大人になってから、どこのだったんだろう?と悩んでいました。謎が説けた!娘の中学って蔵書がお粗末。のぞいてがっくり。あれでは本好きな子供は育たん! / 水美 ( 2000-10-26 02:04 )
「キッスは目にして」は、さすがにクレジットが入ってましたね〜!(そりゃそうだ)ビゼーを歌うときはフランス語に苦しみました・・。そんな私はフランス語選択・・。 / どーやって卒業したんだあやや ( 2000-10-26 00:31 )
そうそう,ダ・パンプ。著作権法的にはもちろん死後50(+5)年どころではないのでフリーなんですが,あんなメインに使って作曲料もらっちゃいけません。使うのなら,ちゃんとクレジット入れてほしい。でも,チェックのためにシングル盤買うのもばからしいし……。 / 烏丸 ( 2000-10-25 16:02 )
あまり関係ないですが、ダパンプだかラパンツだかいう人たちが、思いっきり『アルルの女』をパクった曲を歌ってましたですねえ。CMで堂々と流すな、と。 / こすもぽたりん ( 2000-10-25 15:22 )
懐かしいものを出してきましたねえ。旺文社文庫なんて、もう若い人は知らないだろうなあ。 / mishika ( 2000-10-25 14:18 )

2000-10-24 科学と文学について考える 素材その十(最終回) 『すべてがFになる』 森 博嗣 / 講談社


【「日」でも「秒」でもなく「時」で管理。なにそれ?】

 とくにいくつという予定はなかったが,そろそろ(おそらく読み手の皆様も)飽きてきたことだし,その十とキリもよいので「科学と文学」シリーズは今回で打ち止めとしよう。ふと気がつくと『パラサイト・イヴ』に始まり,『すべてがFになる』で終わる……どよどよどよん。

 本書『すべてがFになる』については,すでにこすもぽたりん氏の「神田マスカメ書店」に詳解されている。ここではコンピュータの扱いについてのみ,いくつか指摘しておきたい。

「いえ……,UNIXを介してFTPしてますから,フロッピィは使いません。大丈夫だと思いますけど……」
 いきなり,これだ。これは研究室のMacにコンピュータウイルスが,という状況で出てきたセリフだ。その前ページに
「あとはネットワークからソフトを持ってくるときだね,気をつけなくちゃいけないのは」
とあるからコンピュータウイルスがネットワークを介しても波及するという知識はあるようだが,「UNIXを介してFTP」なら大丈夫というのでは,何もわかっていないとしか思えない。

 本作に登場する某大手ソフトハウスは,離れ小島に入り口が1つしかない研究所を設け(消防法違反),有能な開発者50人をそこに閉じこめてソフトを開発させている(プログラマやオタクの生活を理解しているとは思えない設定。電気街もコンビニもないところではPCオタクの3分の2は棲息できない)。その研究所は「レッドマジック」という独自OSによって完全管理されており,レッドマジックの現バージョンは4,それを7,8年使っている。
 研究所の奥にはそのレッドマジックを開発した天才工学者が7年間幽閉されており(誰に?),彼女に食事や本や機材を渡す出入り口はすべてビデオに撮られ(なんで?),その記録が全部データとして残されている(どうして?)。もちろん,それも彼女の作ったレッドマジックとその制御下にあるロボットが管理している。

 ある日突然,レッドマジックがシステムダウンし,同時に殺人事件が起こり,電話もかけられなくなってしまうのだが,そこでスタッフが言うにことかいて,
「レッドマジックはセキュリティが完璧なんだ。どんな人為的な工作にも対処できる。…(中略)…あらゆるソフト的な破壊工作に対応している」
 複数のスタッフがいぢったOSのセキュリティが7,8年経って「完璧」なんてあるかぁ!

 そもそも,その技術者連中たるや,電話回線とPCやMacがそこにあり,パソコン通信サービスのIDを持っているにも関わらず,警察に連絡もできない。で,これまでレッドマジックがやっていた管理を徹夜でUNIXに差し換えるという。それが可能なら先にDOSのTERMでも使え。

 そもそも,幽閉者が作ったシステムに,幽閉者をチェックさせているのだ。そのへんをこれ以上つっこむとネタバレになってしまうので詳細は省くが,これだけは言っておきたい。本書の背表紙には我孫子武丸が
「ずっと8ビットだったミステリの世界もこれでようやく32ビットになった」
と賛辞を送っているが……どう考えても16ビットだと思うぞ。

 本書は,理系人間の書いた,理系人間待望のミステリ! とよく言われる。しかし,理系,文系以前に,もう少し考えてほしい点が少なくない。某所で上記のようなことを指摘したところ,熱狂的ファンから総攻撃を受けた。ある理系大学生がメールでいわく,
「僕はコンピュータには詳しくないが,そのあたりは全然,気になりませんでした」
 ……今どきの理系の論理はそんなものなの?

先頭 表紙

Z80ですかぁ。最近のようにPCやOSが肥大化し,インタフェースやデバイスがブラックボックス化してしまうと,HTMLのソース程度ならともかく,I/Oを叩くとかそういうのはいったいどこで入門するのやらと思います。だから,そういう授業は貴重なのでは。(って,アセンブラ組めない……以下同文) / 烏丸 ( 2000-10-26 13:12 )
大学で『アセンブラ』という実験のお題目がありました。Z80のアセンブラの実験。アセンブラの実験っていったい何? と思ったら、アセンブラで水門を操作するプログラムを組んで、水を堰き止めるというもの。工学基礎実験だったかな。毎週山のようにレポートを書かされて、たった2単位。しかも、必修。 / こすもぽたりん ( 2000-10-26 12:38 )
ディスアセンブルという言葉も,もう死語ですねえ(って,アセンブラ組めないお前が言うな。 > 烏丸) / 烏丸 ( 2000-10-25 17:56 )
ソースなんかいじったことないんでしょうねえ。ソースといえばペヤングくらいの認識で(こんなこと書く私も私ですが)。ソースといえば、最近の若いエンジニアはソースを読むという発想自体がない、と弊社のチーフ・エンジニアが嘆いておりました。 / こすもぽたりん ( 2000-10-25 15:27 )
書くつもりがあろうがなかろうが,これだけの長さで書けば,人間が「色に出にけり」ということがありますね。この作者,アプリケーションユーザーかもしれませんが,OSいぢったことはないですね。ソースを修正してコンパイルしたらエラーではじかれたのがよほどショックだったのだろう。でも,多分それはOSのせいじゃなくて,単に型の宣言をし忘れたせい。……こんなもんかな。 / 烏丸 ( 2000-10-25 12:39 )
百歩譲ってパズルだっていうのならそれはそれでいいんです。よくわからないのは,これ,パズルとして成立しているんですか? 幽閉したのも,その幽閉の条件を設定したのも,幽閉から出たのも……。これでは,命題が不成立だと思うんですよ。島田掃除(ママ)のアレでいうなら「なぜピエロの格好で踊ったのか」という謎の答えが「ピエロの格好で踊りたかったからー」になってませんかねえ? 読み違えているんだろうか。 / 烏丸 ( 2000-10-25 12:20 )
森本人が「人間を書けないのでなく,書かなかったのだ」と反論したのを目にしました。でも,少なくとも『F』はオタクを書こうとして書けなかったのは間違いない。無駄な(勘違いに基づく)エピソードが多いですからね。 / 烏丸 ( 2000-10-25 12:12 )
いえいえ美奈子さま,「科学」「SF」なんて言葉のせいか,今回のシリーズにはなんとなくつっこみも少なく,寂しく思っていたところです。どんどんつっこんでやってくださいまし。ちなみにこの烏丸,「〜シリーズ」なんて枠組みはもうけても,実は何も考えてなくて,その日その日に思いついた本を取り上げているだけです。また気がむけばSFも出てくることと思います。 / 烏丸 ( 2000-10-25 12:09 )
「どう考えても16ビットだと思うぞ。」という烏丸さんのツッコミは、本書を最後まで読むとさらに味わい深いです。 / こすもぽたりん ( 2000-10-25 09:57 )
萌絵ちゃん萌え萌え系掲示板などでは、「森は人物が描けない」などという批判をすると「森作品は全て、高度なパズルなのだから、人物など描く必要はないのではないか」という答えが返ってくるようです。だったら、小説などという形を取らずに、最初からクイズにすればいいのにと思います。 / こすもぽたりん ( 2000-10-25 09:41 )
あー、今日は何だかIEのつっこみ機能の具合が悪くて、烏丸様のページにもう1時間近く居座ってしまっているわ(汗)。 / あちこち汚してしまってすみません。 ( 2000-10-25 08:16 )
んー、私もPC初心者タコですが、それでもこの作品の設定はなんかとてつもなく妙〜な気がしますね。我孫子氏の賛辞は、ミステリ界へのエールだったのでは。でも「……どう考えても16ビットだと思うぞ」という烏丸様のツッコミには笑いました。 / 美奈子 ( 2000-10-25 08:02 )
いやーん、もっと続けてほしいですぅ。あるいはシリーズ第二段ということで後日にでも、烏丸様がお好きだったSFの話など交えつつ、ぜひ。 / 補助頭脳、欲しい! ( 2000-10-25 07:54 )

2000-10-24 科学と文学について考える 素材その九 『地球環』 堀 晃 / 角川春樹事務所(ハルキ文庫)


【あなたの補助頭脳をチェックしておきたいんです】

 紡績会社社員でもある堀晃は作家としては寡作だが,わが国のハードSFの第一人者と称されることが多い。彼の『太陽風交点』は,おそらく国内で書かれたハードSFとしては最も高い評価を得た短編の1つで,1981年,第1回日本SF大賞を受賞した。
 それが,悲劇の始まりだった。

 SFというのは,マイナーな文化である。
 『日本沈没』のようにベストセラーが現れ,映画の原作として話題になることがあっても,筒井康隆のようにテレビCMにまで登場し,不気味に嗤う作家がいても,その根本にあるのは,SFファンの中から作家が登場し,SFファンのために作品を書き,それをSFファンが評価するという仕組みである。そして,この国のSF文化は,星新一,小松左京,筒井康隆,石川喬司ら,第一世代を頂点とする一種の内燃機関を構成し,新人は極力SF作家の集いにはせ参じ,ベテランからの評価を得ようとする。悪くいえば家元制度のように閉じた社会であり,別の閉じた世界を構成する純文学,大衆文学の文壇とは激しく反目し合う。その結果どういうことになるかといえば,先に述べた大物作家の誰一人として芥川賞,直木賞は受賞していないし(半村良が直木賞を受賞したのは,SFでなく中間小説),SF界側は大江健三郎の『空の怪物アグイー』を一切評価しない。

 そして,そのマイナーな文化をビジネスとして体裁づけ,長年にわたって新人作家のデビューや生計の一角を支えていたのが「SFマガジン」「ハヤカワ文庫」の早川書房である(東京創元社の創元推理文庫のSF作品はいずれも海外作品の翻訳で,国内のSF作品は収録されない)。
 そのハヤカワが,日本SF大賞受賞作『太陽風交点』文庫化の既得権でもめ,作者堀晃と徳間書店を相手に訴訟を起こしたことが,第一世代のSF作家の大半を怒らせ,彼らのハヤカワ文庫収録作品はそれ以降増刷されなくなった。もちろん,以後「SFマガジン」に第一世代の新作が発表されることもなかった(光瀬龍など,一部を除く)。
 「SFマガジン」は独自に若手を育て,大原まり子,神林長平らで生き長らえるが,ファンと作家が密着し,閉じた世界で互いを育んできたSF界にとってこの分断はあまりにも大きかったといえるだろう。

 早川書房はそれ以前から,原稿料が安い,育ててやったという顔をする,など,必ずしもSF作家から好もしく思われてはいなかった。そんな早川書房を「奢っている」「愚かな」と責めるのは簡単だが,藪の外にいる者に実際のところはよくわからない。いずれにしても,日本SFはそれ以降あっけなく求心性と継続性を見失い,失速していく。
 もっとも,1980年以降というと,海外SFも魅力を発揮できなくなるころで,単に当時はSF黄金時代の終焉,あるいはSFが映画やゲームに拡散していく時期だっただけなのかもしれない。

 さて,その堀晃の短編集が,本当に久しぶりに文庫になった。本『地球環』にはその短編うち,「情報サイボーグ」シリーズが収録されている。
 堀晃の作品は,宇宙や情報工学についての根源的な理論や世界観をベースにするため(科学雑誌などでもてはやされる,いわゆる流行の話題はあまり用いない),年月を経ても作品がそう古びない。SFは苦手,科学は苦手,という方も,ぜひ手にとって本作に目を通してみていただきたい。
 ここには,SFがまだ力を持っていた最後の時代の,上質な知的エンターテイメントがある。

先頭 表紙

本当に。ナボコフとかディックとか、ちくまや早川(おっと)にひきとられてホッとした人も多かったのでは。 / み@サンリオ20冊くらい持ってる ( 2000-10-26 21:03 )
サンリオ文庫はですね,なーんにも考えてない担当者が,海外のSFとか実験的小説とか言われる作家,作品を,よしあしもなーんにもチェックしないで(てゆか,ほかの出版社が相手にしないようなクズばかり)「独占翻訳権」をとってとってとりまくって,それでパンクしたとそれはもうもっぱらの。そのぶん,ほかからは出ないような貴重品もいくつかあったわけですが。 / 烏丸 ( 2000-10-26 11:59 )
サンリオ文庫がつぶれちゃったのと同じ(笑)? / ( 2000-10-26 06:07 )
きゃー。アホなこと書いたばかりに、奥さまにまでお気づかいいただいてしまってすみません!お許しくださいませ。(反省コザルのポーズ) / でも今度は麗しの奥さまに興味しんしん。 ( 2000-10-26 06:05 )
「2号の件につきましては,受付で整理券を……」と書こうとしたのですが,家人から,もう少しオシャレなジョークを,と教育的指導が入りました。勉強しなおします。とほ。 / 烏丸 ( 2000-10-26 00:30 )
そういうことやってるから(『人喰い病』の石黒達昌も海燕出身),海燕,つぶれちゃったんですね。 / 烏丸 ( 2000-10-26 00:23 )
シーナ・ワールドは「海燕:小説新潮:SFマガジン」で「5:3:1」の割合ですか。ふうむ……。 / ( 2000-10-25 17:58 )
おおー、素晴らしい! 拝読した後、紀伊国屋ノースシドニー店までダッシュしちゃいましたよ(本当)。でも『みるなの木』はなかった、残念。(代わりに『地下生活者/遠灘鮫腹海岸』を買いました。)……うう、烏丸様にツボをつかれまくっている私。およめにしてほしい(爆)! でも麗しの奥方がいらっしゃるのでしたね、残念残念。あっ、奥様もここご覧になっていらっしゃるのかな? ごめんなさい上に書いてあるの全部ウソです、単なる悪ふざけです、お許し下さい(ペコリ)。 / 2号の座に甘んじますわ(殴殺) ( 2000-10-25 17:55 )
よくぞ聞いてくれました!(笑) 椎名SFと文芸雑誌については『みるなの木』を例にちょこっと書いています。そちらもご参照くださいな。 / 烏丸 ( 2000-10-25 12:45 )
「明確な境界線なんてない」のご意見に賛成です。たとえば椎名誠って、出版業界(?)ではどういう扱いなんでしょう? 『武装島田倉庫』に続く連作はもろにSFですよね。言葉の感覚がすごくて興奮しながら読んだ記憶があります。 / 美奈子 ( 2000-10-25 12:31 )
ほほう、なるほど。アンチ筒井の朝日論説委員ですか。丁寧なご説明、ありがとうございます。いろいろないきさつがあるのですねぇ。 / 美奈子 ( 2000-10-25 12:25 )
SF作家のほうは,「ヘンなものは皆取り込んでしまえ」という気概があったのか,シュルレアリスム,ファンタジー,ホラー,ミステリと分類されそうなものも全部書いていました。……と,こんなふうに書くといかにも烏丸がSFのほうに肩入れしているように見えるかもしれませんが,烏丸的にはおもしろければ派閥は何でもよし,小説でもマンガでも映画でもなんでもおっけー,です。 / 烏丸 ( 2000-10-25 12:07 )
筒井康隆なんて,デビュー当時からSFというよりは前衛的な小説で,ああいうことをできない純文学のほうに問題があった。純文学とミステリはわりあい仲がよいようで,『虚無への供物』の中井英夫は純文学からそんなに嫌われていません。中井英夫にはSF作家が書いたとしか思えない『銃器店へ』という短編集もありました。などなど。 / 烏丸 ( 2000-10-25 12:06 )
SFと文学,SFとミステリの明確な境界線なんてものは,多分ありません。どっちの派閥に属するかの問題と,編集者がSFにアレルギーがあるかどうかの問題だったんじゃないか,と思います(少女マンガでも,「SF」というだけで描かしてもらえなかったとか,そういう話が昔は多かったようです)。 / 烏丸 ( 2000-10-25 12:06 )
美奈子さま,大江健三郎を例にしたのは,当時,朝日新聞の論説委員がアンチ筒井康隆で,その1年の出版を振り返って,という記事の中で「SFでは大江にこれこれがあった,それ以外に見るべきものは何もなかった」とSFを口にしながら星,小松,筒井らをてっぱん無視した,という故事(だよなあ,今となっては)にならったものです。 / 烏丸 ( 2000-10-25 12:04 )
あっ、しまった。下で?マークを入れるのを忘れてしまい、何だか知ったような書き方になってしまいましたが、私、森博嗣の作品は読んでおりませんです。失礼しました。『空の怪物アグイー』はSFだったのですか(未読にて知らず)。けっこう初期の作品だったと記憶してますが。アグイーというキャラ自体は他の作品にも登場していましたっけ。『治療塔』も、大江がSFを!ということで話題になりましたが作品自体への反響は今いちだったようですね。やっぱり『万延元年のフットボール』のドロドロには負けてますか。 / 美奈子 ( 2000-10-25 07:47 )
ふむふむなるほど、こういう経緯があったのですね。しかし私、SFと文学の境目ってよくわからないです。ミステリ作家が「UNIXでFTP」と書く時代になってきたし、両者を隔てる定義だてって今後ますます難しくなるのでは。 / 美奈子 ( 2000-10-25 07:34 )
この『太陽風交点』事件,当時は朝日新聞の社会面さえにぎわしたというのに,いまや誰も覚えていないし,インターネットで検索しても1か所でしか発見できませんでした……よく見たら,堀晃当人のこさえたホームページ。いかにSFが市民権を失ってしまったか,よーくわかります。この『地球環』にしても,そういう「往時を懐かしむ」という気持ちのない方には,はたしてどんなものやら。 / 烏丸 ( 2000-10-24 14:32 )
むむむむ、SFを最後まで読み通したことのない私ですが、これは興味深い。久々に挑戦してみますですか。 / こすもぽたりん ( 2000-10-24 14:17 )

2000-10-24 科学と文学について考える 素材その八 『竜の卵』 ロバート・L.フォワード,山高 昭 訳 / 早川書房(ハヤカワ文庫)


【近くて遠い隣人の物語】

 ハードSFを1冊,ご紹介したい。
 ハードSFとは,端的にいえば科学をまじめに取り上げたSFのことである。科学をまじめに取り上げてないSFは,ソフトSFではなく,スペースオペラやファンタジーと呼ぶ。すわなち「サイエンス・フィクション」の略としてのSFの本領はハードSFにあるといって過言ではないだろう(では,レイ・ブラッドベリやフレドリック・ブラウンは,と問われたら,とりあえず船で逃げよう)。

 ところで,一言で科学と言ってもいささか間口が広い。航空力学と量子力学を同じ箱に入れてどうするという気はするし,最近では金融工学だって理系の学問だ。しかし,普通金融パニック小説をハードSFとは呼ばないし,バイオ,ネットワークものについてもあまり聞いたことがない。やはり,宇宙を舞台にメカががしがし活躍する,そんな固め(?)のSFをハードSFと呼ぶことが多いようだ。

 ここでイチオシしたいのはジェームズ・P.ホーガンなのだが,この作家には大きな難点がある。創元推理文庫の初期の『星を継ぐもの』『創世記機械』『ガニメデの優しい巨人』『未来の二つの顔』『未来からのホットライン』『巨人たちの星』,このあたりまでは本当に面白い。とくに月面で発見された宇宙服の死体が少なくとも5万年前のものだった,という謎に始まる『星を継ぐもの』は,デビュー長編でありながら破綻のないプロットに意外な展開で,読書の極上の楽しみを与えてくれる。しかし,ホーガンはなぜか途中から社会をテーマにしたもっちゃりした作風に変わってしまい,しかもいずれもうんざりするほど長い。いまやホーガンといえば面白くない作家の代表である。

 だから,ここではロバート・L.フォワードの『竜の卵』をプッシュすることにしよう。
 これは,太陽系から50光年離れた星域に誕生した,直径20キロにみたぬ中性子星(パルサー)に知的生命が! というかなりとんでもない設定を,最新科学を背景にとことん押し進めた長編である。
 SFには地球の700倍の重力の惑星メスクリンに棲息する生物を描いた『重力の使命』(ハル・クレメント)という名作があるが,それに正面から挑戦した力ワザが『竜の卵』である。本書に登場する生物チーラは,時間感覚が人間の百万倍であるため,地球からの探査線が中性子星に接近したわずか1か月の間に原始時代を脱し,文明を開花させ,宗教を改革し,科学を打ち立てる。本書はそのチーラの変遷を描くことで,サイエンス・フィクション(SF)が同時にスペキュレイティブ・フィクション(SF)であることを身をもって証明する……なんてカッコつける必要もない。ともかく読み応えあり。

 作者ロバート・L.フォワードはヒューズ研究所の化学者であり,デビュー以前からSF作家との交友の中で,さまざまなSF作品に貢献しているそうだ。講談社ブルーバックスには『SFはどこまで実現するか 重力波通信からブラック・ホール工学まで』という訳書もある。宇宙を舞台としたハードSFにチャレンジしたい竜の卵,もとい,作家の卵にお奨めである。

 ただ,今となっては苦笑するしかないのが作中のコンピュータの扱いである。本作が発表された1980年というと,まだパーソナルコンピュータがこの世になく,科学者たちは使用料と時間配分に気を遣いながら大型コンピュータから吐き出される紙テープ相手に格闘していた。本書に描かれたホストコンピュータは現在では小さなチップ1個で十分おつりがくる。ハードSFを書く難しさの1つの顕れだろう。

先頭 表紙

たとえば,H.G.ウェルズの『タイムマシン』などの各作品は,技術的には古い時代に書かれたものでも(もちろんタイムマシンそのものは当分できそうもありませんが),今でもこの30年間に書かれたSFの大半よりもよほど「くる」ものがあります。要は何をどう書くかであって,素材は古くなってもいいと思います。えらそーなことを言うなら,書き手がどれほど「今」をまっすぐ見るか,でしょうか。 / 烏丸 ( 2000-10-25 12:57 )
ご指摘の通り、SFで描かれるハードウェアはすぐに古びてしまうから、作家も大変でしょうね。『ソラリス』でも、惑星間の連絡装置に真空管が使われていたような(笑)。でも、優れた作品の本質はそういった弱点を目にしてもなお訴えてくる部分があると思うのですが、いかがでしょう。 / 美奈子 ( 2000-10-25 08:11 )
出たー!J.P.ホーガン!!なつかし〜!よくわからないまま読んでましたよ〜。フォワードの「竜の卵」はハードSFだったのですか。何となくタイトルからファンタジー路線かな?と思って、手にとっていなかったですよ。 / 美奈子 ( 2000-10-25 07:27 )

2000-10-23 科学と文学について考える 素材その七 『空想科学読本 第二版』 柳田理科雄 / メディアファクトリー


【柳田理科雄は本名】

 この手の書籍の嚆矢は『ウルトラマン研究序説』(中経出版)ではなかったろうか。これは科学特捜隊の組織・技術戦略や怪獣出現による経済効果を若手学者25人がまじめに(本当)分析したものである。1991年12月の発行で,1992年12月に発行されてベストセラーになった『磯野家の謎』(飛鳥新社)にも先んじる。

 『空想科学読本』もテレビ番組の重箱の隅をつっつく書籍の1冊で,怪獣が何万度という高熱の炎を吐き,正義のヒーローが一瞬にして巨大化して翼もないまま空を飛び,さらに巨大なロボットに人間が乗り込んで敵ロボットと格闘する,そういった「空想科学上の常識」に現実的な科学の面からアプローチを試みたものだ。
 その結果得られた結論は,物悲しくも爆笑ものだ。ウルトラマンはその体重を維持するために横に5倍は厚みのある肥満体でなければならないのに,空を飛ぶためにはヒラメのように平べったい形にならざるを得ず,しかも設定通りの速さで飛んだら衝撃波でずたずたになる。兜甲児はマジンガーZで船酔いし,敵とぶつかった瞬間慣性の法則で圧死する。ウルトラセブンの巨大化には最低9時間半かかり,逆に松坂慶子の肺にひそむ宇宙細菌ダリーと闘うためにミクロ化した場合は脳細胞も58億分の1の2.4個になり,記憶の大半が失われ,微生物として一生を終える。サンダーバードのジェットモグラは遠心力で非情な棺桶と化し,タケコプターをつけたドラえもんの頭はひびが入り,みかんをむいたようにめくれ返ってちぎれ飛ぶ。

 もちろん,こういった「空想科学」のウソを暴く遊びは,「巨人の星」の大リーグボールへのつっこみなど,マンガ誌の投稿欄などに古くから見られたものだ。しかし,OUTなどアニメ専門誌上での「宇宙戦艦ヤマト」に対するおちょくりを契機に,やがて様式を持った「遊び」と化し,現在ではそこそこヒットしたアニメやマンガ作品には必ず「つっこみ本」が後を追う。アマチュアによるファンジンやインターネット上のホームページでも同様のつっこみは花盛りだ。つまり,空想科学作品は,シリアスに書かれると同時にお笑いの題材となるという二重構造を背負い込むことになる。

 その結果,科学を背景にした作品は非常につらい立場に追い込まれた。
 およそ人間が人間として描かれていないミステリや,科学をまるっきり無視したホラーがベストセラーになる一方で,科学を匂わせる作品に限ってお笑いに足をひっぱられるのだ。もちろん,悪いことばかりではない。たとえばアニメ「ポケットモンスター」は,「その世界にはポケットモンスターが棲息する」という一点を除くと非常に理にかなった世界観を展開し,それが作品の魅力の1つともなっている。しかし,SFに新人が現れにくい原因の1つに,これらのつっこみ精神があるのもおそらく間違いない。

 だが,気にすることはない。第一に,ミステリやホラーはあの程度で立派に容認されているではないか。第ニに,本書の著者もそうだが,つっこみの背景にあるのは空想科学への底なし沼的愛だ。現に,本書のあらゆるつっこみは「ウルトラマン」などの空想科学番組に対する執着と,小学館などから発売された設定資料集を正しいと前提とした上でのものだ。
 といっても,昨今の怪獣映画がつっこみを恐れて大人向けドラマとしても破天荒な子供騙しとしても中途半端になってしまう気持ちはわからないでもない。ここは1つ,「どうせ昔のことだから」で押し切れる「大魔神」リメイクで気勢をあげてみるのはいかがなものであろうか。

先頭 表紙

しかも,大学の学部もちゃんと「理科I類」だったそうで。ツジツマ合って,ご立派でございます。 / 烏丸 ( 2000-10-24 01:36 )
にょ〜! 逆だったにょ!(©でじこ) カウントダウンすると「タ〜イムボッカーン!」に繋がってしまうにょ。ところで、柳田理科雄が本名だったとわ! / こすもぽたりん ( 2000-10-23 19:01 )
キャプテンウルトラは,ウルトラマンとウルトラセブンが円谷プロ制作だったのに対し,同じ時間枠のタケダアワーでありながら東映の企画制作で,そのためどうも話題からはずされてしまうことが多いようです(実際,特撮はちゃちぃしカタキ役のバンデル星人もしょぼい)。たとえば,主題歌もまま忘れさられており,「ワン、ツー、スリー、フォー、」ではなく,「スリー,ツー,ワン,ゼロ!」なのであります。だって,シュピーゲル号は3分割,主人公もキャプテンウルトラ,ジョー,ハックの3人(人?)なんですから。 / ハックのデザインのチョコ懐かし 烏丸 ( 2000-10-23 17:26 )
ゼットンいますか。ウルトラホークについては帰って読み返してみます。ウルトラホークと聞いただけで、なにやら涙腺が緩みます。キャプテンウルトラは「シュピーゲル、シュピーゲル、シュピーゲル、ワン、ツー、スリー、フォー、そーれゆーけキャプテ〜ンウル〜トラ〜♪」ですね。小林捻持ですねっ! / こすもぽたりん ( 2000-10-23 17:07 )
本文,大ウソ書いてました。『サザエさんの秘密』より『磯野家の謎』が先です。失礼いたしました。 / 烏丸 ( 2000-10-23 16:07 )
玉乗りゼットン,おりますおります。ところで,旧版がどっかへ行ってしまいました(泣)。旧版でもやはり「合体という思想をビジュアル化した先駆は『ウルトラセブン』」のウルトラホーク1号となっておりましたでしょうか。その直前に放送されていた「キャプテンウルトラ」のシュピーゲル号がすっかり失念されている……。 / 烏丸 ( 2000-10-23 15:40 )
↓「いすの」は「いるの」の間違い。どん兵衛食べながら書いてたら間違いちった。今ごろお昼なんですよん。 / こすもぽたりん ( 2000-10-23 15:32 )
おお、旧版を書こうとしていたところでした。新版でも、玉乗りのように地球に乗っかるゼットンはいすのですかい? / こすもぽたりん ( 2000-10-23 15:30 )
と学会の「とんでも本」シリーズが「フィクションは相手にしない」と明記しているのは,このあたりよくわかったうえでのことと思われます。 / 烏丸 ( 2000-10-23 12:22 )

2000-10-22 科学と文学について考える 素材その六 『生物学個人授業』 岡田節人,南伸坊 / 新潮文庫


【生命は絶えたことがない】

 「科学」そのものでなく「最近の科学と文学」のみだらな関係を覗き見したいという野望はすでに大幅に崩れつつあるが,それは烏丸の力不足97%,残りの3%はサイエンス・フィクション(SF)から何を紹介するかでまとまりがつなかいためである。今さら一昔前のハードSFなんか持ち出しても,何書いてよいのか正直よくわからん。
 SFについては後でなんとかするとして,今回もまた生物学関係。

 『生物学個人授業』は生物学者・岡田節人の講義をイラストレーター・南伸坊が自分なりにテキストにまとめ,イラストカットも担当した,というもの。
 テキストをまとめたのが南伸坊であることがポイント。つまり彼は,講義を聞き,理解の及んだ領域について自分なりの解釈に付加情報を加えて本にしているわけだ。ケロロ軍曹の「第666野戦重砲マンガ小隊」で報告された清水義範と西原理恵子の『おもしろくても理科』『もっとおもしろくても理科』とは構造的に全然違う。なにしろ『おもしろくても……』は学者でもない小説家が科学についてわかったようなことを書き並べ,その姿勢の怪しさをサイバラがナマスにする。面白くならないわけがないのである。
 で,それと構造的に違う本書がどうかといえば,こちらはもう,つまらない。講師はまじめに生物学を説き,聞き手は一生懸命それを再生産するのだから,笑いどころはない。笑いをとるための本じゃないのだから当たり前だけど。

 それでも(ってのは失礼だな),さすが専門家,たとえば『ジュラシック・パーク』ではDNAの再生の説明にずいぶんページをさきながら,DNAを被う染色体についてはまるっきりシカトを決め込んでいるとのご指摘。染色体を作るというのは今の生物学でも全く未開の領域で,ウソをつくにもタネがなかったということらしい。なるほど。
 そもそも,地球上のあらゆる生物は,もともとはたった一種類の単核生物から始まっている。では,現在,地球上に生物は何種類いるのか(答:8000万種類)。また,一番種類が多いのはどんな生物で(答:昆虫,とくに甲虫),またどうやってそういう種類を数えるのか。トキなんぞ貴重度が相当低い(絶滅しても辛抱すべき)という理屈はなかなか刺激的だ。
 あるいは,発生というお話。DNAがコピーされるだけなら,卵がオタマジャクシになり,オタマジャクシがカエルになる説明ができない。細胞がさまざまに分化するから発生は起こるのだが,その分化とは仮の姿であり,すべての細胞はそれぞれの細胞になる可能性を保有していると岡田は説く。
 では,最初は1個しかなかった細胞がいかにして成体にまで育つのか。遺伝子は個々の細胞を特徴づけるだけでなく,全体を統括してボディプランを担当する力も持っている。つまり,遺伝子を変えてもハエの頭を持ったカエルは作れないが,それでも,カエルやネズミが頭を作るために動員される遺伝子(ホメオティック遺伝子)は,ハエが頭を作るときに動員される遺伝子と似ている,ということである。このあたり,ホメオボックスについての話は面妖ながら非常に興味深い。

 しかし……指おって虫の種類を数えても,ホメオボックスに感動しても,文学への階段はいまだ遠い。やはり,文学たるもの,夢が破れるところから始めなくてはならんのか。というわけで,次に取り上げるのはとても哀しく,非道い本である。

先頭 表紙

2000-10-21 科学と文学について考える 素材その五 『アワビがねじれてサザエになった やっぱりふしぎな生物学』 奥井一満 / 光文社知恵の森文庫


【意思と遺伝】

 以前,『タコはいかにしてタコになったか わからないことだらけの生物学』という本を紹介したことがあるが,同じ著者によるシリーズ3冊めである。安易な文明論にはこぶしを握り,一方で正直に自らの仮説の限界を告白する。その正直さは好もしいが,さすがに3冊めともなると書きたいことが尽きてきたのか,今回は全ページの下約3分の1が空白かイラストで,あっという間に読めてしまった。さすがにこれは上げ底と言うべきか。

 それでも,昆虫など,生物の擬態というのは何故そうなっているのかさっぱりわからん,というようなことがたくさん載っていて,かつての昆虫採集少年としてはなかなか楽しい。
 たとえば,カゲロウの仲間にカマキリモドキというのがいて,前足のあたりだけカマキリそっくりなのだそうである。これが,何故そうなっっているのか,さっぱりわからない(カマキリのマネ,ということが遺伝子レベルでありうるのか。また,大きなメリットがあるのなら近いカゲロウの種がこぞってそうなりそうなものだがそうでもない)。
 アワビのような貝がやがて巻き貝になった,ということはわかっても,ホネガイの外のトゲトゲや,ナガニシのようなながーい殻,エビスガイのピラミッド型など,個々の特徴は説明できない。
 ウミウシや一部の昆虫がカラフルな模様を持っているのは,なぜか。自分でその姿が見えるわけはないのに。
 光る生物は,どうやって光る仕組みを得たのか? ホタルの場合は異性と呼び合うために用いられているが,なぜ昆虫の中でホタルだけがその機能を得たのか? それどころか,ほかの種のホタルの光りパターンを真似て,その種が近寄ってきたところを食べてしまうホタルもいるとのこと。そんなノウハウはどうやって獲得され,どうやって遺伝されるのか?
 などなど。

 そのほか,雑学として初めて知ったのは,高速道路のナトリウムランプ。これは,普通の灯かりだと虫が集まり,落ちた虫を引くとスリップしてしまう。だから,虫を寄せないナトリウムランプが開発されたのだそうだ(昆虫の可視波長の範囲がヒトに比べて紫寄りにずれており,赤寄りの長波長は見えないことによる)。

 ところで,いくら正直は美徳と言っても,こう「わからない」を連発されると物足りない思いもつのる。次はもう少し「仮説」を教えてくれる本を取り上げてみることにしたい。

先頭 表紙

ちなみに,奥井一満氏の光文社知恵の森文庫シリーズでは,1冊目の『ミミズは切られて痛がるか―生き物の気持ちになった生物学』がなんといってもオススメです。奥井センセが,右や左に,怒る怒る。 / 烏丸 ( 2000-10-23 18:18 )
水美さま,イチオシの本がございましたら,ぜひとも日記で詳しくご紹介くださいまし。ちなみにソロー(岩波文庫)は我が家のどこかにあったと思うのですが,どうも記憶が……。 / 烏丸 ( 2000-10-21 23:07 )
あっ!変換が・・・疑問画、ではなく、疑問が・・・です。たらーーー / ミスの多いミセス@水美 ( 2000-10-21 19:04 )
烏丸様、僭越ながら、私が読んだ本もご覧になって下さいますか?それは、『人工生命』朝日出版社刊 です。パソコンにはまって、プログラミングに興味を持ったとき読みました。それが、ソローの『森の生活』で、ソローが自然の形態についてもった疑問画、この本の中で解き明かされているのです。あー、不思議なつながり!と涙がちょちょぎれました。ソローも良いですよね。あほな頭で考えたことですから、烏丸様には笑われそうですけど・・・・お許しを! / 本がだいすき@水美 ( 2000-10-21 19:01 )

2000-10-20 科学と文学について考える 素材その四 『デジタルな神様』 渡部浩弐 / 幻冬社文庫


【……僕は,誰かにならなければいけない。できるだけ早く。】

 芥川賞でも直木賞でもなんでもよいから,現代を舞台とする小説,数十冊にざっと目を通してみて,はたしてそのどのくらいが「テレビ」を,「少年ジャンプ」(などのマンガ誌)を,「ファミコン」(以来のいわゆるゲーム機)を正しく扱っているだろうか。テレビドラマの中の普通の家庭を描いた映像でも同様。たまにゲーム機が出てきても,背中を向けた子供が黙ってプレイする姿は「子供が親と疎遠である」ことを示すための記号でしかない。
 だが,カラーテレビの普及率,マンガ誌の部数,そしてゲーム機の販売台数を考えれば,これらが描かれない現代風俗は実は二葉亭四迷や夏目漱石以来の近代文学を縮小再生産する「時代劇」にすぎないのではないか。
 最近はテレビやゲームだけでなく,「インターネット」や「電子メール」,「携帯電話」なども加えてよいかもしれない。しかし,これらを日常の中に描き上げた作品は,小説誌から相手にされないか,せいぜいキワモノ,イロモノ扱いされるのが落ちだろう。

 ……と,極端なことを書いたが,もちろん若者の登場する作品の全部が全部「テレビ」「マンガ」「ゲーム機」「インターネット」を描く必要がある,というわけではない。星新一のように,作品が古びるのを防ぐため,できる限り時事的な話題,最新の風俗を排す,という考え方だってある。
 しかし「現在」や「人間」をつきつめて考えていくのに遺伝子やネットワークを素通りするのは,もはや作家の怠慢といえるのではないだろうか。

 さて,星新一といえばショートショートの神様だが,同じショートショート作家でも,渡部浩弐は逆に最新の技術的な情報,ゲームなどを積極的に取り込み,テーマとしている。そして,近未来を舞台に,それら(とくにネットワークとヴァーチャルリアリティ)が社会に及ぼす薄ら寒い何かを,短い落とし話として提供してくれるのである。とくに『デジタルな神様』は,オウム事件,脳死問題,電車内での携帯電話によるトラブルなどを予見した作品集として知られている。

 予見。それは素晴らしいことだ。しかし,オウム事件が実際に起こってしまった後,電車内で携帯電話の呼び出し音に顔をしかめる現在,その作品集はいかなる力を持ちうるのか。たとえば,ポケベルに奔走する少女たちを描く作品があったとして,その作品の現時点での価値とは? あるいは,誰かがオウム・サリン事件を完璧に予見して,事件の3年前に架空の教団による事件を描き上げたとして,それは本当に優れた作品だったろうか?

 結局のところ,作品の力は,時事的な情報,技術,風俗の織り込みや予見ではなく,それが読み手に何を伝えるか,読み手の何を変えるか,という,ごく当たり前のところでしか語りえない。
 渡部浩弐は,まれに見る「才」あふれるショートショート作家である。ダレることもなく一定の水準を維持し,しかも常により新しい情報の取り込みに余念がない(添付画像は最新文庫『2000年のゲームキッズ』より)。作品の「落ち」の多くはフレドリック・ブラウン風のパシっとしたアイデアに満ち,ときどきはブラッドベリのように甘酸っぱい。

 しかし,炭酸の効いた清涼飲料水以上の効果をあげるには,それでもまだ何かが足りない。それは発表の場が「週刊ファミ通」で,対象年齢が若いこととは関係ないだろう。書き手と読み手の間に,中毒ぎりぎりのバッドトリップが必要なことだって,この世にはあるのだ。多分。

先頭 表紙

こうなると、やたらと気になりますね。 / こすもぽたりん ( 2000-10-24 01:46 )
うーむ,困りましたね。もうちょっと読んでみますが,我が家もなぜかサイバラは散逸していて。 / 烏丸 ( 2000-10-24 01:41 )
今日は『麻雀で食え』『サイバラ式』『怒涛の虫』『恨ミシュラン』『アジアパー伝』と当たってみましたが、見つかりませんでした。雑誌だったのでしょうか。 / こすもぽたりん ( 2000-10-24 01:15 )
『おもしろくても理科』とか,かなり広角的に探してはいるんですが。 / 烏丸 ( 2000-10-23 17:27 )
【花吉のこすもぽたりん】ないですよね〜。どこで見たのかなあ。もしかして単行本ぢゃないとか。それとも金角のアジア漫遊期? いやいや、カラーページだったような記憶が。シミーかなあ。 / こすもぽたりん ( 2000-10-23 17:09 )
それより,花吉の「こすもぽたりん」が,見つからない。これは,私もなんとなく見たような記憶があるので,もう気になって気になって。毎晩,サイバラをばらばらめくって見ていますが,うーむ。花吉が出てくるのは,『鳥頭紀行全部』の前半と,『恨ミシュラン』の後半……ほかには? また,群との対談で,育ちのよい編集者が親戚から「あんな作家とつきあうな」と言われたのは,花吉のことなのかどうか。 / 烏丸 ( 2000-10-23 15:47 )
いやー,どうも見つからないんですが,「最近の本ではなくて」,「つのだじろう,楳図かずお,杉浦日向子の百物語関係の本ではなかった」といったあたりまでは調査済み。全く個人的な記憶欠落の話ですけど……。てゆか,手塚の「百物語」を勘違いして覚えていた,というだけなんでしょうが。 / 烏丸 ( 2000-10-23 15:44 )
なるほど。文庫版の『新説百物語』の冒頭には百物語の解説がありますが、それは烏丸さんが恋焦がれる百物語の解説とは違うわけですね。うーむ、裏をかいて『新耳袋』ということはありませんかい? / こすもぽたりん ( 2000-10-23 15:34 )
ところで,もう「つっこみ」がきかない↓↓町営住宅の怪現象の件ですが,昨夜のフジテレビ系列スーパーナイトでもやってましたね。ニュースステーションよりややあおり気味で「カン!」という音も何度か録れていました。烏丸思うに,コンクリートの収縮などで音がするところまでは事実なんでしょう。そこから「なにかいる」という気持ちが強まり,普通なら気の迷いですむところが集団ヒステリー化した,というあたりでしょうか。30年前に自殺者がいたなんて,ちょっと気のきいた霊能業者なら,裏で調査しますからね。あと,興味深いのは「24軒中14軒が異変を訴えた!」という,残りの10軒の反応です。おしかけ霊能者が「何も感じない」と言ったのも面白い。何しにきたのやら。 / 烏丸 ( 2000-10-23 13:55 )
いや,その本はその話題が出たときにはすでに確認すみで,違うのですよー。 / 烏丸 ( 2000-10-23 01:55 )
全然関係ない話で恐縮ですが、例の百物語の謎は、つのだじろうの『新説百物語』のようです。 / こすもぽたりん ( 2000-10-23 00:43 )
ほほほ,危ない危ない。それにしても,「中毒ぎりぎりのバッドとリップ」,なかなかキャラが立つ。パラレルワールドでマザーグース推理でもやらせるかにゃ。 / 烏丸 ( 2000-10-21 22:23 )
しまった、「バッドとリップ」で揚げ足ツッコミをすべく考えていたのに、今日見たらちゃんとバッドトリップに直っちゃってた。残念。山梨王の新キャラですかい、とボケる予定だったのに。 / こすもボケりん ( 2000-10-21 14:02 )

2000-10-20 科学と文学について考える 素材その三 『意識の進化とDNA』 柳澤桂子 / 集英社文庫


【精神は死をも超越できるということですね】

 遺伝子工学と文学,とくれば『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド』のマイケル・クライトンを思い浮かべる方が少なくないだろう。なにしろ恐竜の血を吸った昆虫が押し込められた琥珀から血球成分を取り出し,その中のDNAを抽出,破損した塩基配列は現代の爬虫類のDNAから補って修復,恐竜を蘇らせるという設定である。実際,シベリアの冷凍マンモスからDNAを抽出し,遺伝子の一部を解析する実験は成功しているそうだ。
 しかし,『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド』はそれ以外の部分では能天気なハリウッドアクション大作にすぎず,遺伝子工学はドラマの素材にすぎない。
 ここでは,同じDNAを扱っていても,より生命の本質に迫った,その分かなりヘンな本をご紹介しよう。

 著者の柳澤桂子は生化学者,『「いのち」とはなにか―生命科学への招待』『二重らせんの私―生命科学者の生まれるまで』『遺伝子医療への警鐘』などの著書がある。
 今回ご紹介する『意識の進化とDNA』,例によって本のカバーの惹句から紹介しよう。

「ついに私は『本来の自己』とは,三十六億年の歴史を背負ったDNAであると考えるに至った」(はじめに) 分子レベルで研究が進む生命科学の中で,“私”とは誰なのか? 愛や感動,神とは何なのか? DNAの仕組みと精神のかかわりを,ある男女の出会いと語らいを通して,いきいきと解き明かす。長く闘病生活を続ける女性科学者が見つめた,「いのち」がわかる一冊。

 どこがヘンなのか。
 まず,これが小説だということだ。二流,いや,三流と言ったほうがよいかもしれない,ヘタクソで,つまらない小説である。NHK教育の「おねえさん,こんなところに花が」「その花の仕組みをみんなで見てみよう」というやり取りを演劇,ドラマと言ってよいか。それと似たレベル。
 物語は生命科学者(M大学講師)・岩倉隆と哲学科の大学生でかけだしのピアニスト・相沢葉子がコンサートで知り合い,毎週待ち合わせては隆が葉子に生化学を説明するという形で進行する。
 男が山頭火の俳句を口ずさめば「漂白の俳人ですね」,モーツァルトのCDかければ「二十三番ですね」,壁の絵を見れば「シャガールですね」と女が対応するお文化なやり取りは全く人間臭に欠け,人気のない森林や男の部屋で暗くなるまで逢瀬を繰り返しながら手も握らず,あげくに海外で別々に勉強する道を選んで互いにたたえ合ったりする。とくに,若い女を部屋にまで呼び込みながら,室生犀星,立原道造,三好達治,さらには般若心経の翻訳を朗々と読み上げる隆くん,大丈夫か。

 内容についても,前半,人類の起源から自我意識の誕生,脳の情報伝達の仕組みなどについて説かれた部分や,DNAの4つの塩基が組み合わさって遺伝情報が,といったあたりは,小説仕立てにした甲斐もあって読みやすく,文系人間にも理解できた気分にひたりやすい。しかし,ソリッドな各論の期待される後半,意識,芸術と科学,神・愛,人生の意味がテーマとなるにいたっては……ユング,グロフ,マズロー,ケン・ウィルバーと,話題にされる名前も検証不能な「とんでも」境界領域で,さすがに身構えてしまう。

 結局,かつて宇宙飛行士の多くが宗教の世界に行ってしまったように(立花隆『宇宙からの帰還』),作者はDNAに神様を見てしまったということだろうか。
 とても軽々しく賛否を言えるような本ではないが,とりあえずお奨めはしない。

先頭 表紙

ところで,遺伝子について学術的に論じた数百冊の本の中で,著者や訳者が女性というケースはほんの数人しかないのですが,その中で著名なのがこの柳澤桂子氏ともう一人が中村桂子氏。同じ桂子さんなのは……全く偶然なんでしょうがちょっと不思議(ついでにいうと,「DNA」をタイトルの一部に使った本の何冊かがアダルトものだったり,レディスコミックだったりするのもなんとなくおかしい)。 / 烏丸 ( 2000-10-23 15:14 )
逆に言うと,親しい相手にこれ読ませて,『意識の進化とDNA』ごっこ,というのはアリかもしれません。なにかにつけては本を開き,誌とかお経とか読み上げて,「立原道造です」「心が洗われるようですね」 ……先に笑ったほうが負け,ということで。 / 烏丸 ( 2000-10-20 16:45 )
烏丸さま、了解いたしました。ごていねいにどうもです。そこまでお調べいただく必要はございません、お気を遣わせてしまってすみません。 / 般若心経唱えられたら即、帰るってば ( 2000-10-20 16:35 )
美奈子さま,ここでの般若心経というのは,サンスクリットから現代日本語への直訳のことです。訳者の名前も出ていたと思いますが今,本が手元にないので……。 / 烏丸 ( 2000-10-20 12:21 )
エルさま,ごく一部はカルト,というか自分が教祖さまになってしまう例もあるようですが,普通は彼らが子供のころから接していたキリスト教,それに宇宙飛行士をやめてから布教に走ったり,牧師になろうとしたり,ともかく首までどっぷりひたってしまうわけです。 / 烏丸 ( 2000-10-20 12:19 )
ほぅ、小説だったのですか……。表紙だけではわかりませんね。それにしても般若心経の翻訳ですか。何語ですかね?もとはサンスクリットでしょうから日本語も翻訳ということになりますわね。 / しょうもないつっこみですみません ( 2000-10-20 07:01 )
宇宙飛行士の多くが入信する宗教って、所謂カルトのようなものなのでしょうか?科学の徒である彼らが、進化論を否定するようなキリスト教に入信するのですか? / エル ( 2000-10-20 01:51 )
ほかの本はけっこうリアルな話,細かい話があって(国が遺伝子を管理してよいか,とか,遺伝子操作の是非とか)けっこう勉強になるし,面白いんですが,これはなんだか妙にサトリ色の強い本でございました。 / 烏丸 ( 2000-10-20 00:50 )
柳澤桂子!この方、DNAおたくなのですね。以前はCGで、DNAムービー作ったりして。 / 水美 ( 2000-10-20 00:48 )

2000-10-19 [緊急雑談(?)] 町営住宅 怪現象パニック

 一部の新聞でも扱われたようですが,今夜のテレビ朝日系「ニュースステーション」,必見です。

 岐阜県富加町の町営住宅(4階建て,24世帯)で,原因不明の音がしたり,棚が勝手に開いたり皿が割れたりする怪現象が頻発。最近は「夜,階段のところに見知らぬ女の人が座っていた」とか「子供が,誰もいない場所に向かってバイバイと手を振る」「壁際を差して怖がり,泣きやまなかった」という話まであるそうです。
 一度御祓いをしてもらったものの怪現象はやまず,それどころか枕もとに女性が立った,とても住めないと出ていく家族も。さて,どう展開するのか。

 できればこすもぽたりんさまご紹介の『伝染る怖い話』をかたわらに置き,怖い土地を「洗う」とはどういうことか,など考えながら見るとさらに楽しめるのでは,と思われます。

先頭 表紙

さっき『王様のブランチ』の裏番組で見ました(なんちゅう情報じゃ。ヒメが出てないから裏番組という判断)。全然怖くなくてがっかりだよ〜ん。 / こすもぽたりん ( 2000-10-21 14:01 )
「住宅群」というよりは,原っぱの中に4階建ての団地が1棟ぽつんっと建ってる,そんな感じでした。建つ前が林で,30年前にそこで首を吊った女の人がいるらしい。でも,これはマユツバ。ある程度の広さの土地を過去にさかのぼれば,何かあるでしょうし,子供が誰もいないところを指さして言ったのも「ヘンなおじちゃん」(テレビクルーのことじゃないのかなあ)。 / 烏丸 ( 2000-10-20 15:14 )
やや、いつの間にこんな面白げな特集がっ。反クメで親えっちゃんな私があの番組を見なくなって久しいのですが、そんな住宅群が岐阜にあるとわっ。そういえば、西原理恵子が青木光恵に用意してあげたという東京のマンションは、殺人事件があったおかげで家賃半額だったそうで。 / こすもけろりん・花吉捜索中 ( 2000-10-20 14:48 )
妹が嫁いだ先にも「あそこは出るらしい」と有名な地域があって,小高い丘の上に一戸建てがばらばらっと建っているのですが,どう「出る」のか誰も教えてくれません。そのうち,その一戸建て(ごく普通の木造家屋)の壁が,家ごとにオレンジや緑に塗られていて,カラフルというよりは妙にハイテンションになっていたのだけど,あれはなぜだったんだろう……。 / 烏丸 ( 2000-10-20 12:29 )
この町営住宅は,建てられた当時から住民と自治体の間で確執があった,という説もあるそうで(内容不明。こういうのが流言飛語を呼ぶんだよな),だとすると霊的な事件というよりは,集団ヒステリーというカテゴリーのほうが説明しやすいかもしれません。ちなみに,烏丸が育った家は,毎晩のようにパキパキ鳴りまくってました。建材と乾燥の問題だと思います。 / 烏丸 ( 2000-10-20 12:26 )
結局,(当たり前ですが)そうたいした内容ではありませんでしたね。ところで,番組ではやっていませんでしたが,地方自治体が御祓いに支援するというのは,「政教分離」の原則からまずいのだそうです。 / 烏丸 ( 2000-10-20 00:42 )
私は、霊感の強い友人に「あんたはまったく霊を寄せ付けない体質だね」と言われるほど超鈍感なので、こういう話は興味あるのですが、いまいち体感できない。。しかし、下手なお祓いは反対に混乱を招きかねないですね。霊に箔が付くというか。 / エル ( 2000-10-20 00:17 )
見ましたよ〜大槻教授が出て来たら面白かったのに、って番組が違う?(それはタックル) / ティキティキ ( 2000-10-19 23:36 )
えっ!うそ!こっこさん、うちにいらしてそのセンサー働かせてくださいー!お祓いしたのに、利いてないような・・・ / 憑かれているのか@水美 ( 2000-10-19 22:24 )
このニュース、信じちゃいます。こっこは「おばけのいる場所センサー」付きなので、こういうところは気絶しそう。 以前足柄山で意識がなくなりました。。 / 顔も見えるよ。こっこ ( 2000-10-19 21:43 )

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